海月玲二

マレーシア名物にホワイトコーヒーというものがある。去年おみやげに買ってみたところ、我が家でわりと人気である。ただ一つ問題があって、東南アジアで売っているインスタントコーヒーは普通3in1、すなわち砂糖が元から入っているスタイルなのだ。こっちなら日本amazonでも手に入らないことはないのだが、我々が好きな2in1(砂糖が入っていないやつ)はかなりレアである。
今回はマレーシアには行かないが、シンガポールで18時間ほど乗り換え待ちがある。この間に大規模スーパーに出かけて、無事2in1のホワイトコーヒーを入手することに成功した。やったぜ。
あとマレーシアでよく売ってるLOT100とかいうグミキャンディも日本で入手しにくい(というか無茶苦茶高い)ので、これも買いこんできた。レジでマンゴーグミを3つぐらい並べて会計を待っていたら、ひとつ前にいたじいさんが「何それそんなマンゴーばっか買うの?」みたいなことを(たぶん)言ってきておもしろかった。そうだよ買うんだよ。

しょうもないお菓子ばっかり買っていたら、荷物は重くなるし金はかかるし大変だ。ふだんこんなにおみやげを買うことはないのだが。

あと、シンガポールの空港というのは今回初めて使ったのだが、わりと評判がいいらしいね。確かに使いやすくて感心した。
ここが使いやすいのは、

・でかいけど単純な構造
・イミグレーションや荷物検査での行列が少ない

あたりがポイントではないかと思う。
まず、到着・乗り換え時と出発時に通るエリアが分かれていない(全利用客が同じエリアを通る)ので、似たような店をいくつも作る手間も少なくなるし、動線が複雑になることも少ない。あと行きと帰りで同じところを通るので覚えやすい。
それから、なんと荷物検査が制限エリアの入口とかではなく、各搭乗口の前にある。これは他で見たことがなくてびっくりした。全員が必ず通る荷物検査場というものが存在しないので、列が長くなりにくいし、これまた動線を単純にすることにも役立つ。普通は、特に乗り換え客の動線が複雑になるのだ。

イミグレーションはかなり機械化されていて、多くの国籍の乗客が自動ゲートを使える。そしてここが重要な点だが、自動ゲートを20個置いたら、基本的にずっと20個動いているのだ。人間と違って食事に行ったり用事でいなくなったりすることがない。イミグレーションのカウンターがひとつしか開いてなくて長蛇の列になってる、というのはいろんなところで見る光景である。

まあ、しかしこういう構造にできるのは、基本的に国際線しか存在しない(全フライトでやるべきことが同じ)という事情も大きいのかな。


「かつて首都だったけど今では政治的にも経済的にもそれほどではなくなっていて、でも芸術文化方面ではまだ勢力を保っており、わりとデカい顔をしている町」ということを、日本では「京都みたいなところ」の一言で表せる。
ジョグジャカルタは京都みたいなところである。

ここは伝統工芸を元にした着倒れの町だし、大学が多い学生の町でもある。さらに、おみやげとして有名なお菓子まであり、各ブランドが競って店を並べ、有名店には観光客を満載した大型バスがどんどん来たりする。
このお菓子(Bakpiaという)、原型のサクサク型に対して最近開発されたしっとり型があり、観光客にも人気らしい。でも俺は試してみたところ古いタイプのほうが好きだった。新しいほうは、なんか萩の月みたいであんまり独特さを感じないんだよなあ。

この町には平日も滞在していたので、有名大学を見物に行ってみたりした。なかなかでかくて活気がある。学生食堂は、余所者が入っても大丈夫なタイプなのでありがたい。ありがたくあたりを眺めながらのんびりした。
あと、研究室周辺の、あの研究紹介パネルとかシンポジウムの案内とか貼ってあるあたりの雰囲気って世界共通だよね。

えーと京都の話ではなくてジョグジャカルタの話だ(俺は別にオリジナル八ツ橋は好きではない)。ジョグジャカルタでひとつ感心したのは、歩道がそこそこ使いものになる、という事実である。まあ先進国みたいに完璧な状態で維持されてるわけではないが、それでも、だいたいの道は歩いて移動するのに大きな問題はなかった。
いやつまりアレだ、問題だったのはバンドンだよ。でかい町なのにアレはねえと思う。担当者はもう少しがんばってくれ。



ジョグジャカルタの東にある遺跡で、観光ガイドの類ではボロブドゥールとセットで紹介されたりするやつだ。まあ、超でかい宗教施設の遺跡ということで同じようなポジションではある。こっちはヒンドゥ教であるので、なんかとげとげした上方に伸びるかんじの形状をしている。でもアレだな、外側の飾りがメインで内部は重要じゃないところは共通してる(むしろボロブドゥールが仏教建築としては例外なのか?)。

観光客的には、ボロブドゥールと違って来るのも簡単だし、2024年3月現在ややこしい制限もほぼ無い。強いていえば、お堂に入るときに人が集中しすぎないように係の人が調整するぐらいかな。
アクセスは市バスでも近郊電車でも超簡単なのでありがたいねえ。しかも二種類あるから、どっちかがばくはつしたりしてもなんとかなる。まあ、この遺跡の名前は "Prambanan" なのに、鉄道駅の名前が "Brambanan" になってるのはまぎらわしいな、とは思う。
そしてプランバナン遺跡も事前にネットで入場券を買うことはできるけど、買わずに行ってその場で現金を出しても特に問題はなかった。

というか、ボロブドゥールと比べてそもそも外国人が少なすぎるので、管理するほどのこともないのかもしれない。来てる客で多いのはだいたいインドネシアの学校の修学旅行とか遠足とかそういう感じで、外国人と気付かれると一緒にセルフィーを撮ってくれとか言われる始末だ。国外ではあんまり知られてないのか?

遠足の子供たちは写真を撮ったりお喋りしたりするのに忙しく、そもそもたいして見てはいない。まあそれはそうだ。俺だって子供のころ修学旅行でそんなに真面目に見学した覚えはない。でも、ボロブドゥールのところでも言ったけど、それでも別にいいんだ。ちなみに、写真はほとんどの人にスルーされてたドゥルガー像だ。

ところで、みんなお堂の入口だとか横だとかで記念写真を撮ってたけど、そういうことをするなら、遺跡公園の奥のほうにある別の遺跡でやるといいと思った。なにしろこっちまで来る人はほとんどいないので、邪魔が入らないぞ。まあメインの遺跡のほうがでかいけど、そんなことたいして重要じゃないと思う。それに奥のやつのほうが、お堂や瓦礫が大量にあって見ためもにぎやかだ。

ところで、ボロブドゥールに行ってくるのにはわりと苦労した。
ネットで調べた情報によると、基本的には、ジョクジャカルタの北にあるバスターミナルまで行き、そこからバスに乗る、というだけのはずだ。バスターミナルまでは市バスで行けばよくて、市バスは定額制なので外人でも普通に使える。ここは問題ない。

さて俺は水曜日の午後にバスターミナルについてみて、しばらくようすを見てみたが、ボロブドゥール行きのバスというのがちっとも見あたらない。というかそもそもここはなんだかバスターミナルのくせにバスが少なくて活気がない。
もしかしたら午後にはもうバスはないんじゃないかと不安になり、関係なさそうなバスの呼び込みをしているおやじに聞いてみたところ、このバスに乗って乗りかえろなどと言われ、そのまま乗りこんでしまった。

乗ったバスはスマランという町に行くらしい。
地図を見ながら考えたところ、つまりジョグジャカルタとスマランを結ぶルートが幹線でバスも多い。そしてボロブドゥールへはこの道の途中で分岐して10キロ行ったところにあるので、その分岐点で降りろということらしい。
そんな何もなさそうな交差点で乗り換えたりできるのかと思ったら、ちゃんとバイクタクシーのおやじが待ちかまえていたのだった。やれやれ。

帰りは帰りで、ボロブドゥールのバス乗り場でジョグジャカルタ行きに乗りたいと行ったら、今はバスのトラブルでやってないなどと言われる。してみると、昨日いくら待っても直通のバスが来なかったのもこのせいだったんだろうか。
結局、来たときと逆に、交差点までバイクタクシーで戻り、スマランからジョグジャカルタに行くバスが通るまでじっと待ったのだった。

だいたい俺はタクシーが嫌いなのだが、あのバイクタクシーというやつは特に苦手だ。よくあんな不安なものを日常的に使っていると思う。 今回は事故など起きなくてよかった。運転手も比較的穏当だったし。帰りはバスが来るまで一緒に待っててくれた(関係ないバスに乗ったりしないか心配してくれたのか?)。

でも後から考えると、問題だったのは要するに「ジョグジャカルタ←→ボロブドゥールのローカルバス」というのが今は動いていないらしい、という一点だったんだな。

インドネシアでは必見とかいう観光名所である。せっかくなので見にきてみた。
ネット等に情報があるとおり、今は

  • 事前にネットでチケットを買う
  • 時間指定制
  • 人数制限あり
  • 必ずガイド付き

という条件で、上まで登れる。ローシーズンの平日だったのでチケットは前日でも普通に買えた(当日入口に着いてから携帯で買ってる人もいた)けど、ハイシーズンは売りきれたりするらしい。

まあとりあえずアレだ、ガイド必須というのはちょっとね。イスラム教徒で仏教の説明に興味がないインドネシア人には不評だそうだが、俺にも不評だ。
というか、観光で何かを見るというのは、それをネタにして何か勝手に考えたり想像したりするということであって、説明的な知識が欲しいわけじゃないんだよ。そういうことは別にちゃんと調べればいいんだ。芸術作品を見るときと同じだな。
ボロブドゥールを見た感想が「でかーい」とかでも別にいいんだ。
ただまあ、ガイド強制というのは、制限時間を守らせたり遺跡の損傷を防いだりという面があると思うので、ここではある程度やむなしというのもわかる。なにか想像するネタになるポイントを指摘してくれるといいんだけど。

あと、時間制限というか同時入場者数を制限するのは、けっこうよかった。混雑しなくなるわけだし。タイミングによっては、ほとんど他人のいない光景も見れたほど。
でも、人が多い時期はすぐ売り切れてたいへんだろうなあ。あと時間指定なので、たまたま雨だったらがっかりだな。今日は晴れてよかった。


パガンダランというのはジャワ島南側のビーチリゾートである。
であるが、かなりマイナーだ。基本的に国内の客がほとんどのような雰囲気だった。シーズンオフの平日だからというのもあるが、そもそも観光客が少ない。リゾートというより漁村に近いのでは。じっさい東側では漁師の人達が活発に船を出していた。
人が少ないので、海も砂浜もけっこうきれいだと思う。波が高いのであんまり泳げなそうだけど、まあ俺はどのみち泳いだりしないので問題はなかった。

不思議なのは、観光客も少ないのに、物売りとかが全然いなくはないことである。町の中に多少ある飲食店なんかもそうだが、見ていてもほとんど客が来ている様子はない。あれで生活が成り立つんだろうか?
前から思っているが、携帯電話の普及に伴い、全人類が「何もせずに長時間待つ」ということを全然苦に思わなくなっているようだ。

あんまり人のいないレストランとかに思いきって入ってみて、てきとうに魚のスープとか頼んでみたら、思ったよりうまくて驚く。

あとこの町の名前は日本人には発音が難しいと思う。Pangandaranというつづりで、最初のnganが厄介だ。ngとnを続けて発音する必要がある。
まあ、周りに似た名前の町はないので、ngがちゃんとできなくても意図は通じるけど。



世界史ではおなじみ、いわゆるバンドン会議のバンドンである。

どうもアレだ、旅行の最初に滞在する町というのは、まだその国の様子がよくわかっていないので、ぴんとこない感じになりがちだ。

今回はとくに食事するところで悩んだ。
べつにレストランがあまりないというわけではなく、むしろいっぱいある。俺はおいしいお店に対する嗅覚がイマイチなので、いっぱいあってもどこに入ればいいのか見当がつかないのだ。こういうときはYが同行してると心強いのだが。
結局、激辛料理の店に入ってしまい往生したり、同じ夜市で二度食事をしたりした。まあおいしくないことはなかったので、それでいいのかもしれない。

それとバンドンは高原にあるので涼しいとかいうのはマジなのでびっくりした。ジャカルタでは、曇りでも少し歩くだけで汗がふきででくるのだが、このへんは晴れてなければ一日歩いててもたいしたことはない。無意味に坂を登ったり降りたりしなければね。

あとドコモショップ的なところでsimカードを買ったのに、どうやっても動かなかったのは無念である。いいかげん5年もののsense3はアレなのか、それともインドネシアの携帯電話登録制度がアレなのか。
いずれにしろバンドンとは直接関係ないけど。SMSは届くようなんだけどなあ。