そのカツオは、ちょっと気の利いたスーパーならどこでも見かける房総勝浦港に水揚げされたものと同じで、特別なカツオではないと言う。

とある宵の口、カツオが旬というだけで、何となく注文したカツオ刺。場所は代々木の「魚籠庵(びくあん)」という料理屋風居酒屋。出されたカツオは、少し赤味が濃いように見えたが、それ以外に特に変わった感じは無い。

驚いたのはワサビ醤油が出てきた事である。単純にショウガ醤油と間違えたのかと思ったが、板さんはそれで食べてみてくれと言う。ダマされたつもりで一口・・・その途端、一同言葉を失った!

カツオ特有の臭いもクセも無い。それどころか、しっとりと柔らか目の身は口の中で容易にとろけていく! そう、まるで上等なマグロの赤身のように。だからワサビ醤油がドンピシャなのだ! ウマ〜い! 日本人に生まれてよかった〜!

で、板さんに尋ねたところ、返って来たのが冒頭の「特別なカツオじゃない」という答え。おいおい、それじゃ答えになってないぜよ!

それならどうすればスーパーで売ってる勝浦産カツオをこれに近いものに出来るのか? 板さん曰く、通気性を保ちつつ乾燥させずに冷蔵庫のチルド室あたりで半日位置くと良いそうだ。こりゃまるで肉の熟成の話みたいじゃないか! 言われてみればカツオとて肉には違いない。よし、今度家で試してみよう。でも今はこれを食べよう。

とまあ、とかく熱心に聴きつつ食べ、食べつつ訊く我々の姿を見て、板さんは血合い部分の刺身をサービスで出してくれた。これがまた臭みなど微塵も無く、うまみとコクが凝縮されていて酒の肴に最高なのだ! ああ、すでに2本目の日本酒がカラになりかけている・・・。

勘違いして欲しくないが、そこいらの回転寿司や居酒屋で見かける色が薄く油っぽい「トロカツオ」などとは全くの別物。あれは品が無い。

我々は、この上品に最大の賛辞を込めて「幻のカツオ」と名付けた。文句あるか!

【このトピックへのコメント】
  • marthaウ〜ン
    文句無い!

    私、どうも生姜の薬味って、生姜が勝ちすぎるからあまりチョイスしないできたので、良いことを聞きました。

    近いうちにワサビの鰹、やってみます。
    朗報ありがとう!
    (2006-06-10 01:48:37)
  • Chaiemarthaさん、どうも!

    スーパーのラップは外し、タッパーなどに移してフタは軽く乗せるだけ、らしいです。要するに密閉しないで置く、らしいです。
    (2006-06-10 07:59:29)