出雲眞知子

何か新しいことをはじめたいときはたいてい、今まで作ったものをまずはぶち壊してしまいたくなる。
なので、今どうやら、何年かぶりで、ぶち壊し準備中。

ふだんなかなか処理できない用事を片付けに、閉店間際の銀行窓口に飛び込んだ。
もうお客もちらほらでそろそろシャッターが下りる、というところに、女性が息せき切って飛び込んできた。なんとなく見覚えのある顔・・・・
受付の女性に話しかける声を聞いて確信した。大学時代サークルが一緒だった人だ。
「ご用件は?」
「あ、あのー、わたし間違えちゃったんですけど、○×信託銀行に行きたかったんですが・・・・、すいません、この近くにありますか?○×信託」
そのまま、丁重に出口に案内されて出て行ってしまった。

大学時代から、かなり派手めな人で、けっこう有名な企業に就職して、社内結婚をして退社したところまではつきあいがあった(よく覚えてないのだが、結婚の挨拶状はもらった記憶が)。
その後テレビキャスターというかジャーナリストっぽいというか、そういう仕事を目指して、一時はテレビで顔を見たこともあったのだが、その後さっぱりどうなったかわからないままになっていた。

久々に見る彼女は、髪を赤く染めて相変わらず派手めないでたちだったが、元気そう、忙しそう、という印象で、まあ元気にやっているのだろうなあ、と思った。
一瞬、もし向こうがこちらに気づいたら、なんと挨拶しようか、と思ったのだが、その必要もなく、まるきりわたしには気づかずに通り過ぎて行ってしまった。

まあ、大学時代から、すれ違いはすれど、縁がない人だと思っていたのが、うん十年後の今日も、まさにその通りの一瞬の出来事だった。

雪見さんが、英語の自伝を破棄して最初から書き直すことにした、と書かれているのを読んだ。
わたしの方は、今までの人生を全部破棄して、最初からやり直したいくらいだ。そしたら、少しはましな自伝が書けるようになるかもしれぬ。無理か・・・。

【このトピックへのコメント】
  • 雪見自伝って、素材を脚色、編集するわけだけど、元の素材がへにょへにょなのでどうにもならなくて苦労してますよ。ぐにょぐにょですかすかでぽよぽよなんですよ。煮ても焼いてもどうにも形にならない。まったくヤな宿題ですよ。(2005-08-23 19:56:16)
  • 出雲眞知子「ヤな宿題」にギクッ。わたしもけっこう同罪かもしれない。学生さんたち、宿題やりながら、「ヤな宿題」ってぶつぶつ言ってるかも(笑)。(2005-08-23 22:16:33)