さっそく映画秘宝が「LAND OF THE DEAD」を特集しているね。
これは絶対見なければいけません。伝説のA・ロメロのゾンビ三部作の続編を見ないで死ねません。
ロメロゾンビは1968年の「NIGHT OF THE LIVING DEAD」(日本未公開)から始まって
1978の作品が「DAWN OF THE DEAD」(邦題「ゾンビ」)
1985年の「DAY OF THE DEAD」(邦題「死霊のえじき」)と続き、ゾンビ3部作として名高いです。
ロメロ後ゾンビ映画がブームになりましたが、その後はスプラッタ路線が主流になり、いかにエグいゾンビを作り出すかという方向にいってしまったのですが
元祖ロメロはホラー映画というよりSF映画の範疇。彗星の放射能で死者が蘇って人を襲う!というパニック映画です。
バタリアン等のグログロ路線を想像して避けてるかたはぜひ見て欲しい作品です。(バタリアンはグロもあるけど内容もおもしろいけどね)
ロメロゾンビは純粋にSF映画として名作ですので見ましょう。
昨年21世紀のこの時期に、なぜかこのロメロゾンビがリメイクされました。「ドーンオブザデッド」というそのままの邦題で公開されたので記憶に新しいところです。
このリメイク版ドーンオブはかなり興行的に成功し、なんとゾンビ3部作の続編「LAND OF THE DEAD」が制作されるに至ったというわけです。しかも監督は巨匠A・ロメロ!
NIGHT(夜)→DAWN(夜明け)→DAY(昼)ときてランド?というのはなんでだ。
ちらほら監督のコメントや予告編など情報が小出しにされてきて概要が分かってきましたが、
数年後という設定で、人類は城塞都市を作っていまだ立てこもって暮らしてるということらしい。
それでどんな物語になるんだ?といまいちわからないのですが、ロメロゾンビワールドの続きのようです。
で、監督コメントで気になる言葉が。
「ゾンビは進化しており、もはやノロマな能無しではない」
リメイク版「DAWN OF THE DEAD」で物議醸した部分があります。ゾンビといえばスローな動きなものでした。しかしリメイク版では生きている人間のように全速力で走ってきます。
これに違和感感じてダメ!という人も多いようですが、僕は肯定派。これはこれでおもしろいよ。
ゾンビのスローモーション動作には、死後硬直で筋肉が固いためという理論付けがなされていたわけですが、
凶暴化・対人攻撃という要素こそがキモであり、映画「28日後」で見られたような高速ゾンビはアリではないか?と思える。
ゾンビや「28日後」に見られる対人攻撃欲求は思いますに、狂犬病患者をモチーフにしているのではないかと考えます。
狂犬病の犬は噛み付きますよね。あれはどうも感染によって脳の恐怖を感じる神経が狂うようで、怖くて自衛のため噛むらしいです。
というのは、狂犬病にかかった人間(ほぼ死ぬ。確実な薬は狂犬病にはいまだ無い)の経過で、まず謎の不安感にかられるというのがあるんです。被害妄想的にどんどんなっていき、周りのものに危害を加えていくわけ。
最終的には自我崩壊に至るため、患者から不安感が高まったのちの状況をは聞き出せないが、恐らく犬に見られるような過剰な恐怖心と攻撃性に支配されるのであろう。
犬でも恐らく人間と同じく恐怖心とそれに伴う攻撃性が起こっていると推測される。
狂犬病にかかった母猫が自らの子猫を食いちぎるとか、ホラー映画バリの攻撃性を持つに至るのが、この病気なのであるが、
これってまさにゾンビの行動原理でしょう。
で、ゾンビって何なの?と考えると、そういう感染により攻撃性を持った人間と捉えるべきと思うのです。「28日後」の感染による発狂という解釈はロメロゾンビ的な解釈だと思う。
「死体」では無いんですよ。死体なら時間経てば腐って終わりです。立てこもって待ってりゃ全部のゾンビは腐り落ちておしまい。
(のちのスプラッタ路線になっていったゾンビ映画では「死体」である場合も多いが、少なくともロメロゾンビは死体とは違うと思う)
死体でなく(一旦心停止して仮死状態になったのち動き出すというだけで)あれは「生きている」のです。だから数年後でも動きつづけてるわけだ。
となると、死後硬直、すなわち血流が機能止まって筋肉組織が死んでるなんて状況はおかしい。
それだと数ヶ月待てば全部腐って人間側勝利!です。
(この兼ねてゾンビ映画ファンから言われてた「立て篭もって待ってりゃいいじゃん」は「28日後」でオチに使われました)
で、過去ロメロゾンビがスローだったのに、ランドオブでは早いという部分に理屈づけをするとなると、
一旦仮死状態になる段階で筋肉硬直があり動き出し初期はスロー。ただ時が経つほどに硬直が解けて生存時の稼動を取り戻す。というのが妥当かと。
だとすると数年後の世界であるランドオブではリメイク版ばりの高速ゾンビ山盛りということになる。
SF考証的に言えば、ゾンビは「死体」とはまた違った常態と考えるべきであり、スローでなくともぜんぜんおかしくないし、
ゾンビに殺されるのは死んでいるのではなく一旦仮死状態になっているのだと解釈すると、仮死状態からの再稼動において行動速度の変動があっておかしくはない。
しかしこの理論で通すなら、食われた奴が死んですぐ高速で襲ってくる、というリメイク版ドーンオブに見られたような描写はおかしいということになる。
あくまで高速ゾンビでありつつ、スローゾンビの前3作の続きというスタンスを取るとなると、ゾンビ描写に制約できちゃうな。(噛まれた仲間がすぐに高速で襲い掛かってくる!という描写が成り立たない)
やはりロメロ監督の言うままの「ゾンビは進化しており」というウィルス進化というのしかないのか?なんかご都合主義っぽくて好きじゃないが。
(前ウェブロで7月に書いたが文字数制限で弾かれた記事の再掲。
この時点では日本での公開も未定でしたが、ついに明後日実際に日本公開ですから情報として少々古い話題ですいません)
このHP面白いです。いろいろあって。読んでて思わず吹き出しました!!
(2009-09-22 12:54:03)