研修ツアーの合間のこの3連休が勝負だと思ってた。

来月13日の金曜日に実施される年1回の全国テスト。と言っても、事前に科目ごとに2〜3倍量の「事前開示問題」を公開し、本番のテストはその中から出題されるという決して厳しいテストではない。

だが問題なのは、その事前開示問題の作成だ。度重なる研修実施に追われて作成が追いつかない。他の科目は先月下旬には公開したが、私の担当科目は受験者数が30名に満たない集団専用の科目であり、先日出題範囲の研修を終えたばかりなのである。せめてもの救いは、研修を実施したので内容も出題範囲も熟知しているという事だ。

ここまでじっくり取り組む時間だけが無かったわけなのだが、そうは言いつつも実施日は日一日と迫ってくる。ついに昨夜、シンクロW杯の中継を見ながら作成作業に入った。一夜明けて今日になり、さらに半日を費やしてようやく120問近い数の問題を作成した。自分の担当分が終わったので、そのファイルを残り80問担当の同僚に投げた。後は彼次第である。

この連休が明ければ研修ツアー後半戦突入である。新宿を皮切りに京都、名古屋と続き、来週明けの上野が全国8ヶ所巡りの千秋楽となる。

ところで我々の部署では、去年一人が異動、もう一人が転職し、今年に入って一人が社内公募で異動した。絶対的にマンパワーが足りないというのに増員要請すら本気でやらない部長殿は何を考えているのか? 

事あるごとに何度この言葉を言っては書いてきたただろうか。だが、彼は我々の立場などほとんど考えてはいないのだろう。四六時中考えているのは、自分の希望するポジションへの昇進だけじゃないかと思えるほど我々の仕事に無関心である。少なくとも日頃の彼のコミュニケーションの取り方からそう見えてしまう。

コミュニケーション、彼は本質的に得意ではないらしい。彼がウチの部署に来て数年経つが、いまだにプライベートに飲みに誘われた事のない部下が多くいる。合併前の会社では、営業が不得手だったで人事に異動し、さまざまな外部研修を受けたという。だから研修理論などは良く知っている。だが、それを実践できるかと言うと話は違う。おまけにこの部署に必須な知識がプアなのが致命的だ。

だから仕事の大枠は認識してはいるものの、現場の実務レベルまでは関心を見せない。あくまで各部署の結果のみを評価していくという、一種アメリカナイズされた仕事に対するスタンスである。そういえば英語は彼の最も得意な種目である。

いずれにせよ、ここへ来てさらに仕事量も急増している。急場凌ぎのテンポラリの女性も体調を崩しダウンしてるし、このままではあらゆる所で「危機」が生じ、あらゆる意味で「危険」だぞ。

研修ツアーも月曜日の上野の千秋楽を残すのみとなった。

今回を振り返っても、今まで同様にやっぱり夜は飲んで食ってしまった。特に禁煙後は、タバコ一服の「3分間のインターバル」が無くなり、飲んでるか食ってるか喋ってるかのどれかの連続となる。必然的にペースは速くなるし、トータルの摂取量も増える。ダイエットの成果がどんどん消えてゆく。

禁煙とダイエットは両立しない。しないと言うより、タバコと食欲の節制を両立させるには相当な精神力が必要であり、私にゃとてもできない。せいぜい途中で意識し直す事ぐらいなのだが、酔ってくればそんなモンはいとも簡単に吹き飛んでしまう。残るは本能のみである。

秋から冬に向かうこの季節、禁煙をきっちり定着させてダイエットに集中しなければ・・・それには「ジョーバ」だ! 安い通販が災いしたのか、未だに発送メールが来ない。早く来い!

さて昨日、古巣の名古屋での研修が終わった後、受講者アンケートの回答を見ていたら、コメント欄に「長い!」の文字が。しかも2名も。こんなコメントは初めてである。思わず同僚と顔を見合わせてしまった。

研修内容についてのコメントや要望等は大いに書いて欲しいが、研修時間については概ね9時過ぎから17時過ぎまでとずっと以前から決まっている事である。しかもフェイス・トゥ・フェイスの集合研修は、いまや3ヶ月に一度の貴重な機会のはずなのに。もっと回数を増やして欲しいという声はひっきりなしなのに。

そこでハタと気づいた。この回答を書いたのは、もしかしたらこの3ヶ月の間に入社してきた中途入社社員ではなかろうか? しかも一日カンヅメ研修の経験の無い会社からの転職だったのかもしれない。だからこういう研修機会の意味が理解できなかったのかもしれない。ぜひとも理由が知りたいと思った。

だが残念な事にアンケート用紙には「匿名」とあった。こういった調査では、ネガティブな回答のものほど「匿名」が多い。大人としてしっかりと意見があれば堂々と名乗ればいいものを、所在を隠した上にたった一言だけの書きっぱなしとは無責任である。まるでネット掲示板の悪質な書き込みのようだ。

ウチの会社の販売組織もいくつもの部隊に分化して来ている。どんなに細分化された組織であっても、いわゆる「2:6:2の法則」は生きている。ある組織や集団における人物の分布タイプを表した法則で、2割は「リードする人」、6割は「ついて行く人」、残り2割は「お荷物になる人」である。マインドで言えば「能動的・積極的」「受動的・流動的」「否定的・消極的」といったところだろうか。「お荷物」は時として「毒物」にもなる。

組織にとって「お荷物」はいらない。下2割の人間をどう減らすか、どうマインドを上昇させるかは社内教育分野の永遠のテーマである。我々も研修を通じて行動変化まで繋げたいという理想を常に掲げているが、現実は厳しい。

学費を支払って授業を受ける大学などであれば、お客様である学生の自由裁量の幅は広い。勉強するのもしないのも本人の自由だし、出席日数や試験以外での強制はほとんどないと言っていい。逆に学生の要望に応える努力が学校側に要求される。なんてったってお客様あっての学校なのだから、当然と言えば当然だろう。

企業は全く違う。少なくとも社員は「賃金をもらって」勉強しているのだ。企業方針があるゆえ勉強すべき内容が自由に選べるわけではないが、研修受講は間違いなく「仕事」だし、仕事だから「義務」である。自由裁量の幅は狭く、勝手な要望なんて通らないのも当然である。社員は研修を全力で受講し、要求される知識やスキルを「仕事」として身につけなくてはならないのだ。

最近、新社会人の「学生から社会人へのマインド・セット」が十分に出来ていないように思える。ウチの会社でも、グローバル基準に合わせるとかで研修期間や研修手段の効率化ばかりが重視されている。新人研修で最優先すべき「マインド・セット」に必要な合宿形式の集団生活による研修が縮小され、一刻も早く現場に出す事が優先されている。

その結果、学術知識や説明スキルには長けてはいるが、社会人としての思考力、コミュニケーション力や常識・マナーの類までが欠如している新人が増えたとの現場の声があがっている。新人は会社への利益貢献ができないのは当然なのだから、研修に時間を十分かけて育成してあげてもいいのにと思う。それでこそ「マインド・セット」も可能だし、会社への帰属意識も醸成されるだろう。

これから始まる長いサラリーマン生活のスタートの時くらい、ひたすら「習得の日々」があってもいいではないか。現場に出てしまえば、そんな機会は二度と訪れないのだから。

今日は年に一度の、社長を除く最上級の上司、いわゆる本部長クラスの人を囲む飲み会だった。彼をA氏としよう。3日〜5日の間の設定で各人のスケジュールに合った日を選んで参加するという段取りである。

去年の同じ飲み会の時にA氏から訊かれたセリフはこうだった。

「君は上司を尊敬できるか?」

私の答えはこうだった。「他の部署とは違い、ここは研修職人の集合体です。そのマネージャーと言えば、大工で言えば棟梁でしょう。棟梁であれば配下の職人の誰よりも優れた能力を示せなければ、配下の職人はついて行かないでしょう。それができないマネージャーなら当然尊敬には値しません」と言い切った。

今回も、A氏から今年はどうだと言う質問も覚悟はしていたが、同じ質問は無かった。ただ、議論のテーマは「部内のコミュニケーション」だった。

そこで分かったのが、何が何でもグローバル基準に合わせようとする我々の部署の上司、B氏と我々との間での違和感だった。どうやらA氏らトップマネージメント・クラスでは、日本を徒にグローバルに合わせようという意志は無いと言う。この瞬間、A氏とB氏との大きな意識のズレが初めて顕わになったわけである。結局コミュニケーションの問題だったのだ。

B氏は英語は喋れるけれど実務経験には乏しい。しかしプライドは高い。それゆえコミュニケーション能力にも乏しい。考えてみれば、そんな人間が部下と十分な意思疎通が出来るわけがないじゃないか。B氏のその部分については私は何度も書いてきた。おまけに彼のプライドは、意識的に自分を貶める事すらもできないのである。それでどうやって部下の心を掴めるというのか。

まあ、B氏とは私のみならず多くの同僚がフランクにコミュニケーションを取っているとは言い難いのはここ数年に渡る事実である。

普段の仕事ではほとんど関係の無くなってしまったA氏だが、私とのやり取りの末にこんな事を言った。「そこまで言うなら、来週中に君の意見を一枚の文書でいいから私に提出しなさい。私は必ずそれに即した対応を取る事を約束する」

本来ならそんなセリフは直属の上司であるB氏が言うべきセリフだろうに。彼とはプライベートでざっくばらんに本音を言う機会も提案する機会も持てていないのだからしょうがない。

であるから、私は自分の職責以外の事案にもかかわらず意見書を出さねばならなくなった。でもこれがウチの部署のイノベーションに繋がるのであればやぶさかではない。しっかり書いてやろうと思う。

グレート・カンパニーを目指すなんて目標を掲げた大会社であっても、足元は意外にこんなモンである。