カリーニングラード近辺から北東には砂州が続いている.わりとでかい砂州なので,道路もあるし集落もある.そしてリトアニアとの境界には国境検問所までちゃんとある.というわけでここを通ってリトアニアに行ってみた.
なんだけど,ゼレノグラーツクの人達から,「バスは朝しかないよ」「国境を越えるタクシーはたぶんほとんど見つからないよ」とか聞いたにもかかわらず,「まあ国境付近まで行けば,何かしらローカルな交通機関があるだろ,タクシーだって全然ないってこともないだろうし」とか適当な考えで国境付近まで行ってみたところ,全然なんともならなくてえらい目にあった.
まず「バスが朝1本しかない」というのは,「朝と晩の2本ある」とか言う人もいたのでよけい混乱した.これはつまり「時期によっては2本のときもある」というのが正解らしく,俺が行った日は朝しかなかったようである.地元の人もあまり正確に把握してないようだ.
さらに「タクシーはほとんどない」というのはマジである.なにしろロシア人がシェンゲン圏に入るビザを取るのは大変だから.何台かのタクシーに確認してみたが,国境を越えてくれる人はいなかった.
というか国境に一番近いモルスコエという村まで行ってみてわかったのは,そもそもこの国境を越える人はあまりいないということである.そりゃローカルバスやタクシーなんかないわけだ.じっさいこのモルスコエはどっちかと言うと別荘地で,普通の意味での集落とは感じが違い,人も車もあまりいない.
……というような実態を理解したのは現地についてからなので,国境の直前まで来ておいてそれ以上進めなくなった状況だ(朝のバスはとっくに行っている).考えられる選択肢としては
(1)一旦カリーニングラードまで戻り,一泊して翌朝バスに乗る
(2)モルスコエ村でどこかに泊まれないか探す
(3)あとちょっとなので歩いて国境を越え,リトアニア領でタクシーでも探す
あたりだが,この時点でもうロシアルーブリの現金があまりなかったので,(1)はできればやりたくない(カードでタクシーかバスに乗る,あるいはユーロ現金をそのへんの売店の人にちょっとアレしてもらえば不可能ではない)し,なんか一旦70キロ以上戻るのもいかにもばかばかしい.(2)も,確実性に欠けるわりに,泊まれなかった場合のリスクが大きい(日が暮れてからどこかに戻る方法がない).(3)はできそうだが,なんとこの国境は歩いては越えられないのである.理由は知らない.
結局どうしたかというとヒッチハイクだ.EUナンバーで北に行く車に必死に声をかけて,国境を越えるまで乗せてもらった(ほとんどはロシアナンバーで,割合としてかなり少ないので本当に必死だった.数時間で済んでよかった).我ながらいかがなものかと思う.乗せてくれたドイツの人本当にありがとう.
というわけで,最終的にはなんとかリトアニアに入り,予約しておいた宿泊先に辿りつけたのだった.もうだいぶ遅かったが,レストランに行ってスープとパンとビールで簡単に食事をしたら,苦労したぶんこれがもう本当にうまかったことである.
もし検索で来た人がいたら,「クルシュ砂州の国境を越える場合,基本的にはカリーニングラード−クライペダの長距離バスに乗るしかないので,このバスの時間を基準に行動する」ということをよく覚えておいてほしい(2019年夏現在).確かにロシアでは掲示と実態が違うことはよくあるが,これは本当に方法がない.なにしろ国境を行き来する人自体が少ないのだから.
「入国と出国が同じポイント」でないと駄目なのかどうか、という点ですが、
法律上は「出入国は同一検問所を通ること」と記載されており、厳密には同一地点から入出国しなければなりません。
詳細は出入国管理法25.17 http://www.consultant.ru/document/cons_doc_LAW_11376/9ec3d7c82e988f2b57aca3f17081844e3121c7d8/ の6段落目に記載があります。
しかし、【現在のところは】運用上、同一地方内であれば入出国地点が別でも許可されています。
いつ運用が変更され、弾かれるようになるかはわかりませんので、一応コメントさせていただきます。
ちなみに、写真については、一部のブラウザでやるとうまくいかないようです。(2019-10-08 13:43:47)
これの英訳はhttps://evisa.kdmid.ru/の8項めにある"Foreign citizens should leave the territory of the Russian Federation only through checkpoints of the constituent entity of the Russian Federation which they entered."だと思いますが,これを読んでも「同一のチェックポイント」とは読めないように思います.(2019-10-08 19:45:44)
でも,ロシア語のほうは関係代名詞が"который"なので,これが"пункты"にかかっているというのはありえないと思います(そうだったら"которые"になるはず).だからこれは"территории субъекта Российской Федерации"にかかることになります.
むしろ,「別のチェックポイントが通れなかった」という事例のほうが,運用上の問題が発生してるんじゃないかという気もします.いずれにせよロシア政府と役人のやることなので,そんなきっちりしてるわけではないのかもしれませんが…….
ちなみに俺のときは,いちおうマモノヴォの審査官に「この電子ビザでモルスコエからニダに出国できるのか」と確認したところ,「そのままロシア領に戻らないなら問題ない」と言われました.(2019-10-09 23:01:06)