わが愚息がまたドタバタを引き起こした。とある日、ウチの実家にフラっと現れたと思ったら「今までのお祝い金やらの積み立てを使いたい」と母にぬかしたそうな。
父がよくよく聞いたら、どうも友達に誘われてとあるショールームに行ったらしい。そこでPCソフトのデモを見せられた。それは競馬の勝馬予想ソフト。折りしも日曜だったので、開催されていたレースとリンクするとソフトの予想が次々当たった。最低でも年8%以上の利回りが得られ、銀行に預けるよりはるかに高利率だと聞いて舞い上がったらしい。
父からその旨電話が入り、さっそく検索したところ、有象無象の予想本やらソフト、必勝馬券伝授のメルマガの紹介などに混じってそれはほどなく現れた。だが値段を見て驚いた。なんと一式126万円! 他を圧倒するケタ違いの高値である。月々28800円の60回ローンも可だと。JRA-VANやIPATはおろかPCや電話線すら持っていない愚息は、それらのインフラ費用まで揃えるには、さらなる出費がいる。その社員曰く「このソフトの予想から得られる利益で返済などあっという間です」
調べた範囲によれば、価格はさておき単なるソフトの販売なので、一応サギでもネズミでもなさそう。販売加盟店とやらになるには2セット購入し、1セットを商品として販売するらしい。細かいコミッションシステムはわからんが、このあたりまで行くと多分にマルチ的ニオイも感じなくもない。
いずれにせよ、そもそもそんなに儲かるのなら誰が他人になんか教えるものか。独り占めしてこそ最大の利益になる。ソフト会社の社長さん、そう思わんか? デモやってる社員さん、そんなことやってる場合じゃないぜ。PCの前にいるだけで一生遊んで暮らせるじゃないか。なぜお前さんはそこにいて人を勧誘してるんだ?
さて、年8%の利回りで126万円得ようと思ったら、ざっと通算1500万円分の投資に対する勝ちがなくてはならない。最低でもそれだけの金額を動かさなきゃならないのだ。そんな軍資金が安月給の愚息のどこにある。10万20万単位の投資じゃ到底追いつかないのだ。そんな単純な理屈すらわからないほど、お前は純粋培養だったのか? それともホントに大バカ者だったのか?
そんなこんなで、我々からもいろいろメールも出したが、愚息から音沙汰は無い。たぶん今頃になって我に返ったか、素直にあきらめたとは思うのだが。