海月玲二
2018-02-27(火)

分離壁

いわゆる分離壁を見た.パレスチナ自治区とイスラエル領の間に建てられたコンクリートの壁である.反対の落書がどっさり描いてあって,監視塔からは普通にイスラエル兵が見てたりする.こんなところが観光地化するというのもどうなのかと思うが,普通に観光客が来て記念写真とか撮ってた.まあ,イスラエル軍としてもそうおいそれと外国人観光客などに手は出せんだろうけど.

ベツレヘム近郊には実際観光以外の産業はあまりないわけで,ある意味飯の種にもなってるのかもしれない.ベツレヘムを散歩していると,タクシー運転手の「バンクシーの絵を案内するぞ」という営業がわりと来る.バンクシーというのは有名なストリートアーティストらしいが,壁の落書の意味的に考えて,そこだけピンポイントで見て回るのはなんか変な気もする.

ところで,そもそも外国人観光客は普通に壁を越えられる.というか,壁の一部が開いていて,その中に国境チェックポイントがあるので,パレスチナ自治区からイスラエルに入国できる者はそこも越えられるのだ.だから,ベツレヘム旧市街から歩いて分離壁まで来て(30分かそこらだと思う),チェックポイントを歩いて越え,イスラエル領に入ってからバスに乗ってそのままエルサレムに向かう,ということは普通に可能である.たまに「バス乗り場はベツレヘムの町のほうにしかないから,タクシーに乗る必要があるよ」などと言ってくるタクシー運転手もいるので注意.

ただ,車で通るためのチェックポイント入口と,徒歩の入口は別なので,これまた注意が必要だ.車用の入口の(ベツレヘムから見て)左のほうに,タクシー乗り場みたいな広場があって,その奥から徒歩で通路に入れるようになっている.


「あの男」の生誕の地だそうである.エルサレムの名所を見物してても思うけど,人間というのは妄想だけでここまで壮大で複雑なものを構築できてしまうものである,という事実に感銘を受ける.人間の知能の本質とは,頭の中で考えただけのことと現実とを区別しないことである.

さて,町を見物したあと,夕食を食べようとレストランでメニューをしばらく睨んでいたら,なんか横の席で食べていた人が「メニューを見ても何なのかわからなくて悩んでない? 俺が頼んだ料理を実際見てみたらどうかな」などと言いにきて大変びっくりした.別に店の関係者とかではなくて,単に親切な人だったらしい.まあその,俺はフムスとかファラフェルとかが何なのかは知っていたのだが,それでもこの店の分量とかトッピングとかがわかったのはありがたかった.

食い終わって外に出てみると,観光地にもかかわらず,夜になると通りにほとんど人がいなくなっている.つまり,だいたいの観光客はエルサレムから日帰りで来ているんだなフーン,でも俺はここであえて泊まっちゃうんだもんねーなどと低能なことを考えていたら,あとで旧市街の外側にけっこうな数の大型ホテルが建っていることに気づいた.よく考えたら,ここの旧市街はかなり狭いので,そもそも大型ホテルが旧市街近くに建ってるわけないのだ.

どうも,聖誕教会とかそのへんに巡礼にくる団体というのがけっこういるようである.おみやげ屋やホテルでロシア語表記をかなり見たので,ロシア人の団体とか多いのかもしれない.


トランプ大統領のせいでどうも不安は残るのだが,まあとりあえずテロ等の情報もないので,エルサレムまで足を伸ばしてみることにした.

アンマンからエルサレムまで往復するとき,最短ルートとなるキングフセイン橋を通るルートがよく知られている.よく知られているので,このルートのめんどうさもよく知られている.ちょっと検索すれば,日本語ですら体験記がいろいろ出てくるぐらいだ.

詳細はそのへんと違いはないので割愛.しいて言えば,「今ではイスラエル入国でパスポートにスタンプは押されないので,必死でノースタンプとかアピールしなくてもいい」というのは事実のようだった.というかそんなことより,ヨルダン出国手続きの待合室に猫がいたことを特筆しておきたい.イスラム教の国はだいたい猫に甘いものだが,イミグレにまでいるとは……

あとイスラエル入国の審査がけっこう厳しいみたいな話も聞くけど,俺のときはすげえフレンドリーで簡単だった.たぶん運がよかったのだろう.たまに別室送りになる人が出て,そうなると数時間拘束されるらしいね.

そもそもイスラエル人も,世界からどういうイメージを持たれてるかぐらい知ってると思うんだよね.だったら,特に問題がなさそうな状況では,愛想よくするぐらいのことは考えるのかもしれないな.

ペトラ遺跡最寄りの町で,中心部から遺跡エリアの入口までは1キロ半ほどある.距離はそんなでもないのだが,坂がきついので帰りが大変だった.ただ坂になってるぶん,町並みの見た目はおもしろくて,夜景など意外にきれいでよかった.

ヨルダンの町にはよくあることだが,涸れ川というか谷のあるところに町ができているので,坂が多いのはわからなくはない.でも,なんでわざわざ急坂になってるところをメインストリートにするのか謎だ.勾配と平行に通りを作ったらいいのに.予約サイトとかで宿泊先を選ぶとき,地図上でたいした距離じゃないように見えてもすげえ坂があったりするので要注意である.ちょっと離れただけでかなり行き来が面倒になる.

あとアンマンに帰るとき,泊まってたホテルの人にバスについて聞いたら「うんうん,じゃあ明日バスを呼ぶから」とか不可解な返答を受けた.「呼ぶ」? アンマンからは普通のバスで来たので,帰りも普通のバスがあるはずで,俺はその乗り場とか時間とか聞いたつもりだったのだが.さらに次の日の朝には「タクシーが来たよ」とか言われ,ますます何だかわからん.別に値段はバスと違わなかったのもわけがわからない.「タクシー」と称する車は単なる自家用車で,相乗りだったし.


ヨルダン南部の砂漠というか岩山の中にある遺跡群.なんか世界七不思議のひとつだそうで.

ここを訪れる楽しみというのは,遺跡自体より,遺跡を見ながら峡谷を歩くトレッキング的楽しさのほうが大きいような気がした.歩くのはちょっと大変だが,峡谷の景色はかなりよいと思う.というか,前から俺は疑問なのだが,みんなは遺跡だけを見てそんなに楽しめてるもんなんだろうか? 俺はどうも想像力が貧困なのか,遺跡だけ見ても往時の活況とかなかなか想像できなくてぴんと来ない.

いやまあそのつまり,ヨルダン最大の観光名所だけあって,別に面白くないとかそういうことはないのだ.確かにエル・ハズネはすげえ出オチだが,それ以外にもいろいろ見どころがあり,一日二日いても楽しめるだろう.問題は,だからと言って入場料に八千円弱も払う気が起きるかどうかである.俺は結局払ったわけだが,うーん.

ところで,入場料を払うのにカードはちゃんと使える.手数料は1JD(150円ほど)だけど,決済時の換算レートに比べればたいした問題ではないだろう.ヨルダンでは,「カード使えます」みたいに書いてあっても実際は機械が動かないとか言い出すのはよくあることなので,ちゃんと使えるのはわりとありがたい.

もうひとつ旅行情報としては,SIMカードを入手しておけば,遺跡エリアの奥のほうとかでも普通にメールしたりできる.写真撮って「ペトラなう」とかやりたい向きにも安心だ.俺はメールとかしただけだが.


KLOAは所詮俺の俺による俺用のアプリなので,実は今まで行頭ドットのサイズはピクセルサイズ決め打ちだった(つまりZC553KLの画面が前提).なんとなく別解像度のエミュレータで見てみて,さすがにちょっとどうかという気がしてきたので,とりあえず行の高さを基準にするように直してみた.

あと横画面のときにノート表示しているとちゃんと右半分に出るようにした.これでいちおう,ZC553KLと違う画面でもそれなりに使える感じになっただろうか.

ところで,こいつのテキスト編集は要するにAndroidのEditTextそのままだし,しかもその上で入力を監視していちいちレイアウトを調整したりしているので,テキストサイズがでかくなってくると無理が出る.試しに,1万行ぐらいのファイルを作って読みこませてみたら,何か操作するたびに数秒待たされるようになって,とても使えたものではなかった.何かガチな用途で使おうと思った人は思いなおすといいと思う.

ホイストを実装すると多少マシになるかもしれんが,どうだろ.