10月はちょいと少なめ。読書の秋。

日付項目期待値ひとこと
17(金)井上雄彦「リアル」(3)☆☆☆展開遅すぎ
17(金)曽田正人「capeta」(1)(2)☆☆☆☆☆待ってました
18(土)島本和彦「吼えろペン」(9)☆☆☆☆今回も富士鷹が!?
25(土)福島聡「少年少女」(3)☆☆2巻、ちゃんと読んでないかも
30(木)山本英夫「ホムンクルス」(2)☆☆☆なかなか
30(木)山本英夫作品集☆☆☆☆読み切り「1」とかか!?
中旬ツギノツギオ「サルハンター」☆☆☆☆延期。情報源はエロティクス掲示板

 エロティクスFも10月末発売のハズ。

 青年誌、一誌に一本、医者漫画。
 これはオリジナル連載の医者漫画なのだが、「医龍」や「ブラックジャックによろしく」みたいな医療業界系ではなく、お医者様の成長+人情ドラマて感じ。開業医の息子の、内縁の妻の子、という立場だが、元気いっぱいの若い女医さんが主人公で。まあ、アレですよ、まわりの人と関係しながら、がんばっていくっていう感じっぽいです。この人のマンガだと、長いことやってた「おかみさん」に雰囲気近いと思います。口当たりがいいので読みやすい。ただ、心に残らなかったりするかもなあ。読みやすさと紙一重って感じだもんな。

 で、それとは別の懸念がひとつあって。この巻の最終話が救急救命する話なのですが、普段は半人前の主人公・ちろるが、心停止した患者に対して火事場のバカ力を発揮して命を救っちゃうのね。で、彼女には以前からそういう性質があって・・・とかいう設定になっちゃったりするんですが。これがなんとなく後出しジャンケンくさくもあり、あるいは「め組の大吾」とか「ゴッドハンド輝」とかだよなあ、というのがね。
 なんていうか、単純な成長モノ+人情モノにしたくない、ということでこっち方面に方向転換していくんだとしたら、どんどんつまらない方向というか既視感満載の漫画になってしまうんじゃないだろうか、とか心配です。
 なんかうまい方向に進んでいくといいんだけどなあ。

 そんな感じで、とりあえずは★★☆☆☆。
 ごくごく個人的な好みで言えば、この手の漫画は人情モノだけでいいんじゃないかな、とか思うです。まあ、それだけで連載長続きさせるのは確かに難しいけど、そういうもんじゃないかなあとも思うし。
 厳しいかなあ。

(初版発行日:2003/11/01)

 最高だ。

 誰が笑えると言うんだ・・・?
 彼を・・・!

 って2巻の感想を書いてアップしてみたら1巻の感想書いてなかったのね。
 男・黒沢44歳。建築会社に勤める彼は、ある日自分には何もないことに気づいてしまう。家族も恋人もなく、ただ年を重ねてきただけの男。それを彼は「齢男」と呼ぶ。そんな彼の日々の思いや葛藤なんかを描いている。
 これがね。黒沢の視点ややることがことごとく面白すぎ。工事現場の旗振りロボットを「太郎」と名付けて半場で一緒に寝泊まりしたりとか、若くて人気のある現場監督にライバル心を燃やして、なぜか仕出し弁当に自腹のアジフライをつけてみたりとか、やることなすこと裏目なのだ。そのあがく様が非常に面白いのだが、しかしただ面白いだけではなくもの悲しい。しかもかれこれ35にもなろうかという自分と照らし合わせると、笑えないよなあとか思ったりもするわけだ。黒沢がよかれと思い、母親の不注意で迷子になりかけた子供をあやしているのが誘拐と間違われるエピソードとか、いや、漫画なので当然ありえないほどに誇張はされているのだが、自分も同じなんじゃないか、とか思わされたりするわけです。

 ということで2巻。名言満載ですよ。「ひょっとして・・・聞かされるのか・・・?あの冗談を、これから毎日・・・!」「電車は危ないっ・・・!」「逆ナンか・・・?これがウワサの・・・」「なぜなら・・・寂しがり屋だから・・・!不良少女(あのこ)たちは・・・!」「バットはダメッ・・・!」いやもうかなわんよ。
 そんなわけで★★★★★。やあ、前巻はちょっとね、我が身を振り返って悲しくなったりもしたのだが、吹っ切れたのか今回は笑えた。いや、ほんとに笑ってていいんかなーとかいう気もどっかにあるんだけどね。でもまあ。ね。

 ちなみにこれ、今日の昼に飯食いながら読んでたんだけど、メシ食って会社に帰るや否やメール来ましたよ。

黄色い電車乗ってもエロハンドはするなよ

 ほっとけ。

(第1巻初版発行日:2003/08/01)

 うひー、とうとう少女漫画にまで手を出してしまいました。お母さんごめんなさい(?)。
 いえね、ジョージ朝倉の漫画がおもろいなーとか思って、ほかの作品も読んでみたくなって手を出してしまいました。別冊フレンド連載中。といっても別フレを購読してるわけじゃないんだけどね。って、何を取り繕う必要があるのか。

 内容は、白馬に乗った王子様を本気で待っている17歳の女子高生・蘭と、その蘭のために王子様になった右京を中心とした、大雑把に言えばドタバタラブコメ。なのだが、この人だけにドタバタっぷりがイカス。ドタバタっつーか、ぶっ壊れてるよな。すばらしい。
 ただなあ。2巻になって三角関係になるのね。相手は蘭の従兄弟なのだが、これが加入することによってだんだん普通のラブコメになっていくんだよなあ。この人に求めるのはそんなもんじゃないだろー、とか勝手に思ってるわけで。なんだかねえ。

 でもまあ、面白いですよ。続刊が出たら迷わず買い。★★★☆☆。
 実はこの人のマンガ、最近ほかにもいくつか読んでます。気が向いたらそのうちに。

(第1巻初版発行日:2002/10/11)

 ★★★★★。

 母の死をキッカケにとりつかれたように描いて漫画への復讐をはじめる鉄男。一方の町蔵は、裕美子、久美子や周りの人間の支えがあって、漫画家として確実に成長していく・・・という感じ。
 二人の生き方は離れていくが、町蔵が父親を理解し、鉄男を理解することで、二人の絆は深くなる。最後の方で傷つきペンを握れなくなった鉄男のかわりに、町蔵が最終回を描くことになるのだが、この辺のくだりはもう毛穴開かずにはいられないって感じです。いや、あの、ペンを持つ手に手を添えるとか、ややBLっぽくはあるんだけど、そういうんじゃなくてね。なんというか、単純に熱い涙が流れる漫画です。
 最終回はお決まりの「○年後」ってヤツ。このパターンはなんだかつまらん場合があるし、実際ベタなツクリにはなってるんだけどね。だが、最後のシーンはやはりイイ。わかっていても毛穴が開いちゃうのね。ああなるほど、二人は本当の戦友になったんだなー、とね。

 日本橋ヨヲコという作家、苦手な人は多いんだろうなあと思います。プラ解にしろ極天にしろ、サブイボ立ちそうなくらい青臭いし。それに短編集の名前「バシズム」なんてのも、押しつけがましいと感じる人もいるんでしょう。
 しかしね。こういう青臭さがまた心地いいんだよなあ。なんていうかさ、無い物ねだりみたいな感覚だろうか。自分自身こういう風に青臭く生きられないからこそ、こういうのにひかれるのかなあ、とか思うです。他方、嫌う人ってのは、こういう青臭さに対するヒガミがあるんじゃないかなあ、とか自分勝手な解釈をしてたりするわけです。つまり、紙一重なんじゃないかなあ、とね。なんつーか、この人のマンガの登場人物ってそういうところがあるじゃないですか。キッカケひとつで、ハマれるんじゃないかなあ、とか思ったりもするんですがね。
 っていうあたりが感化されてるんだろうなあ、わしは。

 そういえば3巻の表紙、どこかで見たことがあると思ったら、最終回の載ったIKKIの表紙の続きだったんだ。ほほーう。
 そろそろなんか描かないかしらね。

(発行日:2003/11/01)