み〜
2004-11-17(Wed)

Live Aid

LIVE AID (DVD) 1985年に行われたミュージック・シーンの一大イベントLive Aidがセル製品として初映像化された。 この企画の発端となった Band Aid の「Do They Know It's Christmas」や USA for Africa の「We're the World」は記憶に鮮明なのだが、Live Aid の方はいまいち。 悪評高い日本での中継放送を見ていないのは、もしかしたら吉だったのか?

Live Aid の映像はミュージック・エア・ネットワークで過去に放映されていたのを観たことがある。 信じられないようなビック・アーチスト同士の共演が繰り広げられる。 そこに目を奪われてしまうのは仕方のないことだ。 が、なぜこの人々が集まってライブを行ったか、もう一度思い出す必要があると思う。

今回製品化されたDVDではその辺のことも怠りがない。 まぁ多くの場合、当時のエチオピアの飢餓を伝えるニュース映像やドキュメント映像は飛ばして観てしまうのだろう。 いや、あまりの悲惨さに直視できないのかもしれない。 これは20年も前の話なのだが、過去のこと、と言い切ることはできない。 Band Aid に発したチャリティ活動は、Band Aid Trust として今も続いている。 チャリティ・ライブやチャリティ・レコードの企画はは他にもたくさんあるが、Band Aid の発起人のボブ・ゲルドフの凄いところは、自らアフリカに行って視察するなど、基金の使い道や使われ方をきちんと考えているところだ。 チャリティのレコード作ってライブ演ってお金集めて終わり、ではないのだ。 飢饉で苦しんでいる人々がいます。では支援しましょう…一次的にはこれでいいのかもしれない。 …が、歴史は繰り返される。 長期的には、飢饉にあっても大丈夫なように備蓄なりなんなり自ら対策できるようになるまで支援していかなければ、いつまでたっても事態は改善されない。

では、自分は何ができるか、と考えると…、やっぱりボブ・ゲルドフという人は凄いなぁ、と思ってしまう。

それにしても、DVDの日本盤(Region 2)と輸入盤の価格の差は何だろう。 日本だって別のタイトルでは廉価なDVDはいくらでもあるのだから、コストが高く付く、なんてことはないはずだ。 チャリティなのにいったい…。 とはいえ、DVDはリージョンコードの問題があるから、輸入盤に手を出すにはよく考えなくてはならない。 輸入盤でも日本語字幕はついているようだが…。

Hell Freezes Over イーグルスの1994年のアルバム。 よーするに再結成アルバムということになる。 内容は新曲4曲と残りはMTVのスタジオライブ。 新曲は4曲だけだし、再結成だし…ということで今まで敬遠していたが、ライブに行って楽しんだ勢いで勝ってしまった。 ライブに関しては、DVDも出ているようなので、DVDで聴くのが王道かもしれない。

良い意味で肩の力が抜けていて、耳に心地よいサウンドになっている。

なぜ肩の力が抜けたか…。 1980年代前半くらいまでは、ロックは明らかにサブ・カルチャーだったと思う。 サブ・カルチャー故、常に叫んでいたり、肩をいからせて主張し続けたりしていく必要があった。 ところが、いつの間にかサブ・カルチャーから昇格して市民権を得てしまった。 ロックな世代が成長した、ただそれだけのことかもしれない。 とにかく、サブな存在ではなくなってしまったのだ。

ある種の余裕から生まれる心地よい音楽。 そんなサウンドに浸れる一枚だと思う。

The Allnighter イーグルスのライブに出かけた後の余韻の勢い(余韻の勢いってなんじゃそれ?)で買ったアルバムの最後。 もともと、グレン・フライのソロ・アルバムは買おうと思っていて後回しになっていただけだが。

アルバムとしての第一印象は、コマーシャリズムっぽい。 日本盤には映画やテレビのタイアップ曲がボーナス・トラックとして収録されているから余計にそう思う。 (輸入盤にはボーナスはないようだ。) 事実は、アルバム発売後に、より大きなヒットを狙うために後からタイアップを組んだようだ。 タイアップでの大ヒットは1980年代前半にはあふれかえっていた。 そういう点では誰が聴いてもそこそこ楽しく聴けるのではないだろうか。

No Fun Aloud グレン・フライというとソロ1作目の「No Fun Aloud」のアルバム・ジャケットの印象が強いのだが、こちらのアルバムの方は収録曲を眺めてみてもどんな曲だったか思い浮かばない。 なぜだろう。

先日のライブでも演奏された「You Belong To The City」は「The Allnighter」のボーナス・トラックになっている。 ライブでは結構かっこよかったのだが、その印象を引きずりつつCDを聴くとここに収録されている音はあれあれあれ〜ちょっとって感じ。 ライブではホーン・セクションが抜群だったに違いない。

THE RED VIOLIN FOX CHANNELで放映されていたのを観た。 1挺のバイオリンをめぐる17世紀のイタリアからオーストリア、イギリス、中国、そして現代のカナダにまたがる壮大なストーリー。 これだけの時間空間をまたがる物語を2時間強に詰め込むには少々無理があったように思う。 何か物足りない。 もっと時間をかけてもいいから、もっと細かく描いて欲しかった。

現代のオークションの場面と今までバイオリンが辿ってきた旅が交差しているつくりはなかなか面白い。 オークションの場面は繰り返し、角度・視点を変えて描かれる。 少しずつ謎に迫っていくミステリー的な要素もある。 謎=レッド・バイオリンが名器の理由、というよりは、謎が明らかになったことによってそれは呪いのような超常現象的な神秘がバイオリンにあるという感じ。 謎に関してはあってもなくても、きっとバイオリンそのものは名器だったのだろう。 では、バイオリンを手にした人は、そのバイオリンを手にした故、呪われたのか?というと、そういうわけでもないように思う。

現代のオークションで「あのレッド・バイオリン」と言われ、さも有名な名器かのように扱われるが、レッド・バイオリンが世間の表舞台に出たのは、イギリスの音楽家が手にした時だけだ。 競り落とそうと競う人々は、レッド・バイオリンの過去の持ち主にゆかりのある人が主なので、欲しがるのはわかるのだが、世間一般的に広く価値を認められているものかというとその辺が謎。 それにしても、名器であるバイオリンを惜しげもなく孤児の亡がらと共に埋葬してしまう修道僧、そして墓を暴かれて盗まれたバイオリンを大枚はたいて取り戻そうとする…あの修道院はそんなに余裕があるのでしょうかねぇ。

一番の謎は、サミュエル・L・ジャクソン演じる一介の鑑定士が、なぜそれほどレッド・バイオリンに魅せられたか。 危険をおかしてすり替えを企むほどのことだったのか、その辺が描かれていない。 裏市場に流して大儲け、という方がまだわかりやすいのだが、彼は娘への手みやげに持って変えると言うから余計に悩んでしまう。 占い師の言葉でも、レッド・バイオリンの長い旅はそこで終ることになっている。 レッド・バイオリンの旅はそこで終らず数奇な運命がこれからも待ち構えている、みたいなオチもありだと思うのだが…。

すり替えをスリリングに盛り上げておきながら、最後があっけないだけに、説明不足も重なって物足りなさが残ってしまう。 題材としての材料は申し分ないので、料理の仕方次第ではもっと面白くなりそうなだけに少々残念。

マダムと泥棒 シネフィル・イマジカで今月放映中。 今年、トム・ハンクス主演でリメイクされている(「レディ・キラーズ」)。 また、この作品のシチュエーションは確かアニメ「ルパン三世」(TVシリーズ)でもパクられているものがあったと記憶している。

このオリジナル版では名優アレック・ギネスの演技が光る。 アレック・ギネスは「頭の良い」泥棒役で教授になりすましマダムの家に下宿する。 このマダムが品は良いのだが、ちょっと癖のある老婦人。 この人の良い老婦人をだまして泥棒の片棒を担がせるのが教授の作戦だ。 この泥棒一味に「ピンク・パンサー」シリーズのピーター・セラーズとハーバート・ロムが共演している。 残念ながら、「若い」泥棒役のピーター・セラーズの出番は少ない。 40分以上も台詞がカットされてしまったとか。 まぁ、その程度のちょい役だ。 セラーズは「太っちょでちょっと鈍い」の泥棒の役を希望したのだそうだ。 そう、まだこの頃のセラーズはかなり太っている。 ハーバート・ロムは、…「硬派」とでもいうのだろうか、ギャング風情の泥棒役でことごとく教授と対立する。 セラーズよりは目立った役だ。 「ピンク・パンサー」シリーズのドレフュスとはかなり雰囲気が違う。

泥棒の手口は、あまりにのどかでハラハラする前に終ってしまう。 (1950年代ってこんなものか…) 見所は金を現金輸送車から盗み出した後から始まる。 この泥棒達、実は結構間抜けでそれ故マダムに盗みがばれてしまう。 追い詰められた泥棒達はマダムを消そうとするのだが、殺しに手を染めるほど肝がすわっていないようでそこからドタバタが始まる。 そのドタバタが面白い。 しかし、コメディのわりには、暗い。 英国映画ってコメディでもこんなものか。 泥棒達は内輪で争った末、一人一人死んでいく。 素直に笑えない感じ…。 もうちょっと明るい演出にしてくれればいいのに、と思ったのだが、最後のオチでその考えは帳消し。 なんてシニカルなオチ! この映画はこれでいい。

癖のある老マダムを演じるケティ・ジョンソンが良い味を出している。 そして、とにかくアレック・ギネスの目つき顔つきが凄い。 「頭の良い」教授役とはいえ、しょせんは間抜けな泥棒なのだ。 そのちょっとずれた感じを良く表している。 そして、そう思って見なければギネスだとわからないかもしれないくらい役に入り込んでいる。 名優と言われるだけのことはある。 セラーズは自分の役には不満だったようだが、ギネスと共演できて喜んでいたという。 ギネスの演技を観るだけでも価値あり。 な〜んて書くと大袈裟かもしれない。 作品自体はシニカルなコメディだから。

アンナ・カレニナ 本屋のレジ横の500円DVDコーナーにあったのを見た。 トルストイ原作の「アンナ・カレーニナ」の映画化は数多くある。 やはり、グレタ・ガルボのものが有名か…。 この1948年の作品は、ヴィヴィアン・リーが演じているがやはりグレタ・ガルボを意識しすぎてしまったらしい。 私はグレタ・ガルボ版は観ていないので、それについては何とも言えないが…。

この「アンナ・カレニナ」は美人女優としてのヴィヴィアン・リーが見られる最後の作品になる。 この後の彼女の出演作品(映画)は、「欲望という名の列車」に始まり、美人だった昔の自分を懐かしむ哀れな中年女の役ばかりになる。 「風と共に去りぬ」以降この「アンナ・カレニナ」まではなぜか美人薄幸のヒロインばかり。 ヴィヴィアン・リーはハッピー・エンドなヒロインの役がほとんどない。

不幸な役、そしてモノクロがヴィヴィアン・リーの美しさや細やかな表情の演技を引き立たせる。 ストーリーに関してはトルストイの原作があるのであれこれ言う余地はないだろう。

この映画はLD時代にLDを入手して観た。 メジャーな作品とは言えないので、テレビで放映されるのを待っていたらいつになるかわからない。 LDが出ていることを知り欲しい、と思った時には店頭ではタイミングを逸したのかまったく見当たらなかった。 取り寄せしようとしたがメーカー在庫もなく、中古ショップに新古品が流れていたのを偶然見つけることができた。 観たい時に観られないと結局そのまま忘れてしまってどうでもよくなってしまうこともあるので、その時見つけられたのが幸いだったのかどうだったかは…。 こんなに早くDVD時代に移行するとは思っていなかったし、それも500円で売られているなんて! LDという過去の遺産がどんどん持ち腐れていくのは少々悔しいが、それでも500円で映画が買える時代に感謝。

Our Kind of Soul イーグルスに「New Kid in Town」と歌われたホール&オーツのニュー・アルバム。 ニュー・アルバムと言っても新曲は3曲だけ。 他はカバー曲だ。

ここにきてカバー曲集を出す心境って、ジョン・レノンが「ロックンロール」というカバー・アルバムを出したのと同じようなものだろうか…。 それはさておき、リラックスしたR&Bという雰囲気が心地よく響くアルバムに仕上がっている。 ソウルフルというよりはAOR(adult-oriented rock)。 肩肘張ってテンションあげて、ではなく、グラスを傾けながらしっとりと、という雰囲気。

日本盤にのみボーナストラックとして1曲余分に収録されている。 日立のテレビのCM曲「Without You」だ。 シングルにもなっている。 これはどちらかというと熱唱系とでもいうのだろうか。 アルバムに一緒に収録するにはちょっと異質といえばそうかもしれない。 原曲負けしているようにも思うし…。

シングルで判断しないで、ぜひアルバムで楽しんで欲しい、かも。

こればっかりは好みなので、異論を唱えられてもしょうがないが、ダリル・ホールの声には何とも言えない味わいがあると思う。 よーするに好きだっていうことなのだが…。

iPod Photo 60GB M9586J 新しい iPod で気になったのが「オーディオブック」というメニュー。 オーディオブックだと、聴く速度の調整ができる上に、しおり機能が使えるらしい。 今まで気にも止めていなかったのだが気になり出すと止まらない。

Apple のサイトを見てみると、オーディオブックとして販売されているものをダウンロード購入して iTunes に登録すると、iTunes でも iPod でもオーディオブックとして認識してもらえるらしい。 で、その実態は何かと言うと AACファイルでOKで、拡張子で区別しているらしい。 ならば、CDから取り込んだものも、オーディオブックならばオーディオブックとして認識してもらいたいものだ。

AACファイルとして取り込めばCDから取り込んだものでもOKなのだが、ちょっと手間がかかる。 どうやればいいかはMYCOM PC WEB に記事があった。 確かにこれでうまくいく。 しかし、変換したいファイルがたくさんだとちょっと面倒だ。 うまくいくことがわかってしばらくほったらかしていた。

そして見つけたのが、AAC変換 for iTunes 2.0b1 (AppleScript)だ。 これは、iTunes上でファイルを指定して変換できて簡単。 (ファイル数が多いとそれなりに時間がかかるが) これで一気に解決。

しかし、考えてみれば、CDから取り込む時に「オーディオブックとして読み込む」というメニューなりオプションなりが iTunes にあっても良さそうなものだ。

シュレック2 字幕版を観るか吹き替え版を観るか悩む映画。 こういうアメリカンな映画は字幕版を観る方が無難というか王道だとは思うが、山ちゃんのロバは捨てがたい…。 映画館に2回観に行くことを考えると DVD はお得。 だが…(DVDの難点は後で)

前作シュレックはお伽話やディズニーのパクリがメインだったが、今作ではハリウッドのパクリがメインにシフトしている。 知っている映画のパクリは面白い。 映画だけじゃない。E!(ケーブルチャンネル局…でいいのかな?)やレッド・カーペットまでパクっているのには大笑い。 それでも、たぶんわからないのもたくさんあるのだろう…。 「ロード・オブ・ザ・リング」みたいに比較的新しい映画ならともかく「フラッシュダンス」のパクリなんて、子供にはわからないだろう。 そう、これはお子様向けではない。 大人が楽しむものなのだ。

しかし、ブラックさは薄まった。 その点では物足りないのだが、CG技術の進歩による映像の素晴らしさで帳消。 音楽も前作同様楽しめた。

2作目というのはどうしても厳しい目で観てしまいがちだ。 登場人物がワラワラと増え、声優陣(オリジナル)も豪華になった。 前作よりお金かけているんだろうなぁ…と。 CG技術やCG完成度のこだわりは良いのだが、物語の内容は、もっと登場キャラをしぼってシンプルだったら…などと思ってしまう。 肝心のシュレックについては見せ場がない。 前作では、怪物シュレックと美女フィオナ姫の取り合わせが面白かったのだが、今作では二人とも怪物か二人とも人間かのどちらか。 人間シュレックは余計だったようにも思う。 しかしそれは作らない人の勝手な言い草かもしれない。

さて、DVDの方だが、本編メニューに入る前に延々と多作品のCMを見せられるのには辟易した。 しかもスキップができない。(かろうじて早送りはできたが…) これでは繰り返し観ようと思っても、本編に入る前に毎回余計なCMを見せられることを考えると、止めてしまうかもしれない。 最近は、ただでさえ凝った作りのメニュー画面が増えて、鬱陶しく思っているくらいなのに、多作品のCMなんて言語道断だ。 視聴者にとって何回も観たいのは本編だし、製作者にとっても何回も観て欲しいのは本編だと思うのだが…。

Band Aid 20 最近では、ハロウィンが終るともうクリスマスの飾り付けがチラホラと出てくるが、いくらなんでも早すぎるように思う。 キリスト教の暦では「降臨節」という期間がある。 クリスマスを日本語で言うと「降誕祭」。 つまり「降臨節」は「降誕祭」を待つ期間ということになる。 「アドベント」という英語の方がもしかしたら最近では馴染みがあるかもしれない。 「待降節」とも言うらしい。

「降臨節」は11月30日に最も近い日曜日から始まる。 つまり今年だったら今日から。 キリスト教の宗派にもよると思うが、この日から教会はクリスマス向けの飾り付けになる。 飾り付けと言っても、クリスマスツリーやリースが出されるくらいで、飾りらしい飾りはなく質素なものだ。 キリストを待つ期間だからお祭り気分はそれまでお預けというわけだ。

日本のクリスマスというと、どちらかというと自分が楽しむ行事になってしまうように感じる。 が、欧米では少し違うような気がする。 クリスマス、というとなんとなく暖かい気分になる季節、その暖かい気分を他人にも分けてみんなで楽しく過ごそう、という雰囲気があるように思うのだがどうだろう。

Band Aid の「Do They Know It's Christmas?」はまさにその精神のチャリティ・ソングである。 その Band Aid が今年リメイクされる。 久しぶりに20年前の Band Aid のドキュメントLDなんぞ取り出して見た。 ボトムアップ的に始まったこのチャリティ企画の雰囲気が伝わってくる。 当時、この素朴な感じに素直に共感できた。

北北西に進路を取れ 世間一般的には評価されているヒッチコック作品ということで、期待して観たのだが、期待が大きすぎたのだろうか…ちょっとがっかりした、というのが個人的な正直な感想。

最初は面白い。 一般市民(広告会社の社長)がスパイに間違えられ拉致され殺されかける。 間一髪で奇跡的に切り抜け生還するが、誰も信じない。 この辺りはミステリーの幕開けといった感じで楽しめる。 誰にも信じてもらえない主人公(ケイリー・グラント)は、自ら真相究明に乗り出す。 忙しい社長さんなんだから、悪夢と思い忘れればいいのに、と思わなくもない。 が、いずれにせよ再び狙われるのは明らかだから、少しくらい好奇心旺盛の方が面白いかもしれない。

ところが、これが「少しくらい」ではなくなる。 国連ビルに出かけていく辺りから、普通そこまでするかなぁ?と思い始める。 だって主人公は多忙な社長だ。 事態を解明するどころか、ここで殺人犯に仕立て上げられてしまう。 逃げる。

この逃亡劇が出来すぎている。 一瞬で危機を察知して切符売り場をすり抜けていき、しかも成功してしまうなんて、常人のやることとは思えない。 その後は、謎の美女(エヴァ・マリー・セイント)に助けられ切り抜けるのだから、筋書き通りというところか…。

トウモロコシ畑でセスナに襲われ切り抜けた辺りから、常人を超越した超人度が増してくる。 主人公は本職のスパイ顔負けかも、というくらいの行動力で、事件にどんどんクビを突っ込んでいく。 この時点で、普通の広告会社の社長さんなら、命の一つや二つ落としていても不思議ではない。 本当はこの辺で面白さを感じなくてはいけないのだろうが、主人公の超人度についていけなくなってきた時点で、話にもついていけなくなってしまった。 超人的な活躍そして見せるのが例えばジェームズ・ボンドだったら違和感無く観られるのに…(笑)。

謎の美女の正体がはっきりしたところで、エンディングになるのかと思ったらまだ先があった。 確かに何も解決してはいないが、主人公的にはここで終ってもいいではないか。 長い…。

主人公はさらに超人的な活躍を続ける。 追い詰められてラシュモア山の上に出てしまう詰めの甘さは素人だが、そこを降りる、なんて常軌を逸している。 ここはハラハラの見せ所なのだろうが、どう考えても、片手に荷物をもってハイヒールにスカートの女性を助けつつ降りるなんて、リアリティがなさすぎる。 この場面は、撮影の素晴らしさの方に、素直に感心するしかない。 冗談みたいにラストにつなげてくれたのはせめてもの救いか。

もし、この作品が好きな方が読んでいらしたら…「ごめんなさい」