うーん。
この漫画、どこへ向かっているんだろう。
長編漫画って、大きく2パターンあると思うのだ。
ひとつのタイプは、あるひとりの主人公を中心に、人物を描くケース。主人公を中心にいろいろな事件が起こっていく・・・というタイプね。例えば「はじめの一歩」「め組の大吾」、「サラリーマン金太郎」「課長島耕作」なんかもこれに該当するかな。浦沢作品だと「YAWARA」「MASTERキートン」あたりはこっちだろう。
いまひとつは、作品でひとつの事件を描くもの。代表的なところでは「沈黙の艦隊」ちょっと微妙だけど「ザ・ワールド・イズ・マイン」、浦沢作品だと「MONSTER」。そしてこの「20世紀少年」もこっちのタイプに分類されるだろうと思う。
で、この後者のタイプ。恐らくは作者は開始前に結末までの大筋を決めちゃうと思うんだよな。でないと書けないと思うし。そうすると、自ずとおおよそのボリュームなんかも決まってくるだろう。もうちょっと詰めていくと、全体の中でのヤマバの持ってきかたとかまで予め決めちゃう作家もいるかも。
そこへ来て、この「20世紀少年」はどうなんだろうな、と思うわけですよ。いや、作者はちゃんと考えてるのかもしれない。けど、なんていうか、読者おいてけぼりっぽい感じがするんだよなあ。謎がいっぱいなのはいいんだけど、あまりに引っ張りすぎって印象もあるし。この巻の内容からはずれちゃうんだけど、最近の「ともだち」の正体に近づくくだりもいいだけ期待させておいてそんなかよっ、みたいに思っちゃったよ。
内容としては、小泉がともだちの正体に近づいて、一方カンナはマフィアを集めてそこでオッチョと合流して・・・って感じ。徐々に話が収束というか、一本になりつつある雰囲気はあるんだけど、やはりこの視点がころころ変わるのは読者に優しくない気がする。前巻のときもあまり肯定的なこと書けなかったんだけど、今回もちょっと厳しいなあ。
ということで★☆☆☆☆。次巻からはまとめ買いにするかも。
ところで帯。「累計500万部突破」だそうな。ならして1巻あたり5〜60万ってとこか。スピ本誌の発行部数を考えると驚異的な数字かも。
しかしこれ、維持できるかなあ、なんて思わないでもなかったり。