興奮しています。
やはり、すごいもの、「本物」を見ると魂が沸き立ちます。
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団が長野県民文化会館にやってきました。
指揮者のリッカルド・ムーティ氏は大巨匠カラヤン亡き後「帝王」と呼ばれる、現代の巨匠のお一人。
S席3万円・・・・「最高の音」に対しての代価として決して高くはありません。
逆に「長野価格」がありがたい。
これはいかずばなるまい。
◎ 一曲目
ヴェルディ作曲 オペラ「ジョヴァンナ・ダルコ(ジャンヌ・ダルク)」序曲
のっけから鳥肌が立ちました。
弦のピアニッシモからの柔らかな導入部がすばらしい。
思わず鼻がふくらみ、目がまんまるになってしまう。
◎ 二曲目
ヴェルディ作曲 オペラ「シチリア島の夕べの祈り」からバレエ音楽「四季」
一つ一つのパートが生きている。
テンポ、強弱・・曲の持つ流れを、指揮者を中心にすべての奏者が共有して
ひとつの音楽を創り上げている。
バイオリンのパートだけでおよそ30人。
オケ全体で80人あまりの人間が、たとえば極めて繊細なピアニッシモを
響かせ、微妙なテンポの伸び縮みを正確にコントロールするのである。
しかも、ただ音を出すのではなく、最高に美しい響きを・・・である。
個々人の技術力が相当に高くないと、音はあっという間にぼやける。
まるで楽器ごとのパートが、有機的に繋がったひとつの楽器となったかのように、ゆたかな響きが会場にあふれてくる。
和太鼓が大人数で、しかも、これだけの「精度」を持って、一つの曲を作ることができたら!
・・・まだまだ和太鼓は「開発の余地」だらけ。
それだけ可能性がある。
このオーケストラのような響きを、和太鼓で生み出してみたい。
夢がふくらむ。
◎ 三曲目
チャイコフスキー作曲 交響曲第5番 ホ短調 op.64
ふ〜、言葉もありません。
・・幸せな時間でした。
本物の力は、やはり生で体感するに限ります。
まだまだ興奮してます。
僕は、和太鼓を「日本の誇る新たな舞台芸術」として生まれ変わらせたい
と思っています。
力強く、しかも、陰影に富んだ、命ある本物の響き。
いつも、いつも、そのことを追い続けています。
今日も、「本物」であるための大きな示唆を頂きました。
まず、その瞬間、どこまで「深く」「細かく」意識できるか。
和太鼓であれば、足の位置、ばちの握り、太鼓に触れる角度と位置、振り下ろす早さ、重心、ばちの大きさ、太さ、裸足か、足袋か、靴か、皮の張り具合、湿度、温度・・・
その曲の流れ、解釈・・・
あげていけばきりがない・・
しかし、最終的にそれすらも意識しない、させない位、それを超える地点、
その時そこにある「力」を掴まなくてはいけない。
それこそが、本物の芸術の「核」であると思います。
そして、今日、その「力」に触れた気がします。
「帝王」リッカルド・ムーティ氏と、ウィーンフィルの演奏に、身体の奥底からグワングワンと共鳴し、その共鳴が高みに連れて行ってくれました。
至福の音が、ずっと心に響いています。
11月5日「不二」埼玉公演に向かって、さらにさらに力が沸いてきました。
これまでとはひと味違う舞台をご期待下さい。
和太鼓奏者 佐藤健作