年が明けて一段落、いよいよ各種研修が始まってきた。研修職人として気分も新たに気合の入る時期でもある。

まずは恒例の3ヶ月に1度の出張研修ツアーだが、これはすでに始まっている。今回はなんと9会場を転々とする事になった。先週の東京、埼玉を皮切りに今週は大阪2会場、来週は東京、高松、京都と移動、最終週は名古屋に福岡の予定である。30〜40人単位の一日カンヅメスタイルで、講義あり演習ありの真剣勝負でもある。

これとは別に、今日になって営業スキルのアセスメント研修のエントリーも始まった。この研修は一対一のロールプレイと説明会プレゼンのスキル評価であり、営業部員は毎年2回受ける。専門に担当する部署はあるのだが、なんせ1800名の営業部員を対象とするので、人手が足りない。部内協力業務として我々もできるだけ手伝うようにしている。

いつでも行ける東京会場は別として、真っ先にエントリーしなくてはならないのが、人気が高く競争率の高い地方会場である。今回は2月の大阪、4月の福岡、そして最も争奪戦の激しい5月の札幌をいち早く押さえた。これもベテラン社員の特権というところか。なんてったって5月の北海道は最高ですからな。

さらにその合間を縫って、DJならぬWebトレーニングもこなす。50〜60人を相手にPCを通じて双方向で行う1時間モノの研修である。これも2ヶ月に1度、10回程度担当する。表現力豊かなラジオパーソナリティーがとてもうらやましく思えるひと時でもある。

営業部員達の知識面の習得手段は、もっぱらe-Learningを使った自己学習である。毎月4〜5コンテンツが配信され、営業業務の傍ら、PCにダウンロードして学習する。だが、通常の業務時間内にやりきる事は実質困難で、深夜や休日にやらざるを得ないという場合もあり、概ね不評ではある。コンテンツは我々の部署で作成しているが、突発的な依頼も多く、予定通りに行かない事もままある。

9月になれば、全国一斉の知識確認テストが実施される。製品関連科目2科目、基礎科目2科目で、150問程度出題される。これも我々が作成するのだが、合格ラインは90%以上の得点率と厳しく、不合格者には再試、再々試が容赦なく行われる。私は過去、もっと厳しいテストだった頃に受験したが、その時幸いにも全国一位を取った。だからこのテストにしょうもない難癖をつけてくる輩には「一着を取ってから言え!」と言う事にしている。

こうしてみると、いくら生命関連物質を扱う会社の営業と言えど、かなりタイトな研修を課せられている事が伺えるだろう。彼ら彼女らはその上で販売計画にも日々追われているのである。相当に重いデューティだが、それらを克服した上にこそ、この仕事の本当の喜びというものに出会えるわけである。

どの業界でもそうだろうが、その実態は表から見える姿からだけでは想像できないものがある。特に我々の業界の仕事は、派遣やバイトなどでできるレベルではない。第一に、彼らでは仕事に必須の資格認定試験の受験資格すらない。

やはり厳しくも誇り高い専門家なればこそである。

3日間の大阪出張から帰京し一夜が明けた。起きると窓の外は一面の銀世界! とうとう東京にも雪が積もったこの日、私は最も迎えたくない日を迎えた。48回目の誕生日である。

若い頃、今の自分の姿など一度も想像した事はなかった。でも本日ここにいる自分はまぎれもなく「今の自分」である。若い頃、ジジイ年齢だと頑なに思っていた50代も目と鼻の先だ。50歳を超えた自分なんて今もって想像したくないし、見たくもない。見た目と精神年齢だけは30代を自任している私にとって、40歳を超えた後の誕生日は「悪夢の日」以外何ものでもないのである。

このところヒューザーと国会議員の関係、ライブドアショックとめまぐるしくニュースが飛び交っている。証人喚問、参考人招致、家宅捜索、事情聴取などの言葉もひっきりなしに出てくる。そんな中、超有名ブログ「きっこのブログ」を私は愛読している。さまざまな事件について、とても一般人では知り得ない部分の情報が書かれているのは驚くべき事であり、貴重な事である。彼女っていったい何者?

ライブドア関連

伊藤公介関連

このブログの文章の無断転載・転用は禁止されているので、文面についてここでは差し控えるが、これを読めば一連の事件の本当の闇の部分は何かという事が見えてくるのだ。利益を挙げている間は利用し利用されるが、いったん水に落ちたら今度は徹底的に叩かれる。これが世の中の負の仕組みなのだろう。そういえばライブドアの捜索は手際良く早かったな。

いずれにせよ、知らぬ存ぜぬが通らなくなって権力や黒幕側が見切りをつけた途端、自分達に繋がってこないようにシッポ切りに出てくる事は当然だわな。あわれ小嶋、ホリエモン・・・。

家に食べ物がまるで無い。さて雪中行軍でまとめ買いに出動しようか。

久しぶりに帰った東京だが、まだまだ寒い風が吹いている。今週は東京、高松、京都と巡ってきたのだが、我々の研修ツアーは、良くも悪くもなぜか伝説となる出来事に一度は出会う。「出会う」と言うより「やらかす」の方が正確なのかもしれないが、今回もご他聞に漏れずそのハプニングは起こった。

場所は高松。この日の研修は時間の合間にDr招聘勉強会があり、通常より遅く終了する予定だった。したがって飛行機の最終便に間に合わないため後泊とし、翌日京都へ移動するスケジュールにしていた。なので、この日の研修さえ終われば、精神的にも肉体的にも余裕が出てホッとできるのである。

さて、研修も無事終わり、翌日は移動日とあって、ペアを組んでいる同僚とプチ打ち上げを兼ねてちょっといい店に食事に行こうという事になった。彼の宿泊先であるワシントンプラザに寄って荷物を預け、いざ出陣。

まずはタクシーの運転手に聞いていた鮨屋を目指す。そこの利用客をよく送り迎えしていると言う。5分ほど歩いてたどり着いて見ると、かなりシャレた店構えの上、周りは黒塀で飾られている。明らかに接待用の鮨屋然としていたので直ちに却下。

元の場所まで戻り、瓦町の大衆酒場の並ぶ横丁へ。2、30mも歩くと一軒の魚料理の店が目に飛び込んできた。安くてウマいが騒がしい店よりも、こじんまりとした落ち着ける店を好む私には、まさにもってこいの店である。同僚も了解し、さっそく中へ。

店内はカウンター中心で座敷は奥に一部屋というレイアウト。入口でなぜかブランドもののスリッパに履き替え、案内されたカウンター席へ陣取った。隣の席には、ここの主人とおぼしき人が携帯で何やら話している。どうやら株の話らしい。カウンター内には料理人が一人、なんと白いYシャツに蝶タイ姿で立っている! 和風の店なのに何とも言えない違和感が・・・。

ビールを飲みつつ、お勧めのカワハギの刺身を注文すると、蝶タイの料理人はおもむろに背後の水槽から手づかみでカワハギを取り上げ、奥へ去って行った。しばらくすると見事な薄造りと肝がやってきた。いやぁ、ウマい! 例によって、こりゃ日本酒じゃなけりゃ失礼だとばかりに酒の銘柄を訊く。

酒は燗でも冷でも一種類、久保田の百寿だと言う。ちょっとガッカリだったが、寒かったので2合徳利のぬる燗を頼み、肝醤油にくぐらせたカワハギを一切れずつ丁寧にいただく。ああ日本人に生まれて良かったな〜としみじみ感謝する瞬間である。やがて主人の電話も終わり、彼の大好きだと言う株の話でひとしきり盛り上がる。

カワハギも終盤に近づいた頃、暖かい物が欲しくなり湯豆腐を一人前注文。目の前の石囲いの炉に炭火が置かれ、野菜やキノコと共に土鍋で湯豆腐が作られ小分けされる。ぬる燗はすでに2本目が空こうとしていた。我々はさらにお勧めのアジの煮付けとタタキを一匹ずつ追加。アジの煮付けなんて初めて食べたが、まろやかな味付けで美味だった。

飛び込みで入った店だったが、希望通りの落ち着いた雰囲気と美味に出会え、いい夜を満喫できた・・・そう、勘定を聞くまでは。

料理4品、生ビール2杯、燗酒3本、焼酎3杯で〆てお勘定26000円也! どうみても料理一品4千円以上、酒類も千円以上という計算になる。おいおい、そりゃウマいだろうよ! 一見さん価格だとしても、最初に却下した鮨屋でさえそこまでの勘定にはなるまい。それにここは銀座や赤坂なんかじゃない、四国の高松だぜ? 前日の晩に行った居酒屋じゃ5人で15000円だったのに!

というわけで、図らずも「やってもうた! 高松伝説」を作ってしまい失意の我々だったが、翌日移動した京都では、ネットで予約していた町屋造りの居酒屋「鬼河童」に行った。ここはお勧め! 雰囲気、味、値段とも申し分なく、同僚にも今後通いたい店とまで言わしめ、何とか高松のカタキを京都で討ったのだった。

今回の研修出張ツアーも残すところ明日の福岡のみとなった。昨日の名古屋ではたまたま別の講師ペアと同会場になったが、日曜日移動という事もあったのだろう、それぞれの顔に疲労の蓄積を隠せないでいた。やはり全国9ヶ所というのは講師側にかなり無理がある。

研修講師にとって、短期間で相当数の研修をこなすという事は体力的な問題もあるが、もっと問題なのは同じ内容を9回もやると精神的にマンネリ状態となり、研修効果に関わる情熱を掻き立てるモチベーションが低下してくる事である。

初回は「試し切り」で、こちらの用意したシナリオと受講者の反応とのブレを修正する。それをしながらも3回目頃にはほぼ完成型のスタイルが見えてくる。時折挿入するギャグも決まってくる。それ以降はその繰り返しとなるので、精神的に楽になり、余裕が出てくる。だが同時に緊張感さえも低下してくる。悪い意味での「慣れ」が生じるのだ。

したがって、同一の研修内容そのもので収入を得ているプロの研修講師でない限り、同じ内容の研修は5回程度がクオリティを維持できる限界だと思われる。だが残念ながら我々の部署の責任者は学術知識が乏しく、こういった研修ができないので、我々のような実感を持っていない。こなせて当たり前だと思っている。研修職人の棟梁としては失格だろう。

さて、私は夕方の便で福岡に移動するのであるが、我々の部署と隣の部署の研修講師のほとんどが集合してくる。明日だけで福岡の6ヶ所の会場で研修が開催されるのである。同時にこれで最終回となるので、打ち上げを兼ねて今晩宴会をやる事になっている。

場所は、中洲交番近くの「五条八島」という魚介類のおいしい店である。魚好きのあらゆる好みに応えられる豊富なメニュー、量も十分。去年初めて行った時にも、その品質と値段の見事なバランスに感激した。安くてウマいとはまさにこれを指すのだろう。おまけに広い部屋が多いので満席の心配も無い。今回は冬場という事もあり、さらなる感激を期待したい。

ええぃ、フグでも行ったろ〜かい!