出雲眞知子

仕事中娘から電話が来て、何かと思ったら、「花を飾るのに何かある?」だった。

塾の春期講習の帰りに、桜の枝をもらってきたのだという。
普通のお宅の前に、枝が何本か置いてあって、ご自由にお持ちください、と書いてあったのだそうだ。
この満開を迎える時期に桜を分けてくれる、という奇特な方がいたものだ。

娘は家に持ち帰ったものの、最初、紙コップに生けようとして、こけた、ということだった。
それで、「何に差したらいい?」という電話になったわけだ。

で、めったに使わない花瓶の在り処を伝えた。

帰宅すると、見事な桜の枝が殺風景な部屋を明るくしていた。