上演場所は銀河劇場。旧アートスフィア。
そもそも天王洲アイルなんて行ったことがないので、オノボリサン気分(苦笑)。
最近、りんかい線を便利に使っているのでそちらから行ったのだがこれは失敗。
りんかい線の駅から3分というが、これが実際以上に長く感じられる。
よほどりんかい線が便利というのではない限り、モノレールで行ったほうが良い。
(2回目はモノレールで行った。楽々〜…つまり2回観たというわけ。)
しかし改装したわりには、雰囲気先行でバリアフリーには程遠い造り。
どれだけ階段をグルグル上がればいいんだ!(特にりんかい線から行った場合。)
ま、ともかく、出鼻をくじかれたのはそこではない。
チケットをもぎってもらい入場しようとした時だ。
ミスで同じ席をダブル発券しているという。
え〜っ!!
出遅れた時点でそんなに良い席ではなかったのだが、チケットぴあのカウンターで場所を選んで取ったものだ。
問答無用で適当に席を選んで送ってくるのとはわけが違う。
別の同等の席に振り替えといったって簡単には納得できない。
つい憮然とした表情になってしまった。
結論からいえば、一列後ろの一つ中央より。
…ホントにほぼ同等といったところ…。
ゴネるほどのことではないが、憮然とした表情だけはそのままで。
「申し訳ありません」とパンフレットをサービスでいただいた。
たいていパンフレットは買うので、内心ラッキーと笑顔。
でも表情は憮然としたままで(笑)。
まぁ、でもこの一列がねぇ〜なんて開演前は思っていたが、始まったら関係なし。
最後部列だったのだがほぼセンターで、劇場もそれほど広くはないのでステージは全体がよく見えるし、オペラグラスがなくても役者の表情もなんとかわかるくらいの距離で良かった。
ちなみに2回目は2階席右ブロックだったのだが、裏で移動したり大道具小道具を動かしているのが見えてしまう。
上から覗き込んで観ているようなそんな感じだった。
(3階席だったらいったいどんなことになるんだ?)
かなり後ろであっても1階席センターブロックが観るのには一番良いと思う。
さてそんな外側の話はここまで。
中身の話に移ろう。
対して予備知識も持たずに観た。
『ルパン三世』で『スティング』な話←なんだそれ(笑)。
『ピンク・パンサー』も入れてもいいかも、というのはパンフレットに書いてあったこと。
ようするに、ありふれた詐欺やらペテンやらのモチーフを組み合わせた一ストーリー。
ネタばれしてしまったらつまらないので、1回観れば充分かもしれない、と1回目の観劇後に思った。
しかし2回目も楽しく観られたのは、ストーリーを伝える以上のものがそこにあったということ。
鹿賀丈史、市村正親という実力を伴うビッグネームを持ってきているだけのことはある。
(ま、クセもあるお二人だから好き嫌い賛否両論はあると思うが。)
宣伝用のスチル写真では市村さんもダンディな格好だったので、そんな役柄だと思っていたら(如何に予習していないかがわかる。)、何!?ただのチンピラなペテン師の役だった。
そのチンピラなペテン師が、ダンディな詐欺師(鹿賀さん)と張り合うことになる。
途中から、どっちが勝つのか負けるのか、どうやって話をまとめるのか…とずっとそれが気になってしまったのだが、見事にまとまってすっきり。
まさに『スティング』。いやぁ、面白かった〜。
つまり、ネタばれ覚悟で言うならば、クラリスだと思っていたら峰不二子だった、ということ。
すっかり騙された。
それくらい頭を使わずに観る方が楽しめる。
なんといったって鹿賀さんのスキップ・シーンなんて、それだけでおかしい。
市村さんは本領発揮というところか。
この前の「デモクラシー」では市村さんはちょっとコミカルさを出し過ぎたかもしれないといったきらいがあったのとは正反対。
鹿賀さんはどちらもダンディな役柄で、若い頃の「野獣死すべし」「悪霊島」での役柄と全く違う。
チンピラじじいだと思っていたポール・ニューマンがダンディなオオモノ詐欺師に華麗に変身〜なんてわけではないが...。
鹿賀さん演じるダンディ詐欺師の忠実な部下を務める警察署長役の鶴見辰吾。
どうも『金八先生』のイメージが未だに残ってしまうのだが、どうしてなかなか健闘して良いお芝居を見せてくれたと思う。
はっきり言うが、どうにもこうにもひどかったのが奥菜恵の歌。
一応ミュージカルで、一応主演格で出演しているのだからナントカしてくれ!という感じ。
場面場面で歌い終わった後も拍手を躊躇してしまう。
実際パラパラな拍手しか起きなかったように思う。
一人で歌うのはまだいい。
デュエットなんて完全に相手の歌まで台無しにしている。
勘弁してくれ、だ。
お芝居の方はキャピキャピキャラキャラしていて、それはそれでそういう役柄でもあるからいいのかもしれない、という声も終演後のロビーで聞こえてきたが、正直、テレビドラマじゃないんだから...という感じ。
奥菜恵の歌から比べれば充分許容範囲だが、愛華みれはちょっとおばさんっぽくなりすぎていた。
そんなこんなで、一万円以上も払って(S席)2回も観るものではないなぁ、というのが正直な印象。
アンサンブルに関しても「ジキルとハイド」級を望むのは難しいのかなぁ...。
いえ、あくまでもお値段との釣り合いで...。
再演も決定しているようだが、キャストに関してはきちんと再考して欲しいものだ。
ちなみに1964年の映画「寝室ものがたり」をリメイクした1988年の映画「ペテン師とサギ師 だまされてリビエラ」のミュージカル化である。
「だまされてリビエラ」はスティーヴ・マーティンとマイケル・ケインが出演。
そりゃあ面白いだろう。
ちなみに今月シネフィル・イマジカで放映。
「寝室ものがたり」マーロン・ブランドとデイヴィッド・ニーヴンが共演しているらしい。
なんですと〜!こっちを観てみたい。だって詐欺師なデイヴィッド・ニーヴンなんて…ねぇ(笑)。
写真は、劇場で販売されていたオリジナル・カクテル。
その名も「ペテン師」に「詐欺師」。
写真を撮り損ねたが「リビエラ」というカクテルもあった。
これは“ヒプノティック”というフランスのリキュールをスパークリング・ワインで割ったもの。
非常に綺麗な水色でまさに夏のリビエラのイメージ(かも)。
これが一番おいしかった。
「ペテン師」も「詐欺師」もちょっと甘すぎてね...。
※ ちなみに「リビエラ」というカクテルは別にあるらしい。