ヒョウタンからコマ? そのまんま東(東国原英夫)氏が宮崎県知事選挙で既成政党が推した候補者達を向こうに回して当選を決めたのである。ニュース記事を見ると、保守王国であるはずの宮崎県の有権者の思いが読み取れる。

過去に犯罪やスキャンダルを起こした彼が、一転政治の世界に転身した事について賛否両論があるのは当然だ。タレント知事は、所詮は横山ノック元大阪府知事の二の舞になるのではと危惧する声も多い。私も初めのうちは正直そう思った。

だが、単なる知名度だけで勝てるほど選挙は甘くない。特に県政のトップである県知選挙では、政治のプロが求められやすいのは当然で、より難しいだろう。強大な利権の下に組織票も固めやすい。

それでも65%に迫る高い投票率で選ばれたのは彼だったところに、単なる人気投票とは全く違う選挙民の意思を感じるのである。事実、彼は早稲田大学に入学して政治を勉強し、その活動に入っていったプロセスがある。その意味ではただの政治素人タレントとは違うだろう。

「そのまんまマニフェスト」も具体的で分かりやすく、それも彼への支持につながっただろう。事実、無党派層はもとより支持政党のある層からの得票率も高かった。宮崎の有権者はよほど「しがらみ」や「組織」に推された候補者に投票するのがイヤになったに違いない。

これが民主主義である。だからこの結果に対して部外者がどうこう言うべき筋はなかろう。彼への真の評価が下されるのはこれからである。故青島幸男氏が都知事だった時、その反骨精神に一票を投じた都民も、その後議会を敵に回してがんじがらめにされた姿にガッカリした人も多かっただろう。長野県知事だった田中康夫氏も同じ事があった。

自身のビジョンを現実化するためには、何と言っても実務者レベルの協力が不可欠である。逆に言えば、議会を含めた実務者連中はここで寝首をかこうとしてあれこれ画策して来る恐れがある。戦いはこれからなのだ。

彼には、大多数の県民が味方になってくれているだろうが、戦いは孤独である。負けてしまえば守旧派タヌキ議員の議会に翻弄され、結局妥協を重ねる日々となってしまうだろう。いずれにせよ、彼の人生における一世一代の勝負時であるのは間違いない。宮崎県民の更なる後押しも必要だ。

彼の言葉にある、そのまんまの情熱と本当の強さを今後見て行きたい。