息子が寮へ帰る日まであと3日。問題の宿題との格闘は、必死のラストスパートが功を奏し、ここへ来て何とか終了のメドが立ったらしい。という事で、息子も連れて大洗アワビ満喫ドライブへと出かけた。

午前7時過ぎ、この時季にしては不思議と渋滞のない首都高を難なく抜けて常磐道へ。待ち合わせ時間にかなりの余裕を残して友部SA到着。会社の同僚ほか2名と合流し、彼らはクラゲ出没もモノともせずに海で泳ぐと言うので、我々は「アクアワールド大洗水族館」へといったん別れた。

まだ9時を回ったばかりという事もあって無料駐車場の空きも十分あり、余裕で入場。入口すぐの円筒形水槽に群れて泳ぐイワシを見て、これが鹿児島水族館だったらキビナゴの大群が入っていたなと思わず思い出しヨダレが出た。ここのウリのマンボウとサメをじっくり眺め終わったあたりで、ランチタイムの場内アナウンス。

鳥のように飛びダイブするエトピリカなる珍獣?から始まり、ラッコ、ゴマフアザラシ、ペンギンと順繰りに飼育員の餌付けと女性アナウンサーの解説を聞きつつ、「人間サマのランチはまだかいな」と、同僚が予約してある店に思いを馳せる。

海水浴組と再び合流し、いよいよ件の店へ。街中からちょっと外れた位置だと思ったが、すでに7、8台の車が駐車スペースの野原に停まっていた。その様子から、この店はたぶん地元のファンもかなり居る、すなわちアタリの店だという事が容易に感じ取れる。すでに含み笑いが漏れていた。

店の名は「味処 大森」といい、つい先月TV「アド街ック天国」でも紹介されたという。同僚曰く、アワビの残酷焼きと岩ガキが絶品だと言う。もちろん真っ先に注文したが、それに加えて身の締まったサザエの刺身、店お勧めの活イワシと普通のイワシの刺身食べ比べ、超肉厚のカレイの唐揚げ、3人前以上の大きさのシラスかき揚などを総勢6人で平らげ、シメはあっさり醤油味のアサリご飯か温玉のせシラス丼をお好みで注文。

真昼間からこんなにやっちゃっていいの? というくらい贅沢し、そのどれもが思わず顔もほころぶウマさの極致! これだけ食べて飲み物込み〆て一人¥5000弱! ワッハッハ〜、どうだ!

鮮度から見ても東京の半値近いコストパフォーマンスであるのは間違いない。もともと常磐道は首都圏で最も混雑しない高速だし、大洗あたりなら楽に日帰りできる。キャンプ場も近くにあるので、海に山に遊んで食べて泊まっても最高のレジャーを満喫できる事請け合いである。

帰宅するまでに高校野球決勝戦が終わった。なんと決勝では37年ぶりの引き分け再試合だ。37年前と言えば、あの伝説の延長18回の死闘、太田投手の三沢高vs井上投手の松山商である。なんと私はこの試合を千葉県銚子の魚料理屋のテレビで親と一緒に観ていたのだ。まだ小学生だったが、いまだに記憶に鮮明に残っている。37年経って中学生の息子を連れ、茨城と千葉の違いこそあれ、妙な巡りあわせである・・・これも何かの因縁かな?

専門チームがスタートして2回目の研修が月曜から始まったが、私が担当するパートは初日で終わり、マーケティング部門のメンバーにバトンタッチして自らも受講に努めている。少なくとも肉体的負担がなくなったので楽にはなった。だが・・・!

マーケティング部門の製品責任者からの研修はまあ良かったものの、製品関連情報担当の女性(仮にS子としよう)が論議を巻き起こしている。

S子は、今回の研修プログラムの作成段階から、ことごとく私の研修方法の提案に対して異論を投げかけてきた。その反対メールも私だけでなく関係者全員に送信するので、無視する訳にもいかず、何度も何度も丁寧に説明しては返した。でも彼女は最後まで納得せず、結局私と製品責任者との間で直に合意するしかなかったのである。思えば前々から彼女の評判は各方面で芳しくはなかったのだが、たまたま今回の仕事で一緒になったものの、やはり前途多難なイヤな予感がした。

その後もミーティングを重ねる都度、我々は研修用に作成したスライドを積極的に提示し、メンバーからの意見を求めてきた。だが、S子からは文字をベタ打ちしたものがたまに出てくるだけなので、我々は研修本番までその内容すら把握しておく事もできなかったのだ。であるから、必然的に彼女のパートは彼女のぶっつけ本番の研修となったのである。事ここに至って、イヤな予感は確信に変わっていた。

講義に立ったS子は、まるで自信がないかのような話し方で、とつとつと文字だらけのスライドを読み上げる。それを聴いている受講者から、当然のように出てくる質問にも要領良く即答する事ができない。中には、彼女が不明だと言った事が2、3枚後のスライドに答えが書いてあった事もあった。ポイントを表などにまとめたスライドすらないから、言いたい事がうまく伝わらない。どうもS子本人が作ったスライドにも関わらず、当の本人がろくに見てきていないのがアリアリ。要は決定的に準備不足なのである。そんなやっつけ仕事がうまくいくはずがない。

案の定、S子の研修の1つ目のセッションが終わった休憩時間に、すぐさま受講者から不満の声が上がった。
「いい製品だと思っている受講者をガッカリさせるような話をするな!」
「疑問点ばかりが増える。これじゃモチベーションも激下がりだ!」
「こんな研修ならやらない方がいい、受講者に失礼だろ!」
「棒読みだけならサルでもできるわ!」
・・・などなど。だが、もはや覆水盆に還らずである。

彼らの声は至極もっともである。研修のコーディネータとしてもたいへん申し訳ないと思った。早い段階でスライドだけでもできていれば、疑問点を検証して私自身で講師を勤められたのだが、いかんせんそれも叶わなかった。もともと我々だけではとてもやり切れないボリュームなのだから分担は必然だった。ただそこに、研修ときちんと向き合い、取り組む適材がいなかっただけだったのだろう。とは言え、ここまで酷いとは・・・。

それでも今日も研修は走っている。次善の策として、製品責任者に新たに質疑応答の時間を持たせ、講義もできるだけ彼にさせるよう指示した。たとえ予定時間を大幅に越えてもそれだけはやらせた。

今回のような反面教師を見るにつけ、私自身も含め、プロフェッショナルな研修職人への道は遠いと改めて感じた。私自身も受講者にネガティブな思いを芽生えさせていないとは、到底断言できないからである。加えて、いわゆる「段取り八割」も間違いなく真実だった。

一昨日の夜、福岡市の「海の中道大橋」で一家5人が乗ったRV車が、飲酒のうえ脇見運転していた車に追突され、海中に転落し幼児3人が死亡した事故があった。

追突した今林大容疑者(22)は、友人と複数の店で飲酒後、ドライブ目的で飲酒運転をし、推定100km以上のスピードで大上哲央さん(33)運転のRV車の右後部に追突した。RV車は歩道を乗り越え、歩行者用ガードレールを突き破って15m下の博多湾に転落した。

容疑者は、なんと福岡市の職員だった。しかも、市は飲酒運転をしないよう指導するメールを23日に全職員に送った矢先の事件だった。福岡市では2005年度には飲酒事故で3人、2006年度は2人がそれぞれ停職処分を受けている。市は謝罪すると共に直ちに懲戒免職にする方針を明らかにした。当たり前だ。当たり前だが、それだけでいいのか?

さらに今林容疑者は、事故後に逃走を図ったという。乗用車が走行不能になったため、300m先で停車したものの、現場に戻ったのは1時間も経った後の事だった。容疑者よ、せめてこの事故で自分が死ななかったり、殺人罪で死刑にならないだけでもありがたいと思え。何より犯した罪の深さと真正面から向き合って、生涯をかけて最大の努力をもって償いなさい。

この夏までにも公務員の不祥事がいくつもあったが、多すぎて覚えられない。ここ最近でも、7月の岐阜県庁で1億円を超える裏金が県職員組合の口座にプールされていた事件、8月2日に巡査部長(52)が酒気帯び運転をした滋賀県では、その2日後に巡査長(37)が女性のスカートの中を携帯で盗撮した。京都市職員の木下悟容疑者(56)による、電車内で会社員に因縁をつけ、胸ぐらをつかんで振り回し、携帯電話を壊した事件。京都市では、職員の覚せい剤使用などの不祥事が相次いでおり、4月以降逮捕された職員は10人に上った。

こんなバカな理不尽な話はなかろう! 

この連中を養うために高い税金を払っているのは、この連中から被害にあった市民に他ならないのである。公務員というのは、いつからこんなに鈍感な生き物に成り下がったのか。自分は誰のおかげでこの職につけ、それゆえ誰のために働くべきなのかを肝に銘じろと言いたい。

新聞によれば、冒頭に書いた事故には、さらに驚くべき悲しい事実があった。

追突され橋から約15m下に転落したRV車は、徐々に海に沈んだ。運転していた大上哲央さんと妻かおりさんは、全身に強い痛みを感じながらも自力で車外に逃れた。車は3列シート。2列目には長男紘彬ちゃん(4)、3列目には二男倫彬ちゃん(3)と長女紗彬ちゃん(1)がいた。

かおりさんは海に潜り、ガラスが割れた車後部から車内に入り、まずはチャイルドシートの紗彬ちゃんを抱き寄せて海面にいる夫に託した。再度潜り、3列目に座る倫彬ちゃんを懸命に抱え、立ち泳ぎで紗彬ちゃんを守る夫にその体を預けた。

残るのは2列目のシートにいる紘彬ちゃん。3回目で助け出そうと試みたが、車体は水深約6メートルの海底へと沈み始めた。息が続かずにいったん海面へ。4回目に望みをかけて体を海中に沈めたが、伸ばした手は紘彬ちゃんに届かなかったという・・・。

必死の救助もむなしく、何の罪もない3人の子供は亡くなってしまった。両親の痛みと悲しみの大きさを推し量る事など私にはできない。一瞬の事故で全ての子供を失ってしまう現実をあなたは想像できるだろうか。これから一生、この現実と向き合いながら生き続けねばならない大上さん夫妻の辛さはどれほどのものだろうか。

この悲劇の原因は、スナックなど複数個所でビールや焼酎を飲んだ挙句に「助手席の友人と話していて脇見し、前の車に気づかなかった」というもの。それがこんなに無残な結果を生む事になったのである。

原因と結果があまりの理不尽さで結ばれてしまっている。