待ちに待った「キャラメラ」の武富智の短編集。去年発売予定だったのが延びてようやく発売。しかも2冊。うひょー。
 ・・・と喜んで発売日の24日に本屋を覗くがない。けっして小さい書店ではないのに。翌日探すがない。うー、なぜだー。と、作者HPを見てみると、1万部しか刷ってないですごめんなさいみたいなコメントが。いや、実際1万部ってどれくらいなんだか想像つかんが、どこに行っても平積みで20冊くらい積んであるようなので2〜30万部ってとこだろうか。となると、店によっては置いてないかもなあ、もしかして都内探し回らなくちゃならないだろうか、まん森とかとらのあなとかかなあ、などと思いつつ、微妙な品揃えで(わしに)有名な地元駅前のS書店に。ありました。むむう、○善にもH林堂にもなかったのに。さすがだ。まあそんなわけで無事ニュウシュできました。いやー、セピア色の表紙がまたいいなあ。あ、ちなみにA5判ですのでお気をつけて。

 内容について1作1作解説するのも野暮な気がするので割愛。相変わらず甘酸っぱくも暖かい感じのドラマです。「WAFFLE・BUNNY」みたいな青春っぽいのもいいけど、「ピノキオの♪と」(原題「ほしにねがいを」)みたいな、なんつーか人の温かさみたいなのがこの人の持ち味かしらね。あと、「bazaar」なんかもいい。うん。それと、前にも書いたけど、この人のマンガの良さのひとつはなんつっても「泣き顔」だよな。いい泣き顔書く人だなあ、とか思います。
 うーん、なんかここがこういう風にいい!って言えない作家なんだけど、間違いなくいい作家だと思います。雰囲気としては、松本剛「甘い水」、安達哲「さくらの唄」、佐藤マコト「サトラレ」この辺にピンと来るものがあれば、好きになれるんじゃないかなと。ただね、登場人物にうまく入り込めないと読みにくいだろうな、って気はする。説明的な文とか一切無く物語に入っちゃうし、セリフも舌っ足らずというか、あの、感情が高ぶってうまくしゃべれないってことがあるじゃないですか。そういう感じなのよね。いや、そこがまたいいんだけど。って、この説明も大概舌っ足らずだったりしますが。

 ムシャクシャしたときとか、イライラしてるときに。一服の清涼剤みたいな感じで。なんつて。
 そんなわけで★★★★☆。そろそろ続き物も読みたいねえ。

 2冊、どっちをどう読んでもいいです。わかりやすいのはA SCENEの方かなあって気はするけど、人によるカモ。短編集読んでお気に召しましたらキャラメラ全3巻もドウゾ。どうでもいいが、ずーっとこの人「さとし」だと思ってたら「とも」って読むのね。すいませんでした。

(発行日:2003/03/25)