映画の感想。今日は『カンフー・ダンク』『デトロイト・メタル・シティ』『パコと魔法の絵本』の三つ。SMAPさんのツアーが始まる前に見たのもあるので、非常にうろ覚えだったりもしますが。あと、少しばかり(カンフー・ダンクについては決定的な)ネタバレしますので、ネタバレがダメな方は読まないでくださいね。
『カンフー・ダンク』
バスケ好きな私としてはこの映画の予告を見た時点で、行かねばなるまい、と心を決めました。だってNBAのマイケル・ジョーダンを上回る距離からのダンクですよ。……比較対象が古くて申し訳ないけども最近NBA見てないもので。
マイケル・ジョーダン(=エア・ジョーダン)といえば、フリースローラインから飛ぶダンク(飛んでいる途中に走り幅跳びの選手みたいに空中を泳いでるみたいに見える)と、飛んだあとに体勢を変えることのできる自在さでエア・ジョーダンというあだ名がついていた人ですが、もちろんワイヤーを使っているとはいえそれを越えるダンクが見れるとなれば、バスケ好きなら外せない。
そう思ってみたのですが、これが思いの外つまらなかった。少なくともバスケ好きにはオススメしません、この映画。
あらすじは、赤ちゃんの頃少林寺を学ぶ学園に捨てられた主人公が、いたずらがすぎて大学生くらいの年になってから学園を追いだされ、少林寺の技と持ち前の運動神経を持ってしてバスケットで身を立てる物語。……すごく違う話のようだけど間違ってはいないはずだ。
もうこのあたりで相当話にブレがあるんですが、最後までそのブレが解消されない映画でした。少林サッカーがあたったから他のスポーツでもやってみました、でも同じようだったら面白くないから親探しも絡めてみました、みたいな。その親探しも中途半端だったんですが。
とはいえ、バスケットのシーンがなおざりだったというわけではないのがまた微妙。役者さんはちゃんとバスケットの練習やってたと思うし、うまかったですよ。バスケットの経験者かどうかはボールを持った瞬間にわかりますが、ちゃんと練習してるなと思いました。バスケできる男は3割増でいい男に見えちゃうので(笑)、そのあたりは夢中で見てましたー。一人役者さんで、二十歳そこそこの頃の木村さんみたいなタイプの方がいて、もーその方に夢中。かっこよかったー。そしてもう一人、タイプは違うけどやっぱりバスケやってるところがカッコいい役者さんがいて、その方にも夢中。その方は金城くんをもうちょっとワイルドにして若くした感じかな。
そしてこの映画、オチ……と言っていいのかな。クライマックスが一番ダメでした。汚いことも平気でやる(試合中に小突くとかいうレベルじゃない)ライバルチームとの試合がクライマックスなんですが、最後の最後、卑怯な手で負けたあとに時を戻すっていうのがもうね……。そういうことができるできないという部分はかろうじて後出しではなかったけども、スポーツものでそれやっちゃダメでしょー。おかげで勝ったのに勝った気になれませんでした。
結局、ストーリーのブレと、最後のオチとでどうにも盛り上がることのできない映画でした。いかにもバスケ少年ぽい子が二人見にきてたけど、彼らはどう思ったんだろうなあ。
『デトロイト・メタル・シティ』
松山ケンイチのイタコぶりが素晴らしいということなので見に行きました。すごかった。ポップスを歌うところとメタルを歌うところはほんとに別人。松山ケンイチ以外に誰がこの役をできるのか、と言われたらとても出てこない。
もう一つの目当ては松雪さんのドS振り。プロポーションが凄まじくわかるカッコして、超ミニから繰り出される回し蹴りとか踵落としとかを期待してたんですが、さすがに蹴るシーンはしっかりは映ってなかったな(笑)。
あらすじは、コーネリアスや小沢健二のようなスイートなポップス(これまた例えが古いですが、映画でそう言ってるんだからしょうがない)で、世界中の誰かを幸せにすることを夢見て東京に出てきたはずが、なぜかデスメタルの世界でカリスマとなってしまった青年の物語。大学時代から憧れていた女の子との再会したのですが、彼女は彼が歌っているデスメタルなんて大嫌い。救いはメタルを歌うときには元の顔がわからないくらいにメイクをしているので、まだ彼だとは気づかれていないこと。だけどもともとデスメタルを歌いたくて歌っているわけじゃない彼は、これからどうするのか。
ずーっと笑いっぱなしだった、というレビューが多かったんですが、これまたこの間の三谷さんの映画のように、笑のポイントはわかるんだけど私のツボとは外れてていまいち笑えない、という寂しい話でした。面白くないわけじゃないんだけど、なんかどっか違和感があるの。
そんな私が一番食いついたポイントは、里帰りしたときにお母さんと一緒に近所の神社に行ったシーン。何がポイントかって、その神社が(←神社好きなので)。あれホントに犬飼にあるのかなあ。だったら行ってみたいな。社務所に巫女さんはいないだろうけど。
そして冒頭の田舎から東京に出るシーンにも食いつきました。お母さん役は宮崎美子さんだったんですが、彼女の言葉が非常に私と近かったんです。あーこれは豊前か豊後(要は福岡東部から大分あたり)の言葉だなーと思ってたら、ばっちり大分。でも熊本寄り。ちゃんと現地で撮影したようで、なんか懐かしい感じの風景でした。そしてここで一番食いついたのは松山ケンイチが乗った電車。見た瞬間に「あ。キハだ!」と心の中で叫んでしまいました。これを言ったら絶対のうすに笑われると思ったら、やっぱり笑われた。
キハってのは、車両の特徴を示す記号ですね。キとハにそれぞれ意味があるんですが、私はその意味は知らないくせにこれがキハだとはわかるという。でも私、鉄子じゃないから! 乗り鉄でもなんでもないから! 周りにそういう人が多いから知ってるってだけなんです。
この映画、ツッコミどころは満載ですが、たぶんそれは本当に突っ込まれるように作ってるんだろうなと思いました。
デスメタルといいつつあれは本当のデスメタルではない、らしいですが、その辺は良くわかんない。でも久し振りにメタルを聴いて、やっぱり結構好きだな、と思いました。普段私が聴いているのはポップスやフュージョンが多いけど、ハードロックやメタル系統も好きです。どんな音楽でも気持ちいいと思える部分があって、たとえば私にはメタルは重めのギターやベースの響きが気持ちいい。
この映画では、そういうところも堪能できました。
『パコと魔法の絵本』
くそじじい、と呼ばれるほんとにムカツク性格の悪いじいさんと、記憶が一日しか保たないパコという女の子の話。舞台は頭の螺子緩んでんじゃないか?っていう医者の営む、類が友を呼ぶ病院。怪我してる人がほとんどだったから、一応外科なんだろうか。
これは久々に気持ちよく泣ける映画でした。絶対泣けるとか、感動の大作とか言われる映画はあまり好きではないですが、これは好き。
これはぜひとも、とオススメしたい映画なんですけど、すごく好き嫌いがあると思います。話の展開の仕方や妙なテンションの高さや、コスプレまがいの衣装やありえない病院の内装や、ありえない医者や看護婦や、後半の現実とパコの想像とが入り混じった映像や、そういうのが苦手な人はいると思う。でもそういうのが苦手で本当に見れないのなら別ですが、ちょっとうさんくさいって思ってるくらいなら、ぜひ見てほしいです。とはいえ、もう公開されて一ヶ月経ってるので、終わってるところも多いとは思いますが。
スマスマで、この映画の撮影中の役所さんが剛くんと会ったとき「見られちゃった」って恥ずかしがってたと言ってましたが、確かに(笑)。それに結構CGを使っているので、役者さんたちは出来上がりがどうなるか全然わかんなかっただろうなぁ。
出てるって知らなかったら誰だかきっとわかんなかっただろう人もいました。メイクとか衣装とかハンパないし。でもこれは良かったなあ。
役所さんとパコも良かったけど、土屋アンナと妻夫木くんも良かったなあ。あと國村隼さんも良かったなあ!
こんなこと言ったらいろんな筋からお叱りを受けるかもですが、私、将来中居さんにはこういう役やってほしいなあ。というか、こういう役もできるような役者さんになってほしいです。こういう役って、まあ要はオカマとかドラッグクイーンとかそういう役ですが。
國村さんて、そういうイロモノも無骨な男も両方できる人なんですよね。中居さんにはそういう役者さんになってほしいなあ。
閑話休題。
この映画での私的最大の収穫は、上川さんの脚線美です!(笑)
まさか上川さんのぴっちり緑色のタイツ(ピーターパン)とか、膝下ドレスにパンプス(シンデレラのお姉さん)とか見れるなんて! ただし上は小汚い白衣ですが。
上川さんは頭の螺子緩んでんじゃないかって医者の役なんですが、この医者がまた良かったです。そんな医者の、これまたイカれた病院が舞台なんだけど、いいところでいいこと言うんですよ。好きだなあ。
だけどこの映画で一番おいしかったのは、阿部サダヲ。イカれた病院の中で群を抜いて一番イカれた人でしたが、ほんっとおいしかったわー。見ながらボロボロ泣いてたのに、「阿部サダヲおいしい!」なんて思ったりもする不思議な映画。
もう大好きです、この話。文句なく、今年見た映画のベスト3に入る映画でした。
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>10月28日12時
そうなんですよねー。常に上から目線なところも苦手で……。
レッドクリフは、たぶん見るとなったら金城くんのビジュアルと綺麗な映像を楽しみに見ることになると思います。戦う理由が美女だなんて、その時点でもう三国志じゃないですし。映画的にはそっちの方がいいんでしょうけどね。でも根本的にかけ離れてるから、別物として見ることができるなーと思ってます。