有休をかまして11連休にしたGWも半ばにさしかかった。特にどこかに旅行に行く予定もなく、函館から帰ってきた息子と3人でのんびりとした日々を過ごしている。

たんまり宿題を抱えて帰ってきた息子。それが遅々として進まずキレるカミさん。屁理屈で返す息子、さらに怒鳴り散らすカミさん。何のことはない、入試前までの塾通いの頃の光景がまた繰り返されているのだ。所詮どんな所に行っても日々是勉強なんだと納得。

驚いたのは英語である。我々の頃は公立中学だったためかジュニア・クラウンとかニュー・ホライズンとかの出版社系の教科書だった。最初が「I have a pen.」からか「This is a pen.」からかの違いがあった程度であった。おまけに今の文科省の基準では、中学3年間でたった100コの単語を覚えれば良いそうである。

息子のはプログレスという教科書で、どうもこれはカトリックの宣教師が英語を教えるために作成したテキストらしい。つまりアチラの人が作ったものであるゆえ最初からハイレベルなのである。これを使うとかえって英語がわからなくなると言っている先生もいるほどのシロモノだそうな。我々も初めて知った。

公立中学では3年間で100コ覚えれば良しとされる英単語も、入学1ヶ月で早くも90コの単語を覚えさせられているという。持ち帰った単語表を見ると「pronunciation」など、高校あたりで出てくるかどうかのレベルの単語も含まれていた。しかも今月下旬には最初のテストが待ち構えている。

今後の息子の最大の試練は、たぶんこの英語との格闘であろう。

息子の持ち帰った宿題がやっと終わったというので、夕食に焼肉を食べに中野駅近辺まで出かけた。コストパフォーマンスの良い焼肉屋で食も飲みも進み、ノリついでに腹ごなしにカラオケボックスへ行った。

息子をカラオケボックスに連れて行くのはもちろん初めてである。たいして歌える歌もないだろうとは思ったが、中学生になった事でもあるし経験させてみても良かろうというワケだ。

得意曲を何曲か歌った後に息子がリクエストしてきた。アニメか何かの歌かと思ったら、な、なんとポルノグラフィティーの歌だった! そんな歌は親も知らない。どうも今流行のラップ調の曲であるらしい。

息子は早口でおしゃべりするように歌う。結構リズムにも乗っている。もちろん我々の世代には理解不能な詞であり耳に残らない曲なのだが、息子は流暢にこなしている。どうやら函館の寮で覚えたらしい。今まで歌番組はおろか、ろくにテレビすら見せなかったのに、この1ヶ月足らずのうちに覚えたという事なのか。

も〜、カルチャーショックだわ! 会社の飲み会の二次会でこんな歌を歌うヤツがいたら大ブーイングをかますところだが、息子のカラオケデビュー曲ともなればそうはできない。唖然としつつも黙って聞くしかなかった。

その後の私は、OYAJIのささやかな抵抗として「さくら」、子供への思いを託す「野風僧」を返すのが精一杯だった。

正月ボケにも勝る連休ボケを招いたGWも終わり、本日からまた会社勤めの日々である。ゆえにちょっと気が抜けている。

と言っても出張がすぐ控えている。水曜日から週末まで札幌へスキルアセスメントのため出かける。今日確認した週間天気予報によると、その日の札幌地方は11℃〜12℃となっていた。5月のうららかな気候を予想していたのにまた冬に逆戻りである。

出張から帰ってくれば、今度はIP電話を使ったWeb-Trainingの講師が待っている。全国各地からエントリーした営業社員に対し、互いのノートPC上で講義を行うシステムである。双方向にコミュニケートはできるのだが、講師と受講者のリアル映像はお互いに見えない。見えるのは画面に映るパワーポイントのスライドである。

おまけに初回のテーマは「医療制度改革」である。忙しい合間を縫ってアクセスしてくる営業社員が興味を持つテーマでは決してないが、必須研修時間数の関係でイヤイヤ受講する姿は想像に難くない。

では、せっかくの1時間という研修時間をどう面白くできるか?

キモはひとえに画像コンテンツと講師のしゃべりである。画像はわかりやすく図解中心に、アニメーションもふんだんに使う。問題はしゃべりである。何せ最初の試みであるゆえ、まだ具体案は浮かんでこないが、過去の経験から言えるのは、聞いてて面白いのは深夜放送のDJだろう。

深夜放送などより断然硬いテーマではあるが、来週までに何とか答えの一端を見出そうと思っている。

先週の土曜日、三匹めのドジョウ狙い映画「交渉人 真下正義」を公開初日に観に行った。混雑はある程度覚悟の上だったが、それでも開演40分前から100人を越える客が通路に並ばされた。初日という事もあるが、そこそこ盛況だと言えよう。

上映時間2時間以上の作品だったが、最後まで飽きずに観る事は出来た。だが、ストーリー展開があまりにありふれている。最初に早々と事件が起こり、犯人像も大筋でわかってしまう。明らかにならないのは犯人の最終目的だけである。いかにもという展開はTVの2時間ドラマ以上のものではなかった。メインテーマであるはずのネゴシエーターの技の描写も全く物足りない。

連休前に同僚から借りたDVDの映画「ソードフィッシュ」は、静かな会話の直後、いきなりそれが犯行の真っ只中だったという場面から始まり、さらにその4日前に遡ってじっくりと話が始まるという、主役のジョン・トラボルタも感心したというストーリー展開だった。見終わって思わず唸ったのは言うまでもない。

いつも思うのだが、どうして外国の映画やドラマはこうも唸らされるものが多いのだろうか? テーマや素材は日本の物とそう大差は無い。とすれば、それは脚本力の差ではないだろうか? 

思い出すのは、推理物のセオリーを見事に破壊せしめた「刑事コロンボ」シリーズである。犯行を犯人と共に先に見せてしまう常識破りの場面から始まり、後でコロンボが犯人を追い詰めてゆく。当時大ヒットしたのは、犯人の追い詰め方や推理の妙味もさることながら、そんな斬新なストーリー展開が根本にあったからに他ならない。たまにNHKで放映している海外ドラマシリーズにも、思わず唸らされる作品は多い。

いい意味で観客を裏切り、そして唸らせる脚本が日本の映画・ドラマには極めて少ないと思う。たとえ「意外な展開」があったにせよ、それはリアリティーを伴わないゆえ違和感があり、観ている方も納得できないし唸るまでには到底いかない。過度に作り込まれた場面設定や人物像ばかりが鼻につく。当世の脚本家は、徒らに複雑化すれば高度な脚本だという誤った感覚を持ってやしないか?

単なる娯楽作品と割り切れば「交渉人 真下正義」は、その使命を果たしていると言えよう。特段感心もしなかったし、唸りもしなかった。まるで読み捨てが宿命の漫画雑誌のような印象であった。登場人物は「踊る大捜査線」でおなじみのメンバーが多く、それなりに安心感を持って楽しめはするけど。

ヒット作におんぶにダッコ、あるいは何匹目のドジョウ作戦しかできないのなら、この先も日本映画は暗い。手遅れにならないうちに名作秀作と後世言われるようなストーリー展開の書ける本物の脚本家を育てるべきである。

2泊3日の札幌出張も終わり、とりあえず今月の出張はこれで終了となった。

札幌の天候も、当初予想された曇のち雨ではなく晴れた日々となり、気温も14℃程度まで上がり、スーツのみで過ごす事ができた。大通り公園の桜も咲き始めていた。

今回の出張で特筆したいのは、宿泊したビジネスホテルについてである。札幌駅からタクシーで10分前後のキリンビアホールや豊平川に近い、その名も「北ホテル(KITA HOTEL)」。演歌の題名のような名前のホテルだが、ネット検索して初めて使ってみた。謳い文句は「47平米のラージツイン一人占めプラン」と「健康志向の朝食バイキング付き」だ。

ホテルの建物は中規模で、コンクリ打ちっぱなしの目立つ壁と暗めの間接照明がモダンな雰囲気を醸し出している、と言えば聞こえはいいが、ビジネスホテルなら別にムードにこだわる必要もないだろう。ロビーやフロントもしゃれたフレンチレストランを思わせる。

広いとはわかっていたものの、改めて部屋にはタマげた。ソファーセットの置かれたリビングスペースとセミダブルのツインベッドスペースが家具で仕切られていたが、そこにドアを付ければリッパなスイートルームと言ってもいい位だ。バスルームも10平米はある広さで、深めのバスタブとトイレ、洗面台は2台ある。TVはリビングに大型が1台、ベッドスペースに1台設置されている。今まで泊まったどのビジネスホテルより広く、快適な空間だ。

朝食バイキングも、産地や品質にこだわった和洋食が並び、私の必須アイテムと言ってもいい生卵や温泉卵も完備されている。前日どんなに飲み過ぎても、卵かけご飯と牛乳さえあれば食欲も出て回復し復活できる。だが大抵のホテルでは良くて目玉焼き、大抵スクランブルエッグ止まりなので、これは嬉しかった。しかも地鶏卵と来れば、思わず顔もほころぶというものだ。

これで一泊料金は、ネット特価だが出張規定内で収まる¥11500である。この他にも41平米プランやもう少し小さな部屋のプランもあるようだ。そんなわけで、今回の札幌出張は仕事よりも大満足のホテル発見という成果が得られたのである。