ハマってます(笑).
「昴」「め組の大吾」でおなじみ曽田氏の初連載作品.もともとは週刊少年チャンピオンに連載されていたモノで,通常のコミックスは秋田書店から今も発売中(普通に書店に置いている)なのだが,なぜか小学館から.そういえば曽田氏の初期の作品集ってのも出ているのだが,こちらはなんとアスキーが出版.なんかよーわからんことになってるなあ.まあどうでもいいんだけど.
自転車のロードレースを題材として,高校生・野々村輝がライバルや仲間と出会ったり,いろいろな困難にブチ当たったりとかしつつってな,例によって暑苦しい感じの話.いやもちろんここでの「暑苦しい」ってのは誉めコトバね.氏の作品の一番評価すべきトコロだろう.
「昴」「大吾」の順に読んできたくろひょうとしては,2巻くらい(40話くらい)までは実はあまり面白いと感じなかった.絵柄も,まあ古い作品であるせいもあるが,あまりアツくない.というか,如何にもチャンピオン風な絵柄.なのだが,まあそれなりにブルっとくるような場面はいくつかあったので3〜4巻あたりまで読む.と,4巻の真ん中あたり(具体的には73話)で全編を通して一番大きなアクシデントが発生する.するとどうだいおまいさん.ここから最終話までずーっと,毛穴全開で涙・鼻汁止まりませんでしたわ.やーまいった.曽田節だね,なるほどこりゃ「大吾」や「昴」に通じるモノがありますわ.「昴」「大吾」のどちらかを読んで面白いと思ったら,もう一方を読む前にコレを読んだ方がいいかもシレン.
で,内容をもちっと細かく見てみると,この話,少年漫画の王道を少々逸していることがわかる.例えば全編を通して主人公はまったくといっていいほど成長しない.もちろん体力的な部分なんかは成長するのだが,メンタルな部分とか,いわゆる少年漫画の王道にありがちな「主人公たる成長」ってものがないのだ.いや,あることはあるのだが,それは本編においてまったく重要な部分ではない.
加えて登場人物が少ない.全部で150話ほどあるのだが,ライバルらしいライバルってのは4〜5人しか登場しない.その他の脇役ってのも必要以上には出てこない.さらに,勝負のシーン・・・てのはつまり,例えばボクシングマンガや野球マンガなんかでいうところの試合,まあこのマンガではレースなのだが,その回数がやたら少ない.しかしほとんど全編がレースのシーンだといっても過言ではないくらい,主人公とライバル達は毎回汗だくになってペダルを踏んでいる.なんつーか,少ない予算でつくったものすごく濃いモノを,さらにグツグツと煮込んだような話なのだ.暑苦しいモノから一番濃いところを抽出したようなマンガなのだ.うわーヤダー(笑).あれだけ暑苦しいはずの「大吾」は,まだ事件と事件のインターバルが少しでもあるのだが,この「シャカリキ!」では4巻のその事件以後は主人公の出場するレースは1コだけで,最後までイッキに読んでしまえる,というか読んでしまうのだ.や,これ週刊連載だと毎回待ち遠しかったろうなあ.イッキに読めた分くろひょうはシアワセだったと思う.
ま,そんな具合に曽田氏とかその辺のマンガがお好きな人にはたまらないモノになっているので是非.
★★★★★