yukatti

2009年日本映画、山崎貴監督・脚本・VFX。草なぎ剛、新垣結衣、夏川結衣、筒井道隆、武井証、吹越満、ほか。

-公式サイト http://www.ballad-movie.jp/index.html
--wikipedia:BALLAD 名もなき恋のうた
-原案 アニメ映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』
--wikipedia:クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦

昨日、ワーナーマイカルのシネコンで感謝デー料金1000円で見た。
小さめのスクリーンに変えてあったせいもありほぼ満員に近い入り。年齢層は、ファミリーで来た子供もいたけれど全体的には予想より高め。60代以上の人も結構多い。

映画 クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦 [DVD] 結論としては、ネットなどで事前に見ていた評判よりもずっと良かったー。まじめに作ってあるまっとうな映画だった。「クレヨンしんちゃん」の熱狂的ファンだったり、原案映画『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』もしんちゃんが出てくるから見たんだ……といったわけじゃなければ、このBALLADは楽しめるんじゃないかな?
BALLADの大まかな筋は原案映画にかなり忠実。しかし、クレしんならではのギャグを大幅に削り、逆に現代人と交わったときのギャップのエピソードを増やしてあるのかな、と思う。さらに、特に合戦シーンは原案と同場面、同じようなアングルを再現した上、立ち回りなどさらにリッチにしてある。実写ならではの実際の人間が動いている迫力・重みはアニメにはない魅力かと思う。VFXも良くできていて、ほとんど違和感はなかった。

しかしそういう実写化にあたっての改変は逆に言えば、クレしんファンなら、
-お下品要素をほぼ皆無にぬぐいさっていたり、
-しんちゃんの「野原家」が「川上家」になっていたり(親子三人。シロやひまわりもいません)
など設定改変が大きいので、がっかりするかも。しんちゃんファンが多い世の中ゆえ、世間の評判も良くなかったり、というのはあるかもしれない。

BALLAD 名もなき恋のうた (小学館文庫)
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たとえば、BALLADのしんちゃん「川上真一」くんは幼稚園児じゃなくて小学校四年生だったりする(ノベライズ版によれば)。若干、こまっしゃくれはじめている少年だ。その改変は、ファンにすれば原案の、しんちゃんが幼稚園児として無邪気に活躍するからこそのストーリー展開の魅力を消してしまう。原案をなぞって行動しても、幼稚園児なら許されても小四の少年としては考え無し、無邪気とは受け取れなくなってしまっていたり。あと「しんちゃん映画なのに、しんちゃん要素を邪魔扱いって何?」って感じじゃないかな?……といったことを、ネットの評判や劇場での周囲の声から感じたのだった。
そういった意味ではわたし自身は特別にクレしんファンというわけではなく、原案映画も見て号泣してしまっているのだが(http://homepage1.nifty.com/CLUBHOUSE/kousetsu/journal/j200303.html#j030327)、この映画はまた別に一本の映画として楽しんでみることが出来た。

また、つい先日終了し主演の草彅くんが素晴らしい演技をしていたドラマ「任侠ヘルパー」(ドラマの内容自体も大変素晴らしかったのだがそれはまた機会があれば)の話になってしまうけど
-この映画の撮影が昨年9月27日から今年1月12日(パンフによる)
-任侠ヘルパーの撮影が6月から
ということらしく、「任侠ヘルパー」の実質的なヒロインのひとりは夏川結衣さんだったわけだけど、草彅くんと夏川さんは「任侠ヘルパー」での共演の前に既にBALLADのなかでかなり絡んでいたわけだ。夏川さんはBALLADでは川上家で脇役かと思っていたのに想像していたよりかなり登場シーンが多かったし、台詞がなくても画面の片隅にずっと写っていたりしていた。
草彅又兵衛はかっこうよかったな。特に甲冑姿。声の迫力も良い。

いっぽうで、いくつか気になった点。以下、ネタバレあり。

せっかくの「まっとうな、(そこそこ)時代劇」(発声とかは現代風なので『そこそこ』)なのにそれを微妙にずらし、霞ませてしまった宣伝・広報のセンスがあまり良くないなあと。香山崎貴監督自らが命名したという「BALLAD」という横文字タイトルがやっぱりそぐわないなあ。

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BALLAD(バラッド)とは英語で物語的・叙事的な内容の伝統歌謡のことで、その内容には武勇伝・ロマンスなど様々なものがあるのですが、その殆どが悲劇的な結末をむかえるというもので、その志向が本作のテーマに近いということで山崎監督自らが命名しました。(ちなみに、BALLADE(バラード)とは仏語で感傷的な大衆歌謡のこと)
  http://www.toho.co.jp/lineup/ballad/introduction.htmlより
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BALLAD、という言葉自身はわたしもとても好きだけれど、戦国時代の映画であるはずの映画に「BALLAD」だといったいどういう映画なのか、時代劇として撮影されているのかどうかがタイトルじゃ全然分からない。balladという言葉に監督のこだわりがあるのであれば、せめてもの「バラッド」にすれば少しは印象違うでしょう〜。
同じように、「戦国版タイタニック」というこれも監督が考えたとかいうコピーもあまり良くなかったようにわたしには思えた。「身分違いの叶わぬ悲恋」「二人の秘めた恋」「叶いかけたのに手の平からこぼれ落ちた恋」といったようなことなんだろうけど、二番煎じのさらに二番煎じで安っぽくないですか。このキャッチコピーは必要なかったと思う。言葉で説明すれば良かったんじゃないかな。

もうひとつ。映画の中の重要なシーンで「自由にお生きくださいませ」「自由に生きよう」という台詞があるのだけれど、freedom、libertyという意味の「自由」であれば福沢諭吉・明治以降の言葉であるため、非常に気になった。映画のそのシーンに至る前に、戦国の言葉遣いにこだわるシーン─現代人と言葉が通じないという場面─が何カ所か描かれているのだから、「自由」という言葉も使わないようにしてほしかったなと思う。そのシーンでも戦国時代の言葉にこだわって、「心のままに」「思いのままに」や「のりにとらわれず、ご自分の欲するように」といったような古めの言葉にしておくべきだったかと思う。

そして野原家=川上家側で、たぶんキャラチェンジ(川上家ではみさえ=美佐子のほうが年上のキャリアウーマンという設定で、甲斐性無しのひろし=暁を従えているという設定になっている)の影響で、原案の『アッパレ!戦国大合戦』の中での、ひろしがタイムスリップに踏み切るときに言い切るとても素敵な台詞であり印象的なシーン

「しんのすけのいない世界に未練なんてあるか」

が丸々、削ってあるのが大変に、残念だった。 ただしBALLADのノベライズ版にはその趣旨の台詞として、同様の場面で美佐子が「真一がいない世界にいたって仕方ないじゃない?」と言うように書いてあるので、映画ではきっと違和感か尺の問題かカットになっちゃったのかな……と思う。

クレヨンしんちゃん原作者 臼井儀人さんが亡くなった。追悼。

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【このトピックへのコメント】
  • ましゅう「欲求不満なのかな?」終わったと思ったのに、おねだりフェラで勃たされたwwんで結局朝までずっとハメっぱなしwまぁ、延長料はしっかりもらったけどね!!(・ω・)...(2009-10-18 23:32:03)