静岡よりマサラをこめて

その昔、浜松の街中・肴町にあったというインドカレー屋『ボンベイ』。閉店してもう20年近く経つので、最近インド料理に目覚めた者としては浜松在住または出身の方から昔話として聞くしかなかった伝説の店なのですが…数年前よりオーナーの方が再び奮起し、山の方で限定的に当時のカレーを出す店を始められたとの事、それが現在の『ボンベイ庵』。限定的…つまり週末の昼間のみ営業で要予約、という事で流石に1人では行き辛く大変腰が重かったのだが、此度YZさんの音頭の元、じゃむ～んさんとふまゆ～んさんの4人で訪問する運びとなった。ヒャッホー！

浜松駅前から姫街道を北上し、天浜線の気賀駅を過ぎたあたりから山道(1速でも厳しい急勾配！)に入ってしばらく進むと、看板とペンション風の住居兼(？)店舗が見えてくる。玄関脇に置かれたハッティの置物は、むかし肴町のボンベイの店頭に置かれていたものだそうで。

ここはご自宅も兼ねているのか…？こんな感じで、普通にお宅の一室みたいな所が席になっているのでくつろぎ感はハンパない。ダイニングルームの方はもっと広く、各テーブルが衝立で仕切られていた。合計では4人席が3～4つ、2人席が2つくらいある感じかな。ご主人はキッチンに籠りっきりで、ホール作業は奥さまがこなす。

食事のメニューは、一通り(サラダ，カレー，焼き物，ナン，ライス，デザート，ラッシー(1回おかわり可))が揃った\2,100のセットのみで、内容については予約時に告げておく。カレーはチキン，キーマ(合挽)，ビーフ(+\100)から選べ、焼き物はタンドリーチキン(奥さま一押し)，スパイシーシーフード(+\100)，ポークスペアリブ(+\200)から選べるほか、ラッシーもりんごとバナナが選べた。食事以外はあとはコーヒーのみ。

先ずはお冷と、食前のラッシーと、アチャールのポットが出てきて…その後にサラダ、そして『予約時間に合わせてお作りしています』という焼き物，ナンが配される。

4人で訪ねたからには勿論全種を制覇すべく！両端がタンドリーチキン，真ん中の左がシーフード，真ん中の右がポーク。肉の厚みや野菜の鮮度などから、どの品もいい素材を使っているな～というのが私レベルでも分かるし、それでいて出来たてなのだからマズい筈はありません、大変美味しいです。カルワンのタンドリーチキン(「あのボンベイの味！」と宣伝している)経験者によると、やはりタンドリーチキンの味わいはほぼ同じとのことで、その辺の話を奥さまにも振ってみたのだが…何だかちょっと闇があるみたいです。この店でカルワンとハミードさんの名は出さない事をお勧めします(汗)。ナンはオーブンで作ったものだろうか…ふわふわで終始柔らかな出来。

カレーも勿論全種を制覇！左がビーフ，右下がチキン，右上がキーマ。素材がいいからお味がどれも美味しいのは焼き物と同様だが、キーマは合挽きのグレービー感が先立ち、ビーフはもう欧風カレーに近い感じさえする中、チキンカレーが一番スパイス感がありました。やっぱ当時のボンベイで人気を博していたのもチキンカレーなんですかね？ただ…やっぱインドを始めとする諸外国料理屋で重厚なスパイス使いに接する事ができる昨今からすると、それに匹敵するほどのスパイス感かといえば…そんな訳もなく。美味しいけど、スパイス感は物足りないです。

コース中のデザートとは別に、お土産として無農薬自家栽培の八朔もいただき、こちらもフレッシュで大変美味しかった。という訳で、お値段は少々高めながら料理の味わいとくつろぎ感的には十分に価値があると思いますので、たまの贅沢にはいいと思います。これでスパイス的にもリピートしたい気持ちが生じれば…想いの木みたいな感じで最高だったんだけど。