ひろひろ

もう結構経っちゃったので、3月に見てまだ感想書いてない映画について、簡単に。

・『蜉蝣峠』
劇団☆新感線の舞台『蜉蝣峠』のおそらくは千秋楽を映像化したもの。
脚本はクドカン。クドカンだからか、それとも話の内容が内容だからか、いつもよりも馬鹿ネタと下ネタがハンパなかったと思う。新太もノリノリで下ネタやってたし。
今までに見た新感線の舞台の中で一番陰惨な話でした。最後、そして誰もいなくなっちゃうかと思ったよ。生き残ったのは二人だけというなかなかすごいお話でした。
さらっと言うと、時は江戸時代。蜉蝣峠という人里はなれた峠には蜉蝣峠の悪太郎という馬鹿が住んでいる。その悪太郎と出会った旅人の銀ちゃんは、俺と一緒に旅に出ようと悪太郎を誘い、そして二人のヤクザ者が抗争を続ける花街にたどりつく。二人はその抗争に巻き込まれ……。という感じ。
その街には悪太郎の幼なじみで結婚の約束を交わしていた女の子がいて、ヤクザ者の一人はキレたら危ない上に悪太郎にやたら絡んできて、ヤクザ者のもう一人は臆病者で大馬鹿で。
さらっとネタバレしてしまいますと、もう本当に陰惨だった。最後は、そして誰もいなくなった、かと思ったけど、よかった二人生き残ってた。つか、名前も出てこないような役もあわせて三十人はくだらない人数出てたと思いますが、生き残ったの二人だけですよ。見終わった後なんかずーんと暗くなりました。
が。
うっかり萌えてしまった何これー?(笑)
どこで萌えたかと言いますと、悪太郎演じる古田新太と、キレたら危ないヤクザ者の一人あっぱれ演じる堤真一の殺陣ですね。カッコよかったー! 男の人の立ち回りってカッコいい。どう見ても陰惨な終わりしか想像できないのに萌えて燃えました。
そしてもうひとつは銀ちゃんとサルキジというヤクザ者の息子……うん、とりあえず息子(笑)。主役悪太郎のロマンスよりもこっちのが萌えた(笑)。しかも最後の最後、銀ちゃんとサルキジの二人の最後のシーンじゃなくて、このお話の最後のシーンの銀ちゃんが良かった! サルキジの衣装着て出てくるなんて。
さすがクドカン、ツボをちゃんと押さえてるわー。
でもこの話の一番の肝(個人的に)は、堤真一の軍鶏の着ぐるみでしょう。堤真一が軍鶏! しかも幕開いたらいきなり軍鶏! 素晴らしい。
もうひとつ、すっごく好きだったのは、もう一人のヤクザ者とそのオヤジ、そして悪代官…じゃなくて悪領主の3人で歌って踊った『YAKUZA IN HEAVEN』。すごかった! なにがすごいって、おっさん3人でPerfumeのパクリですよ。そりゃあ新感線だからなんかやらかしてくれるとは思ってたけど、まさかPerfumeでくるとは思わなかった。もう大好き。
次のゲキシネも見に行こうっと。
はっ……さらっと書くつもりだったのにこんなに長くなっちゃった(笑)。

・『パーシー・ジャクソンとオリュンポスの神々』
アメリカ映画なんですが、原作はお父さんが子供のために書いた話とか。
見たときにはそれを知らなかったんで、なんとまぁオリンポスの神々と言いつつスケールの小さいこと、と思ってました。
だってオリンポスへの通路も冥界への通路もアメリカにあるのよ。冥界から地上へ戻ってくるために必要な真珠というのが、全部アメリカにあるのよ。メデューサもアメリカの片田舎で細々と生き長らえてるし、『アーサーとミニモイの冒険』のときと通じるスケールの小ささを感じてしまいました。
続刊があるこのシリーズの第1巻の映画化に『オリュンポスの神々』なんてご大層なタイトルをつけちゃったのもなんだかなぁ、と。今回はゼウスの稲妻が盗まれたという話とシリーズの導入部だったので、原作通りのタイトルでよかったんじゃないかと。
それはともかく内容は、あまり成績は良くないけれど泳ぐことの大好きなパーシー・ジャクソンはある日いきなりハーピー(だったと思うんだけど違うかも。ともかく、顔は女性、身体は鳥の怪物)に襲われ、ゼウスの稲妻を渡せと迫られる。パーシーにはまったく心当たりがなかったが、実はパーシーは海神ポセイドンの息子だったのだ……。
これはデミゴッドと呼ばれる神と人間の子供の話。それにしても全編通して一番印象が強かったのが、デミゴッド多すぎ!ってどういうことだと(笑)。
神様いったいどれくらい人間に手つけてんのよ。ホントびっくりしたわー。さすがと言うかなんというか、アフロディーテの娘達がたくさんいましたが。でもアルテミスって処女神だから、きっとあの中にはアルテミスの子はいないのよね? ヘラは……どうかなーあんだけゼウス大好きで嫉妬深いんだけどなー。ヘパイストスだってアフロディーテに夢中のはずなんだけど。なんて本筋に関係ないことを思ったり。
あと関係ないこととしては、冥王ハデスの妻としてベルセフォネーが出てきたんですが、冥界から出られないって描写があったんですよね。でも確か一年の半分は冥界で、もう半分は地上で暮らしてるんじゃなかったっけ? まぁそういう設定だというのなら別にいいんだけど。
残念と思ったのは、アテナの娘が出てきたんですが、せっかく戦いというのだからアレスの息子とか出てきて欲しかったなぁ。あとヘルメスの息子も活躍して欲しかった。まぁある意味活躍してますが。
そんなふうにツッコミどころ満載でしたが面白かったですよ、うん。ツッコミどころ満載って意味で。

・『フィリップ、君を愛してる』
これは実話が元だそうで。
刑務所で運命の出会いを果たした男が、その相手に「愛してる」と伝えるために脱獄と詐欺を繰り返すが……というお話。
これ、観に行く前にレビューとか見てたら賛否両論だったんですが、ゲイの話なんでそうなのかなーと思ったんですよね。でも見てみたらわかったわ。ゲイだから、じゃなくて、脚本が合う合わないがあるんじゃないかと。
私は正直微妙って感じでした。面白くないわけじゃないんだけど、どうも集中できないんですよねぇ。
でも脚本はそうだったんだけど、演出は好きだったし、何より俳優さんがすごかった!
ジム・キャリーがカメレオン俳優ってのは知ってましたけど、ユアン・マクレガーがすごかった。何あの可愛い人は!?
ユアン・マクレガー、あまりこれまでカッコいいとか思ったことはなく、まして可愛いなんて思ったこともなかったのに、めっちゃ可愛かったですよ。相手に惹かれていくところとか、相手を案じるところとか、これ以上ないくらい怒り狂ってるところとか、全部可愛かったわー。
そしてジム・キャリー。この人は本当に役柄によって表情も体型も何もかも変えてきますよね。自信家で野心家でそこそこ体格も良くて強気で押せ押せの男と、痩せ衰えて絶望の縁を彷徨っている男の両方を一本の映画の中で演じるってホントすごい。
それにしてもこの人たち、刑務所の檻の中でやることやってんですが、周囲の目とか(←これは部屋の向きからして大丈夫なんだろうけど)声とかその他もろもろ気にならないんだろうか、なんてよけいなことを気にしちゃいます。
とまぁそんな感じにがっつり描写ではない……ですがやることやってる映画ですので、そういうの大丈夫な方以外にはお勧めしません。私も見ててびっくりしました。R16とは書いてあったけど、それらしい描写程度かなーと思ってたんですよね。それらしい、じゃなかったわ。