海月玲二
2019-03-04(月)

無題

文科省の大学教育に関する態度で一番問題なのは,「現代日本の大学では,教育活動と研究活動はほぼ全く関係ない」という事実を無視していることである.本当に気付いてないのか目をつぶっているのか知らないが.

まず,大学で授業をしたり学生の相手をしたり文章を直してやったりするのに必要な能力は,研究活動に必要な能力とはそもそも全然別なのだ.もっと問題なのは,授業としてやんなきゃいけない内容として,研究者からすれば「基礎知識」であって研究としては「終わった」ネタがかなり含まれることだ.文系だと多少違うかもしんないけど,たとえば物理学科とかで学部生が習うのは,基本的にすでに確立した知識である.研究者にとって,授業をするのは大抵単なる負担であって,研究のタシになったりはしない.

あと,俺のような者に授業を頼むぐらい人手が足りてないのだから,そもそも「授業と多少関連のある専門の人を割当てる」ぐらいのことも無理なんだろうな.

まあでもアレだ,教育と研究が関連していますというフリは大学のほうでもしているから,その点では大学業界も共犯ではある.意味不明な書類を要求されて困るのも自業自得と言えなくもない.

2019-03-15(金)

無題

国名表記から「ヴ」を消すという話とか,中国の地名を片仮名で表記してるという話とか,そういうので一番問題なのは,「カタカナで外国語の音を近似できる」という思い込みだ.実際にはカタカナ表記された発音は実際の音とはかなり違うので,別にどう書こうがたいした問題ではないし,どう書こうがあまり現地語の発音の助けにはならない.中国語とかカタカナで発音しても絶対通じないぞ.変な期待なぞ持たずに,カタカナなんか好きに書いたらいいのだ.

特に,音の長短(「ー」と「っ」)はたいていの言語で関係ないので,どこに入れようが一番どうでもいい.メジャー言語だとせいぜいイタリア語のとき注意するぐらいか.「ー」はアクセントを表すんだという意見もあるかもしれないが,英語とかのアクセントは長短ではないので,長く発音したところで強くなければ通じないし,強く発音すれば短くても通じる.日本語の文字には強弱を表す記号は無いのだ.

そもそも「ベネズエラ」だの「カーボヴェルデ」だのいうのは,別に現地語ではなくてあくまで日本語の単語なのだ.どの言葉でも,いろんな国の名前をどう発音するかなんてそれぞれ勝手にやってて,どっちみち覚えるしかないだろ?

「ベネズエラ」について言えば,スペイン語はvとbの音は区別してないので,そもそも「ヴェ」だろうが「ベ」だろうが一緒なのである.どっちでもいい.さらに言えば,Zの字はthかsの音になるので,カタカナで書くならたぶん「ベネスエラ」が一番近い.まあ,スペイン語はもともと「子音+母音」の組が多い日本語みたいな発音なので,「ベネスエラ」の「エ」を強く発音しさえすれば,この場合はカタカナ読みでもけっこう通じるかもしれん.