海月玲二

最近タブレット端末にも興味があるので,作ったアプリはタッチ操作でも最低限は使えるようにしたいと思ってはいる.

前2chで,TreeNoteのツールバーは画面の下にも配置できるほうがいい,というような意見を見た気がするので,そうしてみた.ついでに,横幅が足りないときはツールバーをスクロールできるようにして,多少ボタンも増やした.

まあ,なんだかんだ言っても結局今はタッチ端末使ってないから,実際便利なのかどうなのかよくわかんないんだけどね.

あと「保存確認ダイアログが一回でも出たあとで縦横を切り替えると落ちる」というバグも修正したので,タッチで使わない人も,縦横切り替えをするならアップデート推奨.

さて春の旅行だが,今回のテーマは三つだ.
・古い大学を見物する
・ワインを楽しむ
・ポルトガル語とスペイン語に触れる
というわけで,エヴォラにも古い大学があるというのでちょっと寄ってみた次第である.間抜けエピソードとして,大学がどこにあるのか初日にはどうも見つけられず,二日めにGPS地図を使って探したらあっさり見つかった,というのがあった.初日はずっと雨だったので使えなかったんだよね.意外な弱点だ.

大学は古い建物も使っているらしく,回廊のある修道院状の構造の部分があったり,教室の中も含めてアズレージョ(ポルトガル特有の彩色タイル芸術)で装飾してあったりしてかっこいい.日本の大学も古い建物もっと使おうぜ.再建するとか新しい建物を古い様式で建てるとかでもいいからさ.金がかかりすぎて駄目か.

エヴォラは旧市街が世界遺産ということである.わりにシンプルというか地味な印象の町だ.これは色調がかなり統一されて,しかも塗りがどこもだいたい綺麗なこと,建物のファサードが装飾ひかえめなことあたりが理由ではなかろうか.まあ,そもそもあまり大きな町ではないというのもあるな.オフシーズンだったこともありひっそりした静かな町だった.

というかそもそも店のある通りが少ないような気がしないでもない.スーパーなんかも旧市街にはないようだし.飲食店はそこそこあるようなのだけど.


リスボンといえば急坂とトラムと港である.……長崎?
いやそれはともかくこのトラムというやつ,乗ってみるとわかるが猛烈に遅い.下手すると早足で歩いたほうが早く目的地に着けるかもしれないレベル.かなり狭い道が多く,急坂も多いためどうしようもなかろうとは思う.本当に便利なのか疑問になるが,乗ってるのが観光客ばっかりかというとそうでもなくて,けっこう地元の人も乗っているようである.やはり坂が多くてしんどいからだろうか.
というかそもそもこのアップダウンの多い地形で大都市をやっていくこと自体けっこう無理ゲーの気もするが,それなりにがんばっているのはすごい.確かにもともとポルトガルは山がちなので,どこの町に行っても坂ばっかりではある(このへんスペインとはけっこう違う).でも歩いて行動できるサイズの町ならまだいいんだけどなあ.それに今は複数の地区を地下鉄やらリフトやらなんかで結べるが,昔はどうしてたんだ.

ここでは普通に観光名所とか見たりもした.中世の建築とか芸術とかを見物していると,宗教信じてる奴の情熱にはなかなか勝てないよなあとか思う.やたらに詳細に描かれた宗教画の巨大なアズレージョとか,聖堂のはしからはしまで細かい彫刻がしてあったりとか.情熱があればいい作品ができるかというとそれはまた別の問題だけど,一生懸命こつこつやる系のものだと,なかなか普通の人ではあそこまで気合いを維持するのって難しいよな.
ところで,アズレージョといっても適当な絵から異様に詳細な絵まで千差万別だということを初めて知った.適当なのは本当に適当でけっこう面白い.

あと第二テーマに従ってワインバーなるものに行ってみたところ,何ページもあるメニューのほとんどがワインリスト,食べものはオリーブとかハムとかパンぐらいしかないというかなりハードコアな感じだった.ボクチンこんな店初めて入るのでびびり気味だったわけだが,うまいポートワインをいくつか楽しんで6ユーロいかないという驚きのお値段.


コインブラ大学を見物に来たのがここに来た主な目的だ.中世からの由緒ある大学であり,この町の主な観光名所でもある.エヴォラ大学同様,中世からの建物もちゃんとそのまま授業とかセミナーとかで使っている.もっとも,部屋さえあれば事足りるのは,まあ文系とか教養の授業に限られるな.最近の科学研究をするような部門は,ちゃんと新しく建てた建物に,ふつうの大学とおなじようにあれこれ並んでいた.
ところで,町の大聖堂(もちろんカトリック)と動物学教室が同じ建物にあるというのは違和感を覚えないのだろうか?

ここは大学の町だけあって学生がうじゃうじゃいる.見物に行ったときにちょうど,新入生が無意味に声を出させられる的な行事をやっていた.ああいうのどこにでもあるのな.
しかし学生の町なのにわりとおとなしめなのは不思議である.夜も早くて,19時とかで中心部の店はだいたい閉まってる様子だった.バーを飲み歩いて騒ぐ学生とかそこらに吐き散らかす学生とかもあまり見ない.時期が悪いのかしらん.でも西洋の3月って別に年度末でもなんでもないよなあ.

ところで,この町も例によって坂が多い.大学も急な坂の上にあるので,大学関係者は毎日登ったり降りたりすることになるらしい.難儀なことである.坂の上に直接行けるリフトもちゃんとあって,脚があまり良くない人はこれを使っているようだ.
ただ高低差が多い上に不規則な路地というのは,構造としてはおもしろいものだ.リスボンで言えばアルファマ地区のようなものだが,こちらは大学関係の活動があちこちに見え隠れするところがいいと思う.

また,この町の中心部はまあ歩いてどこでも行けるぐらいのサイズである.しかもそれなりに施設はそろっているので,旅行者にも過ごしやすい町だ(坂にさえ慣れれば).せっかくだからショッピングセンターに行ってみたりして,フードコートで定食を食べたらなかなかうまかったのでびっくりした.


ポルトガルとスペインの間のルートはいろいろあるが,中部を通るルートだと,北部の都市ポルトを出発してヴィセウやグアルダを経由,国境を越え,サラマンカを経由してマドリッド着というバスがあるようだ.コインブラからこのルートに行くには,どうやら途中でバスを乗りかえるらしい.しかしそういうことは全然聞いてなかったので,ちょっと戸惑った.コインブラの観光案内所では「コインブラ発サラマンカ経由マドリッド行き」というバスの案内がもらえたし,バスターミナルでも普通に「サラマンカ行き」という切符が買えたので,最初はそういう直通バスがあるのかと思っていたのだ.しかしコインブラを出て一時間ぐらいするとアルベルガリアなる町で一旦下ろされ,そこでポルトから来たバスに乗りかえろと言われた(ようだった).

というかコインブラのバスターミナルはあまり整備されていないような感じだ.大きな町のバスターミナルというと,ふつうは「10時30分発 マドリッド行き 7番乗り場」みたいな発着案内が一覧で表示された掲示やモニターがあるものだが,そういうのがいっさい無いので,とりあえずバスの運転手に聞いてみるしかない.バスに掲示してある行き先表示もいまいち確実じゃないようだし.インフォメーションカウンターみたいのもないんだよな.

時間はコインブラからサラマンカまで,乗りかえ待ちも入れて総計6時間半だった.まあそんなものだと思う.むしろポルトガルとスペインに一時間の時差があるのをうっかり忘れそうになる.なお両国ともEU(というかシェンゲン国)なので,国境審査はわりあい簡単である.日本のパスポートならちょっと確認するだけで終わりという場合がほとんどだろう.まあバスなので全員のパスポートチェックが終わるまで進めないけど,それでもそう多大な時間はかからないと思われる.

車窓の風景を見ていると,グアルダあたりからだいぶ雰囲気が変わり,まあなんというか不毛な感じになってくる.ポルトガル側ははじめわりと森の多い風景なのだが,それがだんだん石や灌木ばっかりになってくるのだ.そしてなんか砂岩の色をしたサラマンカの町に着いた.