安土・桃山時代の武将であり茶人の古田織部正を主人公とした戦国・数寄物語。 古田織部は日本史の教科書に出てくるような人物ではないが、 数寄が興じて千利休に師事し、豊臣秀吉の代には切腹を命ぜられた利休にかわって茶頭となる。 「織部焼」は古田織部の指導で創り始められたという説もある。

  とか書くと堅っ苦しい歴史物かと思われてしまうかもシレンが、そこはそれ、山田芳裕である。 古織の数寄っぷりをおもしろおかしく、飄々と、ときには切なく描いている。 どこまで史実に基づいているのかはわからん (特に利休切腹のあたりのくだりは、作者の独自解釈が含まれていると思われる) が、そんなこととは関係なくエンターテインメントとして、子供から高齢者の方まで幅広く楽しめる作品だ。 いや、子供にはちと難しいかね。

  前作「ジャイアント」はいまいち作者らしくないなあ、というか、作者らしさがうまく出せていないな、 というような感想だったのだが、本作は「大正野郎」「やぁ!」など初期の作品に見られるような飄々としながらも鋭い切れ味をもちつつ、なおかつ暖かみのある雰囲気と、 「度胸星」「いよっおみっちゃん」「ジャイアント」など比較的新しめの作品に見られるような重厚感、大胆さが十分に出せていると思う。 いや、実にわしの持つ作者のイメージにぴったりよくマッチした作品だ。 かつ先述の通り、内容的に読者を選ばない。 ……と思ったのだが、まあ仮にも歴史物ってことだけで敬遠しちゃう人も多いんだろうなあ。
  ともあれ。本作は作者の代表作になる、と確信している。★★★★☆。 読者は選んでしまうかもシレンが、この人の漫画はこれでいいと思うのよね。

  隔週連載なので進みは遅いが、連載の方では秀吉の政権にも陰りが見え始めている頃。 徐々に脂っこいところに入って行きつつ、さらに数寄も極みへと向かっていこうかというところだ。 この先にも期待したい。

(第1巻発行日:2005/12/22)

  うーん。
  どうももうひとつな感じが。絵も「すげーっ!!」ってほどじゃなくなってる、っていうか明らかにおかしい部分もある。 ただ通して読むと悪くないんだよなあ。

  「TRAP」打ち切りから次の連載に向けて担当の港浦とぶつかったり、福田や蒼樹と協力したり。 また、高木と見吉の間も一波乱ありつつも進展したりとか。
  悪くはないんだけど、、、「悪くはない」なんだよな。 正直4〜5巻の頃から比べてテンション下がってきてますよ。 二人の出会い、「一億分の」「金知恵」から「TRAP」連載のくだり、そして真城の入院から復活までのあたりはすごく熱くていい。 でもその後はちょっとなあ。あのまま「TRAP」でアニメ化→ハッピーエンドでもよかったんじゃないか?って気もしちゃうんだよなあ。
  いや、といっても先の通り悪くはないんだよな。港浦とぶつかって、高木がキレてファミレスから出るところとか、福田の男気とか、 あと8巻の最終話は最高だ。やっぱり新妻エイジだ!って感じだ。 なんだけど、なんつーかなー。 正直高木の恋愛話はどうでもいいし、ここに亜豆を絡ませる意味もわからない。 岩瀬を当て馬として使うならもっとやり方あるんじゃないか?って気もする。 あと中井。ここまでゲヒンにする必要はないだろ。 ゲヒンといえば石沢もか。まあ殴られ役でかわいそうだなー、って気もするが、かわいそうで言えばなんせ高浜さんだろ。 この人、超不幸だよなあ。この人には幸せになってほしい。 あと蒼樹さん、チチ成長しすぎ。上げてる?(ぉぃ

  っていうようなコトを書いちゃうってコトは、わしもこの作品愛してるんだろうなあ、って気がする。 キャラに肩入れしたくなるくらいこの作品は魅力的なんだってことだ。
  つーことで★★★☆☆。

  でもなー。あとで読み返すときにはこの8巻だけ飛ばしちゃいそうだなあ。 あと最近の連載追ってると、えらく絵が荒れてるのが気になっちゃうよなあ。 二人にはこの作品にめぐりあえてよかった!と思えるような傑作を描いてほしいです。 どっちの二人だかよく分かりませんが。

(第8巻発行日:2010/04/30)

  大好きだった姉を失って、バレーボールの名門中学に在籍しながら自分を押し殺してきた練(ネリ)は、 高校入学をきっかけに様々な出会いを通して自分の進むべき道を見つける、、、って感じであってる?(聞くな)

  随分変ったなあ、という感じがする。 プラ解、極天あたりと比べると、絵柄も雰囲気も変った。 言うならば「マンガらしくなった」って気がする。 あー、なんかねえ、 「G戦場ヘヴンズドア」 よりも前の作品って、マンガであってマンガじゃない感じがあるんだよなあ。 いや、決してけなしているわけではないんだけど、なんだろうなあ。うまく言えん。

  この作品の過去の作品との大きな違いは2つ。
  ひとつは絵。確実にマンガらしい絵になっている。 や、以前のがダメってわけじゃなくて、むしろ以前のゴツゴツした感じのがいい、って人も多いだろう。 が、今の「もりっ」って感じのGペンで描かれた人物は、ものすごい存在感を出していると思う。 どちらかというと、今の絵の方が読み手を選ばない気がする。
  二つ目は主人公達のコンプレックスの描き方と、その乗り越え方、そしてその先。 ってのは恐らくこの人のマンガの主軸なんだよなあ。 でもここがまたさらに以前よりもマンガらしくなっている。もちろんいい意味で。
なんだろう。以前の作品はなんとなく主人公がコンプレックスを昇華させるとそれでおしまい、みたいな感じがあったのよね。 まあそれが青春っぽい感じでもあって決して悪くなかったのだが、描き方によっては鼻につく部分もあったのも事実。 だが、この「少女ファイト」では、まあやはり登場人物はみーんな何かしらのコンプレックスを持ってはいるのだが、 それを克服するプロセスの描き方が、ここうまく言えないんだけど、すごくマンガらしい感じで、 なおかつ一発で簡単に乗り越えるわけではない、というところだろうか。 うーん、うまく言えん。。

  やあ、この感想書くにあたって、本作なんどか読み返したり、過去の作品読み返したりしてみたのだ。 自分の中ではなんとなく腑に落ちているのだが、これをうまく表現することができない。 ひとつ確実に言えることは、この作品では主人公は一人ではない、ということ。 あー、そうだなあ、その意味では「G戦場ヘヴンズドア」も過去作品よりもマンガらしい。確かにそうだ。 えーとつまり、複数の登場人物がそれぞれにコンプレックスを抱えていながら、 それを克服しながら前に進んで行く、というくだりにおいて、 主人公が複数いることによってそのプロセスが複雑化しており、そこにドラマが生まれている。 あー、この点においては「G戦場」の方がフクザツといえるかな。 ただアレはマンガすぎる、とも言える。なんつーか、都合が良すぎる感じがあるのだ。まあマンガだからな。 そこがいいところでもあるのだが。 対して本作は、そこまで都合がよくはない。いや、まあ、やっぱマンガなんだけどさ、なんつーか「ほどよく」マンガなのな。 わかる?

  この6巻までで、黒曜谷女バレ1年の6人全員ひととおり成長した感じか。 しばらくイブニングは読んでいないので、6巻のあとの展開は全然しらんのだが、ここからだろうなあ。 ちょっと不安なのは鉄男が出てきてしまっているところか。 明の社会復帰のくだりとか決して悪くはないのだが、なんかこの作品の方向性が分からなくなってしまったエピソードでもある。

  とかいいつつ、面白いっすよ。 「プラ解」「極天」あたりでこの人を敬遠していた方には一度読んでみて頂きたい。 多分見る目が変ると思う。
  そんなわけで★★★★☆。

  やー、面白いんだけどなあ。本来の主人公である練よりもまわりの人間の方が魅力的にみえてしまうよ。 おぱっか志乃のイマドキありえないツンデレっぷりとかもいいし、男子は千石とか由良木とかいいキャラ多いよなあ。 でもやはり陰の主人公小田切学ですかね。 主人公以上の非凡っぷりになかなか萌えますよ。眼鏡っこバンザイ!

(第1巻発行日:2006/07/21)
【このトピックへのコメント】
  • くろひょう「果たして「少女ファイト」は何漫画なのだろうかという話」<http://d.hatena.ne.jp/yamada10-07/20090907/1252326326>
    ああ、そうだ。似たようなことを考えていた。フォーマットがスポーツモノじゃないんだよなあ。まったく喩えにならないが、「タッチ」は野球マンガ風でありながら本質はラブコメ。「キックオフ」もそうだ。本作は言えばそれに通じるモノがある。バレーボールを題材にしてはいるが、主人公達の心の葛藤を描いた青春群像なんだよなあ。うむ。
    (2010-04-25 23:59:08)
  • くろひょうにゃんと。作者のTweetによると、Gペンではなく水性ペン(ピグマ)だそうですよ。上のように書いておきながら、Gペンだけであそこまで太くなるかー?筆じゃないとしたらデジタル?とか思ってたですが、、、ちなみにコミックスタジオはつい最近購入したとのこと。(2010-05-05 11:45:55)

  先日の飲みの席で「もうマンガ日記は書かないんですか?」とか言われたのでひさびさにちゃんと(?)書いてみる。

  「ラブロマ」のとよ田みのる氏現在アフタで連載中の作品。ある日地球は宇宙人の襲撃を受ける。襲撃を避けるためには地球人類に愛があることを立証しなければならない。宇宙人に選ばれた主人公・直行は、愛を立証するため子供の姿で1980年に送られ、友達を100人作ることで愛を立証することになってしまった!……というようなお話。
  いやあ、この人の書く話は実に「マンガ」だと思う。イマドキここまで「マンガ」なマンガを描ける作家は少ない。設定もいいが、登場人物がことごとく魅力的だ。特に宇宙人の自称「道明寺さくら」と、1巻最後に登場する「リピーター」である椎名ゆかりの監視役宇宙人の「ヒカルちゃん」とか。直行の友達も皆個性的だ。物語の舞台が80年ということもあって、懐かしいグッズなんかも多く登場する(やや時代考証が微妙なモノもあるが、、、)。
  心配事があるとすると、友達100人で、一話一人だと、作者があとがきに書いているとおり8年もかかるってのもあるが、話がダレないか、という点か。いや、実際には途中から一気に何人もできるとかそういう方向になるのだろうが、なにせマンネリになるのは避けたいところ。その点、ここまではいろいろな手で飽きさせずに来ているが、そろそろネタも尽きてくるんじゃないかという余計な心配が。

  しかしまあ、前作(というか前々々作?)「ラブロマ」でも、「告白するところからはじめる」という少年・青年マンガにはめずらしい始まり方の(=難しいともいえる)ラブコメで5巻分きっちり飽きさせずに、しかもキレイにまとめてきている作者である。この作品も、ほどよい長さでいい感じに盛り上げて、いい感じに着地してくれるのではないかと期待している。
  地味ながらなかなかの良作。★★★★☆。期待してますよ。

  ところでどうやら引越しのドサクサで「ラブロマ」は処分してしまったらしい。がーん。

(第1巻発行日:2009/08/21)