先月の福岡出張の際、時間はあまり無かったが空港の売店めぐりをした。目的は明太子。福岡に来るたびに自分用として買って帰る事にしている。空港の売店と言うより土産物エリアと言った方が良いほど広いスペースに、実にたくさんの店が明太子を売っている。

この日買ったのは「知雅榮」のもの。有名な料亭が作っているのだが、空港にも出店しているというのが便利である。ずっと昔に頂き物として食べたが、結構印象に残っていた。他の明太子より約2割ほど高価なのだが、はたして今回も期待を裏切らぬ味だった。

大きさの揃った小ぶりのタラコで、見た目には普通の明太子よりやや濃い色だが、中も色は変わらずしっとりとしている。外見は大きいくせに中が妙に色が薄くパサパサだったり、逆に妙にねっとりと水っぽかったりするのは論外だが、ここのはどの部位でも同じ食感、同じ味の染みぐあいというのが秀逸である。一度に2本は楽にイケる。

もうひとつのお気に入りは、明太子を料亭として初めて作った「ひしむら」の明太子。北海道近海産タラコを厳選し、親戚筋の酒蔵の純米酒を用いている。最大の特徴は、今では類似品も出ているが、細切り昆布に和えてある点である。これが明太子と相まって酒の肴に申し分ない。さらに一本一本包装されている手の入れようだ。

ここのは100g単位で販売されており、一般品の5割増以上の価格といったところか。私の知る限り、最も高価な明太子の部類に属すると思うが、それだけの値打ちはあると見ている。これも昔、頂き物で食べて強烈な印象を持った記憶がある。量産がきかないらしく、残念ながら空港には売ってない。

両者に共通するのは、決して辛味だけが味の中心ではなく、さまざまな味が織り交ざって醸し出すハーモニーが十二分に感じられるという点である。それも押し付けがましさは無く、だから後を曳かせる。今のところ私の番付では東西の両横綱だ。

どちらも通販をしているが、私は敢えて博多の地へ赴いた時にだけ買って帰るようにしている。「博多めんたい」に対するせめてもの「こだわり」だ。