ちょっと厚めの最終巻。
 内容は、まあ読めやってことで。やあ、なんつーかね、内容云々よりも描写が素晴らしいよね。暗闇っぽさとか、場面場面での緊張感とか、息づかいとか。とりわけ春子を助けるために鍵を探さなくちゃならないのに、酒と祭独特の雰囲気に酔ってしまって、自分の欲望のはけ口をさがして奔走する相浦の様子なんかはもう、なんとも言い難いよな。澄子の純粋な気持ちと、村の人間である面との葛藤みたいな描写もいい。
 てな感じで褒め言葉しか出てこないです。★★★★★。

 んー、偉そうな言い方だけど、この人ヤンサンで描いてた頃から比べてものすごく漫画がうまくなったなあ。や、ヤンサンの頃から好きだったんだけどね。なんていうか、レベルがあがったって感じがする。これからますます期待できそうだな。
 ところであとがきはやや蛇足気味だった気がするな。ま、いいけど。

(発行日:2003/01/01)

 これにて完結。
 んー、正直なところ肩透かし喰らったというか、期待空回りしちゃった感じ。絵柄とかテンポとかは申し分なかったんだけど、序盤で種を蒔きすぎたのかなあ、というような印象。最後はもう、無理矢理ばたばたと店をたたんでるって感じだし、それになんといってもタイトルである「穴」があまり大きなモノでないんだよなあ。その辺が大きいかもしれない。
 つーことで★★☆☆☆くらい。

 でもまあ、なんというか面白いです。小気味いい、というか。世界観とか絵柄とか、Fっぽい雰囲気だし。この人、これがデビュー作らしいので、今後には大いに期待できそう。

(発行日:2001/11/24)

 二宮ひかるという作家は実はあまりよく知りませんで(←おい)。や、雑誌とかで読んだことがあるわけじゃないって意味でね。んで1ヶ月くらい前だろうか。「復讐のように」ていう短編集を買って読んだ(←これも近日中に感想書きます)ら、なんかハマってね。で、ブクオフで短編いくつか読んだりしてて、あーいいなあーとか思ってたのですよ。
 そこへ来てOHPの月極アンケート11月のテーマが「ラブストーリー」で、そこで二宮ひかるの「ナイーヴ」と「ハネムーンサラダ」が絶賛されてるわけですよ。こりゃあもう、読まないわけにはイカンでしょう。ねえ。

 ということで前置きが長くなったがその「ナイーヴ」。
 内容は、えーとどういうんだろう。体から始まった恋に振り回されっぱなし、みたいな。なんか違うな(汗)。なんていうか、恋愛の体の部分と心の部分との葛藤というか、ちぐはぐさみたいなものが、、、ってのもなんか違うような。やあ、あの、恋愛のいわゆる「かけひき」じゃないところにあるもどかしさみたいなのが非常によく描かれてるなあ、っていうか、アレですよ。早い話、こんな恋愛してみたいなあと素直に思わされる作品。恋愛漫画って結局、そこに尽きると思うのね。
 引き合いに出すのが正しいかどうかはよくわからないけど、例えば柴門ふみ。彼女の描くラブストーリーって、実はあまり好きじゃないんだけど、その理由を考えてみると、「こんな恋愛をしてみたい」と思うような話じゃないってことなのかなあ、とか。これまでは男女の視点の違いなのかなあと思ってたんだけど、どうもそうではないみたいだし。
 恋愛って、ってわしがこんなこと書くのもなんだけど、距離が大切だよなあ、とか思うんですよ。ココロの距離、カラダの距離、それぞれあるかなあ、と。その距離の描き方みたいのが秀逸だなあ、とか思いました。
 あとは、オツアンのコメントでおっしゃってる方もいましたけど、変に第三者を絡ませてないところとか、全3巻で短くすっきりまとまってるってあたりも読みやすくていいかなーって気がしますやね。ふとしたときに手にとって、いつでもイッキ読みできちゃう、と。
 文句なし★★★★★。読んで損はないと思いますぜ。

 そんなこんなで今現在二宮ひかるに大ハマリ中なわけです。「ハネムーンサラダ」も読んでみたし、短編集も買い漁ってみたりしてます。ジェッツコミックスのは全部集まったんじゃないかなあ。ひとりの作家にこれだけ執心するってのもひさびさだね。以前は安達哲とか、北崎拓とかハマったっけ。あんな感じ。いやあ、まいった。

(発行日:1998〜1999)

 最終巻。なんか今回、最終巻ってのが多いな。
 んーと、全体的な感想になっちゃうんだけど、ちょっとあっさりしてたかなあ、と。あー、いや、複数のエピソード、いろいろな人間模様が複雑に入り組んでて、話としてあっさりってわけじゃないんだけど、なんとなく淡々としているというか。これだけ引っ張っておいて、こんな結末かよ!とか思ったりすることもあったかなあ。最後もちょっと淡々としてるかなあ、とか。一度検事を辞めることを考えた潮が、そこからさらに成長する、なんて姿を読みたかったりもするわけで、これで終わられちゃうのはなんとなく尻切れトンボ的な感じがあるんだよなあ。
 あと、八重子とか堀部とかとの関係も中途半端なままってのも・・・まあ、あれはあれでいいのかもしれないけど、読んでる側としてはなんとなくすっきりしない感じだよなあ。一発くらいやっとけよ!みたいな(←やめなさい)。
 とはいえ、全体に面白かったですよ。何度か書いてるけど、隔週誌連載ではちょっと内容を追いづらかったとこはあるけど、単行本でまとめて読むと読み応えもあったしね。けど、これも何度も書いてるとおり、少なくともわしが高田靖彦という漫画家に望む雰囲気ではないかなあ、とか思わないでもない(←すげええらそう)(ファンなんてそんな勝手なもんなんです)。
 つーことで、★★★☆☆くらいかなあ。

 で、もうすぐ新しい連載がやはりスペで始まるらしいのだが、今度は野球モノらしい。この間増刊でやってた読みきりがプロローグになるらしいのだが、また、こう、なんつーか落ち着き払った作風になりそうな予感が。はてさて。

(発行日:2003/01/01)

 最近の雑誌連載よりいくつかぱらぱらと。

 森川ジョージ「はじめの一歩」(週刊少年マガジン)
 今回は強かった。なんつーか、ものすごく「成長した」って感じのエピソードだったと思う。しびれた。

 すぎむらしんいち「クローン5」(ヤングマガジンアッパーズ)
 なんと次号でおしまいとか。なんだかなあ。最初の方はすごく面白そうな感じだったので、大作になるのを期待してたんだけどなあ。主人公4人出しておいて、4人それぞれうまく使いまわせてなかった気がする。イクなんか思いっきりカゲ薄いよなあ。まあとりあえず単行本完結待ちってことで。全4巻になるかな?

 高橋ツトム「ブルー・ヘヴン」(ヤングジャンプ)
 こちらも次号最終回。まあこういう状況を長々とひっぱってもしょうがないけど、ちょっとあっさりしすぎだなあ。というか、途中飛ばして読んでるせいもあるかもしれないけど、ガシガシ脳内補完しないとついていけない漫画な感じ。こちらも単行本完結したらまた、ってことで。

 いわしげ孝「新・花マル伝」(ヤングサンデー)
 先週号だけど、こちらは大団円。まー、こんな感じかなーってまとめ方ではあるけど、最後の見せ方はもうちょっとなんかあったんじゃないかなーとか思わないでもない。途中読んでなかったところもあるので、折をみてイッキ読みでもしたいところ。だけど、長いよなあ。無印が全19巻で、新が既刊17巻+あと1〜2巻?漫喫で読むなら数日かけないとダメだな。

 阿部秀司「エリートヤンキー三郎」(ヤングマガジン)
 アルバイター河井編はちょっと拍子抜けだったのだが、今回は少し期待が持てるか?というか、このエピソード、終わらせるならもってこいかもしれない。ここを逃すとマンネリ長期連載化してしまう懸念があるな。

 そういや今日は月マガか。電車通勤になった関係で、本屋の傾向がすっかりかわったのよね。雑誌は駅の売店で買うようになってしまって、表紙買いとかの機会が減っちゃいそうでイヤン。職場の近くで本屋さん探そう。