暑いが、比較的カラッとした日である。

息子が林間学校でお泊りで留守のスキに、久しぶりにカミさんと待ち合わせて夕飯を食べる事になった。

いろいろ検討した結果、神楽坂の鮨屋「吟遊」に予約。先日TVで紹介され、本マグロのいろいろな部位のにぎりセットがなんと3千円というビックリ価格の店である。他では軽く5千円以上はするので、一度行ってみたいと思っていた。刺身や穴子煮、甘えびの塩辛等もろもろの付いたコースにして、酒は名古屋の「醸し人 九平次」で決まりだ。

幸い天気も良さそうだし、神楽坂まで地下鉄で1本だし、あとは仕事をサッサと切り上げて直行あるのみ。

明日できる事は今日するな、である。

浅田次郎作のこの小説は、私は読んでおらず、映画も見ていなかった。もともとベストセラー嫌いの私だが、なんとなく気にはかかっていた作品だった。

先日見た雑誌広告によると、なんとこれが劇画化されていたのである。しかも結構前に発刊されていた。画は「ながやす巧」。そう、一世を風靡した「愛と誠」や「Drクマひげ」などを描いた一流漫画家である。風景を描かせれば実写以上の美しさ、人物は映画俳優を凌ぐキャラ立ち。今の少年誌の漫画家とは一線も二線も画す実力派だが、作品数はさほど多くはないようだ。きっと「今の流行」とは異なるタッチのせいかもしれないが、断固私は認める。

鉄道員もその期待以上の作品だった。なんと作品が発表されても彼と一面識すらなかった作者浅田次郎をして「神でも苦労するであろう美しい駅舎の描写がそこにあった」と言わしめた。

同じく劇画化された浅田次郎の「ラブ・レター」とカップリングで単行本が出ているので、一度読んでみるといい。書店のコミックスコーナーでも、たまには光るモノはある。

今朝、訃報のメールが届いた。

6月2日のDiaryで記した社員のご主人が今月3日に亡くなった。42歳の若さであった。末期食道癌、おそらくメタ(転移)もあったのだろう。あの時は、一日も早く日本の権威のDrに切ってもらうために私も動き、そして快く引き受けていただけたと聞いていた。

残念ながら日本一のメッサーをもってしても、手遅れの状態だったのかもしれない。それほど若年代の癌は進行が早い。まして、ご主人はレストランバーを経営しており、そのせいか定期検診もろくにしていなかったようで、相当具合が悪くなってからやっと近くの個人病院へ検査入院に至ったという経緯がある。入院後も店が心配で、病院を抜け出した事もあったとか。

「明日の朝、受診できるようになりました」という彼女からの電話が最後だった。その日から彼女は会社を休んでいる。

きっとこの上ない絶望と日々闘っていたに違いない。

POOB(プジョー太平洋OYAJIベルト)の名古屋総会にて、今年の9月下旬頃に信州で(混浴)温泉オフ会の企画があがった。POOBはプジョー206乗りのOYAJI(一部OBANもあり)の会で、南は岡山あたりから関東周辺までメンバーが分散・生息している。

プジョー206という車は、デザインが秀逸で、走りがとても面白く、かつ価格もリーズナブルという事もあり、オーナーは比較的若い層が多い。その中にあって、ニガミ走ったOYAJI&OBAN世代のオーナーの集まりが我々なのである。いずれも酒と歌が武器のOYAJI&OBAN達ばかりである。

私はそこの関東地区総元締めだそうで、今回のオフ会の幹事の一人でもあるため、季節柄そろそろ動き出そうと思っていた。それにはまず幹事会をせねばならぬ。いや、決して飲み会などではない。重要な事柄を検討するための会である。そりゃ場所は居酒屋になるかもしれないが、あくまで幹事会である。そりゃ酒を飲むかもしれないが、あくまで幹事会なのである。

昨夜、通夜に行ってきた。
昨今の斎場の変わり様に驚いた。

1Fに4家族分のブース(幅5m、奥行き10m程度)みたいなスペースが並び、それぞれの中に祭壇があり、遺族が左右にイスに座っている。
我々は、まず記帳受付に並び、ホテルのチェックインカードのようなものに住所氏名等を記入し、引換券をもらう。目の前に焼香場所があるのに、再び焼香用の列に並ぶ。弔問客が100人以上来ていたのはそのブースだけだったので、すべて終わるまで30分はかかった。

同じものが2Fにもあり、建物の1F・2Fでこの流れ作業が行われていた。まさにベルトコンベアー状態である。精進落としの場所もない。都会の斎場は、もはやこんな状況なのか。せめて通夜の一夜は一家族のみで過させてあげることもできないのだろうか。

読経の中、彼女は終始ご主人の棺とその上に飾られた遺影の方を向いたまま、ついぞ焼香客の方を振り返ることはなかった。

その姿が一番悲しかった。

暑い日が続いている。昨日は35℃以上、今日もそれを凌ぐほどの気温である。アスファルトからの照り返しとエアコンの影響で、地表付近は40℃以上にも達しているという。

ふと、営業時代を思い出した。こんな日の訪問先は大型病院のみ。涼しい病院の中を極力さまよい、同じ医局に何度も通う。それもできなくなると、今度は木陰に車を止めてしばしの昼寝。そして別の病院へ。若い頃でさえこんな調子だった。

時代は変わり、経費節減で病院も外来を除いて、職員エリアはエアコンの効きは弱い。営業車として自分の車を使っていれば、エアコンをつけたまま昼寝なぞしていたら出費がかさむ。いきおい、ファミレスに緊急避難となる。

仕事に車が使えるのはまだ恵まれているとは思うが、やはり身体にはきつい。心も攻めの態勢になれず、萎えてくる。でも、昨今ウチの社員にも目立つようになってきた「うつ」は、ほとんどいなかったように思う。それだけ一般に認知されるようになったのだろうが、若い世代の心が弱くなってきているのも確かだろう。

攻めの生き方をした事はなく、他人と十分交じり合い揉まれた経験も乏しく、偏差値とゲームとメールが自分の存在を確かめる手段だった世代は、挑戦する事より失敗しない事が重要であり、強さを獲得する事よりやさしさをアピールする事に努力する。

縛られたくない、自由な生き方を求めたい、本当の自分を探したい…。これらを全力で追うのではなく、そうならない現実からただ逃げているうちに貴重な時間は過ぎ、チャンスの芽は消え、そしていつしか現実と心の闇に飲まれていく。

そんな近未来が待っているように映る若者を、このあたりでもウジャウジャ見かける。

宣言こそまだないが、状況的には十分梅雨明けだと思うが。

昨日は参院選挙だった。結果としてやや減った自民党や大幅に減った共産党の議席を民主党が獲得したという形になった。投票率は決して良くない56%程度であった。

今回の選挙は、あまりに独断に過ぎた自民党の政治手法への批判が、民主党の得票となったのだと思われる。だからといって民主党が全面的に支持されたのでは決してない。not自民党というだけの事である。

だがしかし、これは常勝自民党に一石を投じる民意の現れである事は間違いない。調子に乗るなよ、という事だろう。それでも極端なダメージをくらわすまで至らないのは、国民のバランス感覚である。

選挙結果はあくまで投票した人の結果である。今回も低い投票率だったが、それでもこの程度には民意は反映されたのだ。もし、もっと投票率が高かったら、逆に言えば棄権が少なかったならばどうだろう。

政治家の素行、国会でのやりとり、外交、法案、政権のなにもかもが、たった1回の選挙でひっくり返す事ができるのだ。何よりも強い力を本当は我々が持っているのだ。残念なのは、当の我々のほとんどがそれに気付いていない事である。あるいは使う前に放棄してしまっている事なのである。そんな我々を刺激せず、力を出させずにしておけば、とんでもない政治家連中だってぬくぬくしてられるのだ。要するに国民はナメられているのである。

今回の争点だったのは年金問題、イラク問題、改憲問題、北朝鮮外交問題などなど。与党に入れようが、野党に入れようが、それは個人の自由である。それすらもせずに意見表示を放棄した者たちよ。お前達に政治を批判する資格も日本の将来を語る資格もない。後々自分に跳ね返ってきて、もしかしたら泣く事になったとしても、すべて甘んじて受けろよ。