海月玲二
2022-07-26(火)

無題

近大で「学生同士で協力したりはしないでね」という紳士協定的前提でオンライン試験をしたら、普通に裏切られて満点続出という話があったそうだ。

もちろん、「そうなるに決まってるので、ちゃんと対策を取るべき」という意見は正しい。完璧な解答である。実現不可能ということを除けば。

理由その1。学生は教員が期待するほど優秀ではないので、「本やネットで調べようが協力しようが別に楽にならない試験」という方式にすると、ほとんど落第してしまう(目をつぶってほぼ全員を通すしかない)。そんな方法が可能なのは世界でもひとにぎりの超一流大学だけだと思う。

理由その2。教員には、そこまで試験の準備に時間を費やす余裕がない。俺は「オンラインで問題を配布して解答を送信させる方式だけど、学籍番号によって問題が変わるので友達に見せてもらったりできない」という形式の試験を作ったことがある。あるが、あれは問題の作成と難易度調整がすごくめんどうくさかった。もうやりたくない。俺のようなわりとヒマな奴ですら二の足を踏むような作業を、普通の常勤大学教員ができるとは思えない。

俺はいつも思っているのだが、常勤の連中の業務量には明らかに無理がある。現在の状況下で高度な教育が行われることを期待するというのは、あほか無知の発想である。そもそも、「大学でも、効果的に教育がしたいんだったらかなりの準備時間と手間が必要になる」という認識が欠けているのではないだろうか。大学は高校までと違って、研究者が普通に専門の話をしていれば授業が成立するはずだ(つまり片手間でも大学の教育は可能なはずだ)、と思ってるやつがけっこういるのではないだろうか?