先日リニューアルしたオリコンを見ていたら、「誰コイツ?」とゆー男の子が載ってたんですよ。で、何気にプロフィールを確認したら、カンヌで最優秀男優賞を受賞したと、で出演した映画は
是枝裕和監督の……えええ?
『誰も知らない』の主役の男の子かよ!
いやーびっくりしました。まさかオリコンで是枝監督のお名前を拝見するとは。なんとなく微妙な気持ちなんですけど、こういう取り上げられ方をするのって。あまりうれしくないというか──いや、プロモーション的には良いことなんだろうけど、なんか、うーん。フィルターっていうか色眼鏡っていうか、そういうもの越しに見られそうな気がして、それが嫌だなっていう。
まあかく言うあたしも元々は『ピンポン』→ARATAさん→あたらんが出てる映画って?→『DISTANCE』『ワンダフルライフ』という経緯で是枝監督にたどり着いたので、ぜんぜん人のこと言える立場じゃないんですけど、なんか今は、あらたん抜きにして「この監督はどういうものを撮るんだろう」と、追いかけてみたいなと、思っているのです。
やっぱりこう、『DISTANCE』で受けた衝撃っていうか……いや衝撃じゃないな、なんて言うんだろ。うーん、かなり上手く言えないんだけど、観ることによって「自分の内の“何か”が引き出された」というか、それによるショック? なのかなぁ、それが大きくて──でもそれは決して毒があったり厳しかったり激しかったりってものではなく、なんだろうなぁ、すごく穏やかなのね。すごく穏やかでやさしい視線で“人の姿”を撮ってる。その視線が、今度はどういうものを映すんだろうっていう。
今月7日から公開中のこの『誰も知らない』は、他の人が撮った映画なら「ふーん」で終わりになっちゃうようなストーリーなんだけど、ぜひとも観たい気持ちでいっぱいです。なんか、人はとても悲しい生き物なんだけど、それでも救いはあるというか、人と人が関わり合うことで希望も見出せるんじゃないか、みたいな、是枝監督の視線からはそういうことが感じられるような気がするのです。