"俗物は世界を見下ろす"
さえぐさ翠
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2004-09-05(日) 南国の潮騒と弓道少女は人の心を惑わし
日常-学校
感想-スポーツ
この週末は雨が降るとテレビで言っていたあの気象予報士は一体誰なのだろうか。9月とは言えど、この田辺市民球場に照りつける陽射しはまだ夏を忘れられないようだ。眩しいくらいに青く澄んだ空の遥か向こう側には、厳めしい積乱雲が顔を覗かせている。私は球場前に集まった弓道着の学生達に目を奪われながら、重荷にしかならない折り畳み用の傘を恨めしく見つめた。
そんな晴天の中、スターティングラインナップが発表された。県商戦から変わったのは6番左翼手に堀本くん、7番一塁手に馬場くん。昨日の試合の途中交代組である。そして何より先発投手に名前の光る松隈くんにも注目せねばなるまい。監督の仁さんもこの南部戦は新人戦の大一番と位置づけている筈だ。
試合は初回から動いた。南部の先発である背番号10の伊藤くんは浮き足立って制球が定まらない。最後に一死満塁の好機を逃しはしたものの、四死球4つの独り相撲でまずは2点を先制した。だが対する松隈くんも精彩を欠く。四球と内野安打で走者を貯められては、大事な局面で下位打線に連打を許してしまった。前日は完璧だった守備にも足を引っ張られ、早くも4点を献上である。2回表も相変わらず制球に苦しむ伊藤くんに3死球をもらいながら、尚も続く好機には替わった二番手投手から一打を放つことができず、2点止まり。同点に追いつきはしたが決して流れは良くなかった。
しかし、エースとはこのような苦境にこそ真価を発揮する。松隈くんは鋭く落ちる変化球を低めに集め、田辺市民球場に内野ゴロの山を築いた。2回以降の被安打は僅かに2。試合終盤には握力の低下のためか四球をきっかけに失点してしまったとはいえ、初回の乱調がまるで嘘のように、見事な立ち直りを見せたのである。
こうなれば地力に勝る智辯が優位に立つのは間違いない。たとえ打線は湿っていても、主戦の勇惣くんの故障が癒えたばかりで猫の目のようにくるくると交代する南部投手陣から勝ち越し点を奪うくらいはそう難しいことではなかった。
この試合のMVPには、バントヒットを含む2安打4四球で全打席出塁、さらには2盗塁も決めた逸太くんを選ぶ。ボールに押し返されそうな打撃には相変わらず一抹の不安が残るが、持ち前の卓越した選球眼で高い出塁率をマーク、塁に出ればバントの苦手な智辯打線を活かす走塁を見せてくれる。また、続く2番の亀田くんは右に引っ張る打撃ができるため、ここで好機が拡大して中軸の得点力が目に見えて上がっているのだ。智辯らしい派手な1、2番コンビである。
松隈くんは集中打が不運だった。5安打5四球という内容なら結果は完封でも不思議ではなかろう。この試合の結果だけで評価を下げることなく、今後もじっくりと見ていきたい。
智辯 2 2 0 0 4 0 0 0 0 8
南部 4 0 0 0 0 0 0 1 1 6
打数 安打 打点 四死 犠打 盗塁
1 二 逸太 2 1 1 4 2
2 右 亀田 5 1 1 1
3 三 廣井 4 2 1 1 1
4 捕 橋本 4 1 3 1 1
5 中 哲志 3 0 1 1 1
6 左 堀本 4 2 1 1
7 一 馬場 4 1 0 1
8 遊 上羽 4 1 0 0 1
9 投 松隈 4 2 0 1
回数 打者 被安 与四 奪三 自責 失点
松隈 9 37 5 5 3 5 6
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