2度目の小泉首相の訪朝。拉致被害者5名の家族8名の帰還が期待され、うち5名がもうすぐ羽田に到着する。残った3名だが、脱走兵のアメリカ人という立場からその娘たちも含めて固辞したという。

残念な事ではあるが、これは致し方なかろう。彼らは拉致日本人でもなく、日本が故郷でもない。あくまでも、そして偶然にも拉致被害者の配偶者と子供だったというだけなのであり、長年反米・反日教育も受けてきて、自身の罪も訴追されるとあれば、日本へはそう簡単に行けまい。ここはじっくり政府と共に取り組んでゆくほかはなかろう。

さて、ここで今回の両国の状況を押さえておきたい。

北朝鮮にとっては、食料等を始めとする経済事情が切迫している。平壌宣言を盾に日朝国交正常化さえできれば、多額の金品を手に入れられる。すぐにでもできると思っていたが、核や拉致問題等で苦しくなってきている。加えて経済制裁、外為法改定、特定船舶拒否等が発効される恐れも出てきた。どうやら日本の世論も厳しくなってきたようだ。

そこで、日朝国交正常化早期達成に向けて、拉致被害者家族の帰国をメインカードとして、態度を軟化させた。前回幕引きに失敗したのを教訓とした。よし、首脳会談の誘いをしよう。

日本。拉致被害者の家族奪還と行方不明者の再調査は北朝鮮との最優先事項である。それがかなうのであれば、国交正常化への進展も得られるし、何より選挙を控えている。ここで自分が出て行ってうまく成果が得られ、世論の点数が稼げれば、自分と党のアピールポイントとなり、選挙も大勝利できる。

そこで、首脳会談の誘いに乗り、拉致問題のさらなる解決の要請と引き換えに、人道支援の名の下の援助と当面経済制裁もしない事を申し出た。

さて、両者がそれぞれの思惑で切ったカード、どちらが大きな利を挙げたのだろうか?

先週までのドンヨリ週間から、ようやくマトモな天気になった。表は少々ガスってはいるが、雨が降るよりはるかにマシだ。

予想通り、各マスコミは今回の小泉再訪朝に対する賛否両論状態となっている。やれ訪朝時期が早すぎた、やれ準備不足の見切り発車だ、やれ会談時間が短か過ぎる、やれ午後も使ってもっとやるべきだ、やれ法律もできていないのに経済制裁を発動しないと言い切るのは変だ、やれ人道支援ではなく事実上経済支援だ、などなど。やれやれ・・・。

会談の様子は、徐々に詳細が明らかになってきているが、やはり組しやすしという態度で臨まれたという事は否めないだろう。良くも悪くも外交術は相手の方が数段上だった。

「この時期に再訪問されたのは良い事です」
「平嬢宣言以後、事態を後退させる状況に失望していた」
「拉致問題は解決済と思っていたが、そんなに心配なら再調査させましょうか?」
「家族が離散するのは人間として考えなければならない」

これらの言葉はすべて相手から先に述べられた。攻めの外交であるならば、本来相手が言う前にこちらが先制するために発する言葉でなければならない。

「平嬢宣言の進展のためには、拉致問題解決がわが国の最優先事項である。
これまでの結果で解決と言うなら、我々と国民は到底納得できない」
「前回の調査の信用性は極めて乏しいのは明白であり、ただちに再調査の上、3ヶ月以内に望まれる結果を形にして出して欲しい」
「そちらが人道的措置を講じるのであれば、わが国も人道支援を行なう用意がある」
「お互いに人道主義を平嬢宣言推進のスタートとしようではないか」

切るカードはこれで十分、というのが私の意見だ。

本日昼、最後の大阪出張から帰社した。思えば10日の福岡から始まって、札幌、大阪、再び大阪と研修実施の一人旅の連続だった。

研修自体は盛り上がったが、なんせ一人で同じコンテンツをやるもんだから、だんだんとマンネリ化してくる。明日、東京にて午前午後のダブルヘッターを実施して本当の終了となるが、もはや頭の中ではセリフまで完成し切っていて、ギャグをかます所まで決まってしまっている。まぁ、同じ研修を複数回やればこうなるのだが、今となっては筆おろし(試し斬りとも言う)の第1回の福岡が懐かしい気もする。

昼は必死に語り、夜はよく食べよく飲んだ。自分へご苦労さん!