文科省の大学教育に関する態度で一番問題なのは,「現代日本の大学では,教育活動と研究活動はほぼ全く関係ない」という事実を無視していることである.本当に気付いてないのか目をつぶっているのか知らないが.
まず,大学で授業をしたり学生の相手をしたり文章を直してやったりするのに必要な能力は,研究活動に必要な能力とはそもそも全然別なのだ.もっと問題なのは,授業としてやんなきゃいけない内容として,研究者からすれば「基礎知識」であって研究としては「終わった」ネタがかなり含まれることだ.文系だと多少違うかもしんないけど,たとえば物理学科とかで学部生が習うのは,基本的にすでに確立した知識である.研究者にとって,授業をするのは大抵単なる負担であって,研究のタシになったりはしない.
あと,俺のような者に授業を頼むぐらい人手が足りてないのだから,そもそも「授業と多少関連のある専門の人を割当てる」ぐらいのことも無理なんだろうな.
まあでもアレだ,教育と研究が関連していますというフリは大学のほうでもしているから,その点では大学業界も共犯ではある.意味不明な書類を要求されて困るのも自業自得と言えなくもない.