ラッキーだろうが何だろうが1点は1点だ! 

前半26分、中村俊輔のクロスボールが相手キーパーも触れずにゴールへ。キーパーチャージの反則も取られず得点が認められ、日本は早々とオーストラリアをリードした。この瞬間、まさに日本中が熱狂したに違いない。

クロアチア、ブラジルのいる死のF組。日本はこのオーストラリア戦での勝ち点が決勝トーナメントに進むための必須条件だった。

度重なるオーストラリアのシュートにもキーパー川口のファインセーブで凌ぎ、リードしたまま前半終了。刻一刻と近づく勝利の予感に誰もがそれを疑わなかっただろう。

確かに後半39分まではいい調子だった。だが、前掛かりのオーストラリアを相手にして、日本の攻撃の連係プレーがペナルティエリアまで繋がらない。どういう訳か攻撃のいい形ができて来ないのだ。40℃近いピッチ温度が追い討ちをかけ、明らかに選手の動きが鈍くなってきていた。

やがて信じられない展開が起こる。ロングスローから同点、パスワークから逆転、ドリブル突破からトドメの一発。なんとロスタイムも含めたわずか10分間で3失点の大逆転劇を許したのだった。

一番の問題は、本来なら日本がやるべきプレーを相手にやられての失点だった事である。日本がほとんどシュートまで繋がらない攻撃を繰り返しているうちに、相手にチャンスが生じ、それをモノにされた結果である。得点にはスタミナ十分の交代した選手が絡んでいた。

西陽の逆光のせいで、相手の蹴った高いボールが見えないとか、ディフェンス坪井のアクシデントでイレギュラーな選手交代を余儀なくされたとか、もう1点取りに行くのか、このまま1点差を守り切るのかの方針が徹底されていなかったとか、理由はいくらでも挙げられるだろう。だが負けは負けだ。

残り試合の相手はクロアチアとブラジル。たとえクロアチアに勝っても勝ち点3止まり。それだって奇跡に近い。なぜならいずれのチームもオーストラリアより強く、FIFAランクで日本より上位だからだ。日本のワールドカップは終わったと言ってもいいほど厳しい状況だ。

4年に渡る努力がたった10分で水泡に帰してしまったかもしれない。
気持ちを切り替えるのは、4年後に向けて・・・かも。