ヒビキ

メガテン×ファイアーエムブレムの悪魔合体で発表当時は随分話題になったゲーム。

メガテンというか、むしろペルソナの雰囲気が強い。悪魔合体はないし、悪魔会話もゲームの主軸としては据えられていない。バトルの難易度が高いのはメガテンというよりアトラスのお家芸だし。
ペルソナのシステムで、主人公や仲間たちのペルソナがファイアーエムブレムの英霊達、と捉えてもらうと分かりやすいかも。

バトルゲーとしてはよくまとまっている。アトラス的なピリッとした難易度だし、心地よい演出など、飽きさせないような仕組みが随所に見られる。さすがに終盤ともなるとちょっと飽きがくるのと、ラスボスが妙に弱いのはちょっと残念かもしれない。

舞台は芸能界をテーマにした現代劇で、主人公と親友(悪友?)ポジションの男性以外は、登場人物はほぼ女性。いわゆるハーレムゲーの要素が強い。登場人物間に軋轢はほとんどなく、ある意味ストレスフリーなゲーム。ペルソナ4的というか。
ただ、軋轢が無さすぎて、「仲間たちとの絆が~」とか言われてもあんまりピンと来ないんだよね。衝突して、それを解消してこその絆じゃない?以前「コンテンツのお粥化」という記事を読んだけど、最近は仲間同士がギスギスしあうのは嫌われるのかな。キャラが立っているだけに残念。エリーかわいいよエリー。

全体的によく出来てはいます。ただ、キャラゲーとしては個人的にはもう一押し。

カタルシスを得たくなって、今更ながらプレイ。…そしてあっと言う間に沼にズブズブ。

一般的な選択肢というものは一切なく、主人公の送るメールや電話の内容によってストーリーが分岐するアドベンチャーゲーム。2ちゃんねる用語とか中二病用語が大量に出てくることでも有名。もう発売から6~7年経ってるし、ネタバレしてもいいよね。

序盤は2ちゃん用語とか中二的な雰囲気がどうにも煩わしく感じられたのだけど、ラウンダーが出てきてまゆりが殺され、タイムリープを敢行するところからゲームの雰囲気がシリアスに変わる。ここから先はもう転がり落ちるだけだった。まゆりを助けられない絶望や、仲間達との絆を無かったことにしてまで進むオカリンに感情移入しまくってしまう。

序盤から伏線張られまくるし、終盤に向けてちゃんと回収していくし。真エンドに向けたチャプターでキャラごとのエピソードが挟まるが、どれも心を打たれる内容になっている。ていうか声優さんって凄いよね。声が付くだけでこんなに没入感が増すとは。

真エンドの、一番最後の最後、助手と再会するシーンもいいけど、今のところ一番印象に残っているのは鈴羽エピソード。まゆりの名推理から父娘の再会へと繋がり、万々歳で話が進んだと思ったところで、「失敗した失敗した」の仕打ち。そして絶望から自殺という結末。持ち上げておいてとことんまで落とすシナリオに本当に心を抉られた。あの手紙を朗読するシーンは心から「もうやめてくれよ」と思った。

ファンディスクとかスピンオフとか続編が出ているけど、どれもイマイチ手を出す気になれない。本編の完成度が高すぎて、どれも蛇足に感じるであろうことが目に見えるから、かな。でも個人的には鈴羽が幸せになったエンドが見たくはある。