キューバの通貨は,「兌換ペソ」CUCと「キューバペソ」CUPの二種類あり,ややこしいことで有名だ.超雑に言うと,CUCが対外用でCUPが地元用だ.輸入品とか工業製品とかはCUCを使わないと手に入らない場合があり,レストランやホテル等でもCUCしか使えないところがある.どうも,
- 工業製品等がひどく不足しているので,市民がおいそれと買えなくするため
- 外国人料金を取りやすくするため
といった理由でこのような面倒な制度になっているようだ.ひとつめの点については,CUCはCUPの25倍の価値があり,市民は基本的に給料(というのが妥当か知らないが)をCUPで受けとることになっているため,CUC商品を買うにはかなり貯めないといけなくなっている,ということらしい.ふたつめについては,つまり,たとえば入場料なんかが「外国人1CUC,キューバ人1CUP」など,同じ額面で通貨を変えてあるパターンが多い.
さて,観光客的に誤解しやすい点だが,別に外国人でもCUPを使うことは可能だ.両替所で普通に手に入るし,値段がCUPだけでついている場合CUP払いしても何も問題はないのだ.CUPで売っているものはだいたい激安で,たとえば小さいチーズピザが6CUP(30円弱)だった.激安なのは社会主義国だからで,つまり外国人が買うのはいわゆるフリーライド行為であるのは間違いない.しかし,別に禁止されているわけでもない.だいたい,外国人観光客をあまり想定していないところでは外国人価格を設定していないのである.本屋とか,青果市場とか,路地裏の軽食スタンドとか,市バスとか.これが制度の不備なのか,こんなところに来る外国人は少数だから知ってて放置しているのか,そのへんはわからない.また,CUP払いのものを,相当するCUCで払うことも可能である.たとえば,俺は25CUPの本を買い,1CUCのコインを出したところ何も問題なく売ってもらえた(逆が可能かどうかは微妙である).
というわけで,外国人観光客にとってはこの二重通貨制度は「めんどうくさいし,慣れないと間違いやすい」という以上のものではない.なにか行動が制限されるようなたぐいのものではないのだ.「キューバ人は2CUPなのに俺は2CUC払わされた」みたいなことは,単に外国人料金の問題であって,二重通貨制度そのものの問題ではない.そもそも,この二重通貨制度はいずれ廃止する,ということになってはいるらしいので,だんだん制限を無くしていっている途中なのかもしれない.来年,再来年に見たらまた状況が変わっているかな.
ていうか,いろいろ言ってみたけど,買える商品にそんなに選択肢はないけどね.しかも,社会主義的に考えて,どこで買っても値段はほぼ同じだ.市街でいろんな店をチェックしてもさほど意味はない.商品に直接消費税はかかってないので,空港のゲート後ですら,同じものなら値段は一緒である."Duty Free Shop"って何のDutyだよ.