海月玲二
2017-09-01(金)

ナポリ

ナポリを見たので,あとは死ぬだけである.

いや,そもそも件の名言はナポリのどの景色を差して言っているのか知らんけども.とりあえず丘の上から眺めた景色はそれなりにかっこよかった.

そもそも今回は飛行機(easyjet)に乗りに来ただけなので,散策したと言っても2〜3時間程度である.実はryanairのバーリ→マルタ便というのも存在しており,これにすればわざわざナポリまで行く必要はなかったのだが,こっちはちょっとスケジュールの都合で避けたのだ.

ナポリにはそんなに観光客は多くないようだった.みんなカプリ島だのアマルフィだのに移動しちゃうのかな.ナポリはナポリで旧市街は広いしいろいろ凝った建物もあるし,またいつかちゃんと見たいと思う.

まあ確かに,なんか建物は薄汚れてるし,観光客があんまり安心できなさそうな,スリぐらいは出そうなアトモスフィアがあるのも事実ではある.特に,鉄道中央駅の周辺はすごくアレな感じだ.あのあたりだけ,通りに屯してる人達がほとんど黒人なのも,どうも気になる.別に何をされたということもないのだが.朝起きてみたら,駅前のでかい広場が青空モスクと化していた.もともと住んでたイタリア人はどう思っているのだろうか.

せっかくナポリに来たので,ホテルの人におすすめの店とか聞いてピザを食べてみた.さすがになかなかうまくて満足.うまいピザというのは要するに,生地やトマトソースがもともとうまいのだ.具がチーズだけみたいなピザってあるけど,あれは,あれでもうまいから成立するんだな.あと「コーラは本場のピザにも合う」という事実を知った.地元の人も普通にコーラ飲んでたし.


ヴァレッタはマルタ共和国の首都である.

クリーム色に統一された中世っぽい町並みでかっこいい.まずクエンカのように「外から見たときのまとまった感じがかっこいい」に加え,「石の旧市街が海から突然にゅっと生えてるのがかっこいい」という点もある.さらに,「中の街路がまっすぐな上アップダウンがあるので,妙に遠くまで見渡せてかっこいい」というのもポイントだ.外側から見ても中に入って見ても楽しめて二度おいしいと思う.

というか,丘の傾斜を無視して直線の街路を作ったから変な景色になった,という気もするな.ハバロフスクと一緒だ.坂や階段がきつくて歩くのがちょっと大変,というのも同じ.

ヨーロッパの古い町にはよくあることだが,今のヴァレッタは観光を主目的とした作りになっている.滞在したらしたで朝や晩の様子が見られていいのだが,生活するのにあまり便利ではない.いろいろと慣れが必要だ.例えば,スーパーの類はたぶん存在しない.食料品や生活用品の小さい店はないこともないが,19時とかに閉まることが多いし,日曜日はだいたい閉まっている.

レストランも,だいたい観光客向けのようだ.ただ,ウォーターフロント地区(フェリーとか来るあたり)だけはそうでもないらしく,わりと地元の客で混雑している感じだった.なんというか「最近近所にできたオサレスポット」みたいな雰囲気で,それはそれで面白かった.なお,別に地元客が多いエリアだからと言って安いわけではない.ヴァレッタは全面的に物価が高いのだ.

ウォーターフロントのお店で,ワインとマルタ風つまみ盛り合わせみたいのを頼んだところ,なんかドライトマトをオリーブオイルに漬けたみたいなやつがうまかった.マルタの名産でもあるらしいが,そもそもオイル漬けドライトマトなどというものを初めて食べたので,単にドライトマトが俺の好みに合っただけかもしれない.


騎士団がやってきてヴァレッタ周辺が首都になる以前は,島中央部の高台にある町が首都であったそうな.中世にアラブ人が中心部を要塞化して,イムディーナの町(城壁で囲まれた部分)がラバトの町(それ以外)と別ものということになったが,基本的にひとつの町と言っても差し支えないと思う.

というか,観光客としては,イムディーナというのは全体で「この町におけるアトラクションのひとつ」というポジションではなかろうか.中世からある町に多い,高台の要塞みたいなポジションである.そもそもイムディーナは現代の町としては小さすぎるし,今は町としてはほぼ機能していない.住人も数百人だし,店はレストランや土産物屋だけ,通りを歩いているのはほぼ全員が観光客である.シギショアラ旧市街と同様で,ここを観光するのはいわゆる「街歩き」ではないのだ.

イムディーナには「静寂の町」というニックネームがあるそうだが,静寂というか,住人が去った町なのだ.古い国にはときどきこういう,「町の思い出」みたいなエリアがあると思う.建物だけはしっかり残ってたりするのが,むしろ寂しげである.

一般的な商店とか,公的施設とか,実質的な町の機能はラバトにある.ある日の昼,腹がすいたので広場にあったてきとうな店に入ったら,地元の人が大勢いて雑談などしており,憩いの場的な感じだった.どうでもいいがこの店,バーかカフェにしか見えない店構えなのに,メニューには普通に食べものが載っているので,ちょっとびっくりした.ピザを頼んでみたら,どこからともなく焼きたてピザが出てきたし,料理は別の場所で作っていたんだろうか.

なお,このエリアのもうひとつの観光客アトラクションは,ラバトにある大量の地下墓地だ.行ってみる場合,何度も階段昇降運動をするハメになる点は覚悟しておくとよい.あと,地下墓地の「入口に」注目すべき点が全部書かれたパネルがあって,内部では何も書いてない方式はどうかと思った.短期記憶に厳しい.内部に「ここに古代の壁画が残っています」とか案内板を置けばいいのに.


ヴァレッタのまわりにも町が続いていて,海を隔てて南東にあるのがスリーシティズ,北西にあるのがスリーマやサンジュリアンといった町である.観光客がいるのはだいたいこのあたりまで.正直,ヴァレッタ周辺全部まとめてひとつの市扱いでもよくね,と思わなくもない.小さい国の行政は日本などとは全然違うんだろうか.

スリーシティズは,ヴァレッタとあわせて,観光におけるいわゆる「旧市街」のポジションだ.ヴァレッタと比べると小規模でおちついた感じである.特にビルグについては,道が他と比べて入り組んでいてまっすぐではないので,また雰囲気が違って面白い.たぶんヴァレッタ都市計画より古い町だからだろう.さらに,ヴァレッタよりはだいぶ観光客が少ない点も,観光における雰囲気として重要だ.まんなかの広場にある店では地元のおっさんたちがビールとか飲んでた.

スリーシティズの先にもまだ岬があって,なんか砦跡なんかも見える.しかし,試しに歩いて行ってみたところ,どうも工事中のようで入れなかった.炎天下にはるばる小一時間歩いたあげく収穫なしで,ひとけのないバス停で帰りのバスを待ったりして,わりといつもの俺の旅行っぽい.途中に超小さい海水浴場があったのもちょっと面白かった.

一方スリーマやサンジュリアンは,首都圏の「新市街」の一部だ.新市街の中でも,観光客向けの施設が多いエリアである.最後の二日はここに滞在してみたところ,買い物も食事も不自由せず大変便利だった.スーパーもショッピングセンターもあるし,お店が22時ぐらいまで普通に営業してたりする.便利さだけで言えば,滞在するのは旧市街より圧倒的にこっちである.町並みはすごい普通のビルとかだけど.


2017-09-07(木)

無題

機内映画のコーナー.

  • Fantastic Beasts and Where to Find Them: 最後のシーンからそのままつきあったりすると,「奥様は魔女」みたいなことになるわけか.というかあの世界だと,マグルが魔法使いと結婚する場合,そのときに魔法について説明されるんだよね.その場合,「お前は過去にobliviateされたことがある」という点は説明されるべきなのだろうか.
  • The Circle: これはつまり「エマワトソンかわいい」という映画だろうか.ほかには,CEOのジョブズもどきのプレゼンシーンがそれらしくて面白いぐらいしか,注目すべき点がない気がする.あと,登場した変な小型カメラの電源がどういう技術なのか気になってしょうがない.それとも異様に消費電力が少ない機械なのか.
  • The Mummy: 最近のゾンビ映画ってこんな感じなんかね.ミイラというタイトルのわりにミイラ感ほとんどない.でも,大ボスのゾン子さんがちょっとちょろすぎるような気がするけど,ジキル博士とか何しに出てきたのかよくわからないけど,わりに気軽に楽しめてよかった.
  • The Zookeeper's Wife: 動物を救う話かと思ったらユダヤ人を救う話だった.当時の動物は別に救われてないのな.うーん,言っちゃなんだがよくある話のような.

あとYが「ルドルフとイッパイアッテナ」を見てた.横から見てただけなので声は知らないけど,動きが意外とかわいいと思う.話もおおむね原作を再現していた.英語の字幕を見てると,「イッパイアッテナ」という名前はちゃんと"GottaLot"としてあって,出会いのシーンもちゃんと意味がわかるようになってて感心した.