久々に映画の間奏を。今さら感アリアリ、かつ今回の2本はちょっとネガティブですが。
『ナルニア国物語第2部 カスピアン王子のつのぶえ』
これ、原作読んだときにびっくりしたんですよね。カスピアン王子の影があまりに薄いのと、カスピアン王子の戦いの話のはずなのに戦いの場面がびっくりするほどあっさり流されてるところに。戦いそのものではなくて、ピーターたち4兄弟がカスピアン王子と合流するまでの方が詳しく描かれているのです。これをいったいどう映画化するのかっていうのが、とても楽しみでした。予告では戦いのシーンがクローズアップされてたし、原作で物足りないと思ったのがまさにそこだったので余計に。
そして映画を見た結果。
まさに期待していた戦いのシーンは大満足。まぁ、あの乱戦で味方の顔に傷もついてないとか、流れ矢にあたったりするあぶなそうなシーンがほとんどないとか、スーザンはろくに鎧もつけてないうえ長いスカートで闘うなんて大丈夫かとか、騎兵と歩兵が近すぎるんちゃうんとかも少々思いましたが、でも戦闘シーンは良かったな。特に良かったのは、一度ナルニア(=カスピアン)側が城に攻め寄せたのに、敗走したところ。ナルニアに行くことのできる、ある種特別な兄弟たちでも運が悪かったり判断ミスをしたりで、無敵というわけじゃないってところが良かったです。
残念だったのは、戦闘シーンやカスピアンの幼い恋など原作になかった部分をしっかり描写したせいか、原作でくどいほどになされていた4兄弟とカスピアンが合流するまでの描写や、ナルニアに戻ってきてすぐの4兄弟の描写や、カスピアンとコルネリウス先生とのやりとりや、カスピアンがナルニアに憧れていたことや、ミラース王率いるテルマールの人たちがナルニアとテルマールの境の森をいかに恐れているかという描写や、コルネリウス先生の過去や、カスピアンと合流した直後のナルニア人たちの様子や、そういうあたりがさらっと流されてたこと。
戦闘シーンは確かにハラハラドキドキして盛り上がるんだけど、そこに至るまでの一見なんでもない過程を描いてくれたら、もっと世界に入り込めるのにな、と思いながら見てました。
あ、あと残念だったのが、アスランがCG丸出しだったところかな。しょうがないとは思うのです。アスランてライオンだし、まさか本物のライオンと少女とを演技させるわけにもいかないし。でも他の、たとえばケンタウロスや普通ではとてもありえない景色や白い女王とかは全然気にならなかったのに、アスランだけあからさまにCGって感じがしたんですよね。ちょっと考えてみたのですが、それはたぶん、アスランがライオンのまま人間と同じ表情を見せるからじゃないかと。ケンタウロスは上半身は人間だし、フォーンはあまり表情動かなかったし、ネズミたちはもともと愛嬌ある顔や動きだから気にならないんだと思うんです。でもアスランは、ライオンらしい厳しい顔を見せた直後に、ルーシィを見ておじいちゃんが孫娘を見るみたいな表情になったりするのが違和感でした。
いろいろ文句はゆーてますが、話自体は外しはないし、やっぱり戦闘シーンはハラハラドキドキするし、映像は綺麗だし衣装も綺麗だし、見てて楽しい映画でした。
『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』
鬼太郎好きとしてはやはり行かないわけにはいかないだろう、と思ってみてきました。
が、う〜ん……。1作目のが面白かったなあ。
2作目ということで、特に鬼太郎ファミリーについては今さら似合ってるだのぴったりだの、そういう感慨はありません。1作目で面白い、と思ったのは、そういう部分も大きかったんだなあと思います。でも今回あまり面白くなかったのは、それとは別に今回のストーリーが今ひとつだなと思いました。
1作目は、妖怪に目をつけられた家族がいて、でも妖怪を信じてるのは小さな男の子だけで、その子が鬼太郎あてに手紙を出したのがきっかけで、でも妖怪の存在を信じないお姉ちゃんと鬼太郎とが少しずつ惹かれあっていくところとかとても丁寧だったと思う。
今回は、人間界がほとんど描かれていないんですよね。ヒロインの北乃きいちゃんの友達とか、部活の仲間とかは出てきたんだけど、人間側で主要登場人物といえば北乃きいちゃんだけ。別にきいちゃん、人間じゃなくても良かったんじゃ?って思ってしまいました。
ストーリーはタイトルどおり、千年前に人間に殺された妖怪が人間に復讐しているらしい、という事件で、それにきいちゃんが巻き込まれていくんですけども、その後最後に対決するまでの間はずーっと細かいネタが散りばめられてるばっかりで、ストーリーらしいストーリーがないんですよね。だから、「どんな妖怪が登場するんだろう」とか「妖怪の世界ってどんなんだろう」とか思って見てる分には楽しいんだけど、いま起承転結のどの部分かが全然わかんなかった。起・承・承・承・承・転×1/2・結って感じ。
で、今回はソ・ジソプさんが異国からやってきた夜叉という妖怪を演じるってあたりもクローズアップされてたと思うんですが、えーと、正直あのキャラクター必要あるのかと。映画HEROの韓国の検事さんみたいな感じ。おいしい役なんだけど出るシーンはあまり多くなく、彼がいなくてもストーリー的に特に支障はないという。夜叉はもっとストーリーにいろいろ絡んでくると思ってたんだけどな。実は彼が黒幕とか、そんな感じで。まさか日本に渡ってきた理由さえもかけらも出ず、黒幕(=ぬらりひょん)を操る・または互いに利用しあう・または参謀としてぬらりひょんの片腕の立場になるなんてことも一切なく、せっかく猫娘を攫ったのに猫娘とのロマンスらしきものも何もなく、鬼太郎としばらく戦ってやられて終わりとは全っ然考えてなかったわ。せっかくウエンツと闘うというおいしいシーンがあるんだから、もうちょっと何とかなんなかったのかなーと思いました。
この映画はとにかくいろんな人が出てて、誰が何をやってるのか考えるのも楽しみのひとつなんですが、京極夏彦があそこにいたとは! そのシーンを見ながら、あれーこれ誰だっけ、見たことあるんだけど名前が出てこないよー、と思っていたのがまさに京極で大笑いでした。しょこたんは可愛かったな。よくよく見れば超ミニの衣装でちょっとびっくり。いらないと思ったのはフジテレビのアナウンサーですね。公開直前にめざましで、誰が誰をやってるなんてネタ晴らしをやってましたが、数々の俳優さんに混じって自分たちのことも堂々と、しかも俳優さんたちよりも長い時間使って流してたのが意味わかんない。鬼太郎のアニメをフジがやってるからこそ、実写版でもフジが絡んでるんでしょうが、内輪ウケはいい加減にしていただきたいと思います。
閑話休題。
後は思ったことを箇条書きで。
・オープニングが怖いよー。ホラーを見に来たのかと思っちゃうくらい怖かった。
・かごめ歌をモチーフにするとは……ホント怖いからやめてください……。
・鬼太郎誕生のシーンはとてもよかった。可愛かったなあ、目玉のおやじも鬼太郎も。
・千年前の風俗の考証は微妙だったなー。
・内容的に、ちょっと子どもに見せたくないかも(砂かけ婆の温泉のとことか、砂かけ婆と蛇骨婆の対決のとことか)。
・ぬらりひょんはもっと狡猾でもっと芯から悪賢くて、鬼太郎を忌み嫌っててほしいなあ。
・せっかくがしゃ髑髏なんて大物出すんならもっと早い段階で派手に出してほしかった。
・蛇骨婆(=佐野史郎)の怪演振りはすばらしい。
・寺島しのぶがもったいない。彼女にスポットを当てて、もっとすごい演技を見せてほしかった。
・墓場鬼太郎の影響か、世の中を拗ねた目で見ている鬼太郎は良かった。
・ウエンツ可愛いよウエンツ(笑)
・猫娘のツンデレ振りも可愛いよ。
・この大泉洋と『アフタースクール』をやってる大泉洋が同一人物とは思えない。
と、いろいろいろいろ書いてきましたけれども、やっぱり鬼太郎は好きだなあ、と思った次第です。3作目があったらきっと見るな、私。