随分ため込んだな。
はじめて走ったカートコースで出会った「ライバル」源奈臣。
カペタはその母親であり、彼のチームの監督でもある奈々子にSLレースに出ることを薦められる。
チームへの誘い、エンジンの提供を断り、オンボロのカートでレースに挑むカペタは、練習走行で自分の走りを見つけ出し、
奈臣の持つコースレコードを塗り替えてしまう。
レース本番、カペタはスタートに失敗し、16台中12位まで順位を落としてしまう。
自分の前にほかのマシンがいて思うように走れないいらだちと葛藤するカペタだったが、
徐々に自分の走りを取り戻し、最後の一周で1位、2位のマシンをパスし、初出場で優勝してしまう。
と、ここまでが5巻までの内容。6巻からは中学生編。
友人や町の人たちの協力でなんとかレースを続けていたカペタだったが、3年目のフレームはもはやボロボロ。
カペタは奈臣と戦うために直近のレースをパスして、15歳になるのを待ってFA(奈臣のいるクラス)に出たいと言い出す。
しかし周りの説得などもあって、ICA(カペタのいるクラス)のレースに出続けることを決める・・・という感じ。
熱いなー。
や、ただ熱いだけじゃないな。この作品、これまでの曽田マンガとはちょっと雰囲気が違う。
前回1・2巻の感想では「また天才かよ」みたいな書き方をしたのだが、しかしこのマンガ、ライバルの奈臣は明らかにカペタよりも上。
まあ、ここまでまだ直接対決したわけではないのでどちらが完全に上ということははっきりはしていない。
奈臣がひとつ上のクラスにいるのは、年齢と環境のせいってのもあるしな。
しかしはっきりとライバルを意識している主人公ってのは、この人のマンガでは珍しいよな。
加えて主人公カペタを取り巻く環境。テルにしろ、昴にしろ、その天才性のためもあって、ストレートな「友情」というのとは無縁だったように思う。
例えば大吾と甘粕のような、やや屈折した友情は描かれては来たが、
しかしこのカペタでの、カペタとノブやモナミ、あるいは父親や周りの人間との絆は、これまでの曽田マンガで描かれてきた人間関係とは一線を画しているように思える。
ぶっちゃけ、ストレートな分だけ、わかりやすく、熱い、という感じか。
ともするとベタベタでありがちなマンガになりがちな人間関係ではあるが、しかしそこは曽田正人、こんな普通のマンガにありがちな人間関係でありながらもしっかり熱い。
なんつーか、この人の新たな引き出しを見せつけられているような気になるな。
あと、絵。昴は中盤以降、絵がややあやしいな、とか感じていた。
ぶっちゃけ、雑だな、と感じることが結構あった。熱さの裏返しとも取れなくはないのだが、それを差し引いても、ということが度々あった。
しかしこのカペタは丁寧だよな。絵柄的には大吾の頃にかなり近い感じ。絵からもエネルギーが伝わってくるような気がするよ。
ま、昴は週刊連載で、こっちは月刊連載ってのもあるかもしれないな。
といいつつ、シャカリキも大吾も週刊連載だったわけだが。
まあ、いずれにせよ腰を落ち着けて書けてるのかな、とか思える感じ。
そんなこんなで、ここまではもう期待通りというか期待以上というか。★★★★★。
この先、どうなんかなあ。奈臣と戦わないわけにはいかないだろうし、いずれF1まで行くんだろうし。
結構長い連載になりそうだなあ。これはこれでいいのだが、昴の続きも気になったり。
(第6巻発行日:2004/11/17)