うーん。
 この漫画、どこへ向かっているんだろう。

 長編漫画って、大きく2パターンあると思うのだ。
 ひとつのタイプは、あるひとりの主人公を中心に、人物を描くケース。主人公を中心にいろいろな事件が起こっていく・・・というタイプね。例えば「はじめの一歩」「め組の大吾」、「サラリーマン金太郎」「課長島耕作」なんかもこれに該当するかな。浦沢作品だと「YAWARA」「MASTERキートン」あたりはこっちだろう。
 いまひとつは、作品でひとつの事件を描くもの。代表的なところでは「沈黙の艦隊」ちょっと微妙だけど「ザ・ワールド・イズ・マイン」、浦沢作品だと「MONSTER」。そしてこの「20世紀少年」もこっちのタイプに分類されるだろうと思う。
 で、この後者のタイプ。恐らくは作者は開始前に結末までの大筋を決めちゃうと思うんだよな。でないと書けないと思うし。そうすると、自ずとおおよそのボリュームなんかも決まってくるだろう。もうちょっと詰めていくと、全体の中でのヤマバの持ってきかたとかまで予め決めちゃう作家もいるかも。

 そこへ来て、この「20世紀少年」はどうなんだろうな、と思うわけですよ。いや、作者はちゃんと考えてるのかもしれない。けど、なんていうか、読者おいてけぼりっぽい感じがするんだよなあ。謎がいっぱいなのはいいんだけど、あまりに引っ張りすぎって印象もあるし。この巻の内容からはずれちゃうんだけど、最近の「ともだち」の正体に近づくくだりもいいだけ期待させておいてそんなかよっ、みたいに思っちゃったよ。

 内容としては、小泉がともだちの正体に近づいて、一方カンナはマフィアを集めてそこでオッチョと合流して・・・って感じ。徐々に話が収束というか、一本になりつつある雰囲気はあるんだけど、やはりこの視点がころころ変わるのは読者に優しくない気がする。前巻のときもあまり肯定的なこと書けなかったんだけど、今回もちょっと厳しいなあ。
 ということで★☆☆☆☆。次巻からはまとめ買いにするかも。

 ところで帯。「累計500万部突破」だそうな。ならして1巻あたり5〜60万ってとこか。スピ本誌の発行部数を考えると驚異的な数字かも。
 しかしこれ、維持できるかなあ、なんて思わないでもなかったり。

(発行日:2002/08/01)

 おおっ、ついに小松があああっ!!
 いや、ここへ来てそんなテクを使うとは。っていうか、そのテクは太田は未経験だったのか?まあ相手が高校生の小僧ばかりならそれも致し方ないか(←おいおい)。
 そんなわけで、いよいよ次回、小松のホントの初体験か!?・・・といったところで3ヶ月休載だってさ。ぶーぶー。ってちょっと待て。次回掲載は50号(11月11日発売)って、それは4ヶ月後じゃないか。ああそういうことか。くそう。

 ってね、なにげにこの漫画、楽しみにしてたりするんですよ。ヤンマガの中で楽しみなのが、「バカ姉弟」「花とみつばち」「カイジ」「ガタピシ車でいこう!!」ってとこだな。どれも毎号連載じゃないところがすごい。ところが、このどれもが載らない号ってのが案外少ないんだよなあ。なので、ここから花みつが欠けてしまうと、ヤンマガ離れが加速しそうな感じ。三郎はあんなだし。うむう。それもまた人生か(?)。

 パンク・ピーターパンって感じの漫画。

 松本次郎というマンガ家、ご存じない方もおられるかもしれない。わしも知ったのは比較的最近だ。多分最初に見たのはFの「熱帯のシトロン」だと思うが、このときは絵柄がとっつきにくく、また話がぶっ飛んでてよく分からなかったせいで読み飛ばしてしまっていた。
 が、昨年からIKKIではじめている「フリージア」、同時期やはりFではじめた「未開の惑星」。この2作品をちゃんと読んでみたところすっかり参ってしまった。もうメロメロ。絵柄は相変わらず取っつきにくいのだが、舞台設定とか雰囲気とか、あとイっちゃってる具合が非常に心地よい。しかも読んでみると話が面白いのよね。絵と雰囲気でとんでもない話かと思えるのだが、ちゃんとスジが通っている。
 ほんで、この最近の2作品はまだ単行本化されてないので、この機会に旧作でも漁ってみよう、ということで購入。大判コミックスでちょっと厚め、その分値段がちょい高め(1300円だったかな)。これ。

 で、内容は冒頭で書いたとおり基本はピーターパンで、主人公は女子高生。父親が不在がちで母親がキッチンドランカーと化してしまっているという病んだ現実に嫌気がさしていたところ、彼女をウェンディと呼ぶピーターパンが現れて彼女をネバーランドに連れていく。が、ネバーランドは理想郷などではなく、暴力と欲望のうずまく世界。で、彼女は現実とネバーランドの間で揺れ動くのだが・・・という感じ。
 初連載作品ということもあって絵もキレイではないし、ぱっと見ごちゃごちゃしてて読みづらい感じだ。けど一度読み出したらぐいぐいその世界に引き込まれてしまう、そういう魅力のある漫画。この人の漫画にはそういう不思議な引力がある。
 松本次郎という漫画家に興味を持ったなら是非読んでみてもらいたい。★★★☆☆。

 ところでこれ、初出はモーニングなのだそうな。95年頃らしいのだが、ちょうどその頃、わしはモーニングは読んでなかったんだよなあ。んでまあ、このように単行本一冊分くらいの話があるにも関わらず講談社からは単行本が出なかったのだが、一昨年になって太田出版から出た、と。太田出版ってこういうところフトコロが深いなあとか思うよな。もっとも今なら講談社でも出しそうな気がするけど。

(発行日:2000/05/29)

 ムダに熱い島本漫画漫画。相変わらずオモロイ。
 ・・・のだが、これまでと比べるとテンションが少し下がってるような気がしなくもない。3巻くらいまでは圧倒的に面白く、何度読んでも声を出して笑うことが禁じ得なかったのだが、今回はそれほどでもないかも。といいつつ初回は電車の中で読んで、声を出して笑ってしまったのだが。
 ネタ的には妖精さんネタとかが島本チックでよかったのだが、今回一番面白かったのは巻末の「COMIC BOMBER」だなあ。なんかもう、早く続きを読みたいよ(笑)。

 面白いのだがここはあえて厳しく★★☆☆☆。まあ前巻までが面白すぎたのかも。
 しかし仮面デスクはいいキャラだなあ。

(発行日:2002/08/20)

 熱い。
 この巻はストロンガー、スカイライダー、スーパー1登場なのだが、なにせ熱い。とりわけストロンガー。城茂(ストロンガー)の岬ユリ子(タックル)への思いを絡めつつ、ストロンガーの「男っぽさ」みたいな部分が描かれている。カラーページで一度ボロボロにされた茂が再び立ち上がって変身し、しかし変身後の姿もボロボロで、それでも立ち向かう、という場面は思わず涙が溢れそうになるくらいカッコイイ。ストロンガーって、あまり好きなライダーではなかったのだが、これを読んですっかりファンになってしまった。突っ走れ!空を飛べ!!(←それは無理だろ)
 スカイライダー、スーパー1あたりは個人的にはもはや思い入れがないのだが、それでもしっかり面白く読める。

 で、話の方はとりあえずこれで第一部完となる。本誌の方では現在第二部として「仮面ライダーZX」連載中。ここに収束させるわけですな。って、これまでもそれっぽい雰囲気がそこかしこに出ていて、ストロンガーの戦った相手なんぞは黒いZXって感じの集団だったし。
 ZXは結局1話しか放映されなかったのだが、これを機会に映像化されたりするといいかもしんないなあ。もちろん主題歌は「ドラゴンロード」でね。

 そんなこんなで★★★★☆。
 次巻からはタイトルも変わるかもシレンし、また1巻からってことになるのかも。

(発行日:2002/06/21)

 ドラマも快調!・・・なんだかどうだかしらんのですが、3巻目。
 この巻では白木と漂流少女、小松・西山の子供どうしよう?、最初のサトラレ、浩がサトラレであることを自覚、サトラレ・ノイローゼ、りんのストレス、の6話。サトラレという存在の問題点をいろんな視点から見せてくれてるというか、どんどん物語に幅と深みが出てきてる感じがする。なんつーか、1巻2巻は序章で、ここからサトラレたちやまわりの人々がどう問題を克服していくか、というような感じになりそな雰囲気。
 とりわけ、小松と西山の子供の話とサトラレであることを知ってしまった子の話なんかは興味深い。西山の子供に関しては今月のイブニングで解が出ていて、結局子供もサトラレであったわけだが、これから子供が成長するにしたがってどうなるのかというのは気になるところ。だって、普段は小松と暮らしてて、西山とあうときだけ入れ替えるんでしょ?子供が大きくなったらいろいろ無理が出てきそうだよなあ。どうすんだろか。
 あと気になるのが浩の話かな。幼いうちに自分がサトラレであることを知ってしまって、その上でこれからどう生きていくのかってのは興味深い。一人目のサトラレは、自分がサトラレであることを知っていてそれに耐えられなくなって自殺してしまった、ということになっている(事実は違ったけど)。そのことも絡めてくるんじゃないかとか思えるが、どうなるんだろうか。

 そんなこんなで、単なるエエ話ではなくなってきて、イイ漫画になりつつあるようで、ますます期待。
 ★★★★☆。

 ところで巻末のコメントとか読むと、佐藤氏の謙虚さみたいなものが感じられるのだが、ファンとしてはもうちょっと自信持って書いてもらいたいなあ、とか思ったりもする。今月はようやくイブニングの表紙も取れたんだし。頑張って欲しいです。あと、ぼちぼちほかの作品も読んでみたいよな。モーニングあたりで読み切りでも書かないかしら。

(発行日:2002/07/05)