海月玲二
2015-08-20(木)

無題

そろそろ夏の旅行の時期だ.

今回は旅程の都合で,ホテルとか交通機関とかを予約しているところがいつもより多い.なんか予約してるとむしろ「ほんとに時間どおりにそこまで着けるのか」というのが不安になってくるな.いつもはもっと適当だから,予定通りいかなかったら適当に予定を変えるだけなんだけど.

最近はバックパッカーでも携帯電話を持ち歩いてるのが普通なので,予約のときに連絡先の電話番号必須のことがあるのもわりと困る.ZenfoneにSIMカード入れとくべきだろうか.

2015-08-24(月)

無題

T62+(T62D)で使うアプリをいろいろ探している.今のところ,読む目的では

  • epubならAlReader
  • pdfならOrion Viewer
  • 青空文庫テキストなら読書尚友

を使ってみている.

AlReaderは設定がいろいろあるけど,e-inkデバイス用のかんたん設定があるのがよい.これにしとくだけで画面やメニューがそれなりに見やすくなってくれる.
Orion Viewerは,Book Optionのコントラスト調整で字を見やすくできる(少ない値にしたほうがいい)のと,「ページの左上→左下→右上→右下」というページめくりモードが存在するので,(論文なんかでよくある)二段組pdfの場合に便利だ.
読書尚友は太字設定があってよろしい.注記の対応度やファイルソートの充実度からは「青い空」のほうがよさそうなんだけど,あれは太字モードがないようだし,設定画面がe-inkデバイスだと超見づらいんだよなあ.

AlReaderとOrion Viewerは,webから直接apkがダウンロードできるのも便利だ.こういうのがない場合,T62+だとapk downloaderとかそういうのを使わなきゃいけなくて微妙にめんどくさい.root取ってgoogle playを入れるのはもっとめんどくさいしなあ.

epubを読むんなら,T62+にデフォルトで入っているFBReaderでもまあそんなに悪くはない.でも,pdfビューアーははっきり言ってイマイチである.字を太くできるとこだけがメリットで,操作性はへぼい.ちょうどいい程度に拡大するのさえ難しい始末.C67MLとかのデフォルトpdfビューアーは便利らしいので,ちょっとだけうらやましいな.T62+にC67MLのファームウェアを入れて使ってるひとたちもいるらしいけど,これも試すにはけっこう気合いが必要だ.

2015-08-25(火)

Wizz Air

今回の旅行の行き先はルーマニアとスロバキアだ.でも,日本からの航空券はブダペスト(ハンガリー)往復のものを買った.エミレーツ航空がセールしてたからである.夏のヨーロッパ往復で10万切ってるのは珍しい.

というわけでブダペストからルーマニアへの移動が必要だ.今回は,LCCであるWizz Airがブダペスト→トゥルグ・ムレシュという便を出しているので,これに乗ってみた.トゥルグ・ムレシュというのはルーマニア中部の町でそれほど観光地ではないが,ここからシギショアラなど有名な観光地まで比較的簡単に行けるらしい.

Wizz Airには重大な注意点がふたつある.まず,オンラインチェックインしたときに搭乗券を「紙に印刷して」いかなければならず,スマートフォンとかでpdfを表示しても乗せてくれない.もうひとつ,手荷物の制限が異様に厳しく,バックパック程度でも「大きめ手荷物」の権利を買っておかないといけない.ていうか「大きめ」でもかなり小さい(56x45x25cm)ので,今回は念のため小さめのバックパックを使った.ふだん使ってるやつだと高さが56cmギリギリで微妙なところだったんだよな.実際の運用を見てると,ギリギリぐらいだったら通してくれそうな気はした.でも,「大きすぎる」と判定され,その場で追加料金を払うことになってる人もやっぱりいたけど.

あと,ブダペスト空港で,エミレーツ便から降りたあと乗り継ぎの通路に行こうとしたら,入国審査のほうへ行けと追い返された.ちゃんと搭乗券は持っていたんだけど,なんでかよくわからない.いちいち一回入国するはめになってめんどうくさかった.


ここの空港は小さな地方空港で,飛行機から降りたあと建物まで自分で歩くクラスである.両替所やお店などの旅行者向け設備はほとんどないし(いちおうATMは一台だけあった.出発側にね),英語の通じるシャトルバスとかもあんまり期待できない.入国管理官も外人に慣れてないようだし,詳しいツーリストインフォメーションとか当然ない.ガイドブックにも情報はあまりない.

さて,俺はわりと焦っていた.今日中にシギショアラまで行かねばならないのだが,Wizz Airの便が2時間以上遅れ,すでに18時を過ぎていたのである.シギショアラまでバスで1時間はかかるはずなのだ.まず,空港バスにとりあえず乗りこみ,英語のできる親切な乗客に降りる場所を教えてもらったりして,なんとか長距離バス乗り場らしい場所に到達した.しかし,行き先表示を見ても「シギショアラ」という地名がどこにも見当らない.

違うバスの運転手になんとか聞いてみたところ(ほとんど英語が通じない),どうやら,シギショアラ行きのバスは別のバス乗り場から出ているらしい.さらに不安になりつつも教えられた方向にしばらく歩いていくと,なんとかそれらしい場所を見つけることができ,まだ最終の20時発というのがあることが判明した.ああやれやれ.

でも20時までは1時間強待つはめになった.ほとんど人もいない空き地みたいな場所で,だんだん暗くなる中,ほんとに来るのか不安なバスを待つのはわりと緊張した.犬に吠えかかられたり物乞いが来たりもした(係員の人が追い払ってくれたけど).そのあと近くにあった商店に行ってパンとか買っていたら,同じ物乞いがいて気まずい感じ.


ルーマニア中部,トランシルバニア地方では,外敵から守るために城壁をつけたりして武装した教会や貴族の邸宅などがいろいろ残っている.というわけで,シギショアラ滞在中にタクシーをチャーターして3つほど観光に行ってみた.タクシーをチャーターとか豪勢な感じだが,そもそも公共交通機関がほとんどないので,ほかに方法はないのである.宿で紹介してくれたプランにそのまま乗った感じ.ルーマニアで流しのタクシーを使うのはためらわれるし.

・ビエルタンの要塞教会

最初に見たこの教会はわりと有名なやつで,わかりやすく城っぽいナリの教会だ.有名なだけに観光バスとかもどかどか来る.ここは普通に見物して楽しんだ.

・マルンクラヴの教会

次の教会からちょっと様子が違ってくる.ここはほとんど人も来てなくて,そもそも鍵が開いてない.まず鍵を管理してるおばちゃんのいどころを探すのに,ちょっと村を行ったり来たりする羽目になった.さらに,このおばちゃん外国語はドイツ語しか話せない(トランシルバニアには歴史的理由でドイツ人の観光客が多く,ドイツ語だけは話せるという人がけっこういる).

このとき偶然,国内旅行中にここを観光に来た一家が現れ,一緒に見物することになった.そして一家の父親氏は英語が堪能で,なんとおばちゃんの話を簡単に通訳してくれたのである.説明を教えてもらいながら,中世の壁画とか見て楽しんだ.ここはルーテル派なのに東方正教会みたいな壁画があるのが珍しいんだそうだ.

さらに,みんなで(母親氏だけは待機してた)教会の鐘楼に登ったり,近くにあった貴族の館を再現したものを見たり,リンゴジュース工場でジュースを買ったりした.どうでもいいが,鐘楼のハシゴや床がかなりボロくて危ない感じだった.もし観光客がいっぱい来たりしたら確実に事故が起きそう.

・クリシュの城

一家と別れ,最後に城というか城壁のついた貴族の邸宅のようなところを見にいった.

ただ,ここは現時点では思いきり修復中である.あちこち作業が丸出しだ.しかし,それにもかかわらず観光客として入れてしまった.なんかやたらにこやかな男が時々案内してくれて,それなりに建物とか地下牢とか見物していた.地下なんか全然明かりもなくて大変だった.リアリティがあるようなそうでもないような.

さて,いろいろ見ていたら,件のにこやか男が何か人がたくさんいる長いテーブルに案内してくれて,座ったら料理をよそってくれた.……?? これはつまり修復チームが昼食を食べているところでは?

最初にこの男に見物料を払ってチケットを買っているし,何か作業するわけでもなくぶらぶら見ていただけだし,作業スタッフと勘違いしたということはないと思う.どうも単に親切で食事をすすめてくれたようである.一応近くに座っていた人に「これ,修復チームの食事ですよね? 俺,単なる観光客なんですけど」と聞いてみたら,「うん,別に誰も気にしないし,いいんじゃない?」みたいな返事.

別に何かの罠でもなさそうなので,せっかくだから食べさせてもらったのだった.ついでに付近の人にちょっと聞いてみたところ,作業メンバーは国内外のいろんな大学から集まっているらしい.考古学とかの発掘ボランティアみたいなもんだろうか.

さらに,食事のあと,二人のメンバーが簡単に解説しながら案内までしてくれた.実に親切なことである.

まあ,おかげで予定より大幅に長くタクシーに待っててもらうことになって,あとで若干割増料金を要求されたわけだけど.もっともな言い分なので,ちょびっと上乗せして払ったのだった.

中世の城塞都市がほぼそのまま残っているので有名.ルーマニアでもわりとメジャーな観光名所である.

ここは現在,非常にテーマパーク的な雰囲気の旧市街である.もちろん城塞都市内部にも人が住んではいるのだが,生活感は非常に薄い.そもそも,中で営業しているのはホテルやおみやげ屋やレストランの類だけで,普通の商店はほぼ存在しない(一軒だけ雑貨店らしい店があった).城塞を降りて周辺の市街に行くと普通の店や市場などが存在するので,たぶん内部の住人は買い物などは外に出かけてするのだと思う.

まあ,商業的な中心地域は昔から,現在の繁華街のあたり(城壁のすぐ下)だったんだろうとは思う.でも城塞内部でも市場はあったそうだし,元職人ギルドの建物とかもあったりするので,それなりには生活があったんじゃなかろうか.現在,市場とかスーパーとか大きめの家とかがある地域は,明らかに古くはない感じである.というわけで,旧市街は「中世の建築を見物する」ということがメインであり,町というよりは遺跡を見るような感覚で行くとよいかもしれない.

なお旧市街一番の名物は時計塔である.(たぶん)毎正時になるとからくり人形が動くということで,観光客が集まってきたりする.でも,正直かなり地味な動きなので,過大な期待は禁物だ.

ところで,旧市街中心部の丘の上には教会があって,横に大きな墓地がある.どういうわけか,観光客がけっこういたのが不思議な感じ.いやまあ歴史ある場所かもしれないが,普通に最近でも使ってる墓地だよなあ.散策するような場所でもないと思うんだけど.

速さとか車体のレベルとかは,バルカン半島スタンダードである.つまり遅いし設備はイマイチだ.ただ,遅いのは最初からわかってるので,例外的な事情でなければさほど予定から遅れるわけではない.

今回,シギショアラからシビウまで鉄道で移動してみたところ,途中,工事をしてたせいかかなりスピードを落としてる区間があった.それでも,別に予定を大幅に超過したとかそういうことはない.ちゃんと工事中は臨時ダイヤになっているのかもしれない.

それはいいけど,シギショアラからシビウまでは直通列車がほとんどなくて,コプシャ・ミカという駅で2時間ぐらい待つことになった.この駅のあたりは,街道沿いに工場と小さい集落があるぐらいで,観光客的にはほとんど何もない.切符を買うときに「メディアシュ乗り換えにするか,それともコプシャ・ミカ乗り換えにするか」と聞かれたのはそのせいだったのかもしれない.メディアシュ駅のほうがちょっと手前にあるが,もっとちゃんとした町っぽいのだ.

とりあえず小さな喫茶店をみつけて,アイスを食べながら時間をすごしたのだった.


2015-08-30(日)

シビウ

ここも城塞都市である.シギショアラと比べると町の規模が大きいし,街路も複雑だ.なにより,旧市街中心部でもそれなりに普通の生活が行われているところがだいぶ違う.服屋とか雑貨屋とかスーパーとかそういった施設もあるし.ただ,中世の城塞都市の構造がそのまま残ってる率については,シギショアラのほうが圧倒的に高いそうだ.素人が見ても,まあこっちのほうが壁とか塔とかが少ないかな,ぐらいのことしかわからないけどね!

ここではツーリストインフォメーションで宿を紹介してもらったのだが,係の人が地図につけてくれた印の位置が微妙に間違っていて,見つけるのにえらいこと苦労した.しかし,困った顔でうろうろしていたら,通りががりの人が助けてくれて,携帯で住所を検索したりあたりの店の人に聞きこみをしてくれたりして,大変助かった.この結果,シビウの人々に対するイメージは総計で若干プラスである.

さて,ちょうど滞在していたときに,中世フェスティバルなるイベントが実施されていた.とにかくこの地方は中世推しのようである.それらしい仮装行列とか演劇とか踊りとかいろいろやっていた.出演者はわりと地元のグループが主のようで,なんとなく地域のイベント的なのどかな雰囲気だった.

ステージでは音楽なんかもやっていた.ちょっと意外だったのは,ヨーロッパの伝統楽器を使ってロックミュージックの類をやると,いわゆるシンフォニックメタル的な曲になるということである.よく考えると意外でもなんでもないか.日本でも,夏祭りで三味線ロックとか和太鼓ロックとか遠慮なくやるといいと思った.