今年も実働日数20日を切った。例年より暖かい冬模様だが、ここ数日からいよいよ本格的な寒さに突入するようだ。そして今年が終われば来年は戌年、4度目の年男となる。

これまで6/9と7/25のDiaryに2度ほど登場したN君の話。彼が今年一杯で退職し、別の会社へ移ると言う。それが決まったのはここ最近で、驚いた事に転職先への出社は1月初頭だと言う。なんと、わずか1ヶ月ちょい先だ。

初めてその話を聞いたのは、先日のPOOB総会の翌日、飛騨高山に向かっている途中の電話でだった。今の会社にかなりの不信感を持っている事、直属上司がどうにも好きになれない事などを15分くらい訴えていた。聞けば、近々営業職への異動内示もあると言う。異動先は彼の地元の関西地区のようだ。転職先の会社での職種も同じ営業職だと聞いた時、私はひとつの提案をした。

「それなら、まず異動を受け入れて、行った先で他社の営業の連中にいろいろ聞きまくり、一番おいしい会社を選べばいいじゃないか」
「それはとてもいい考えですね」
「異動なら引越し代も手当も出るし、動くならそれからでも遅くはないだろう? どこの会社だって即戦力は随時募集しているんだし」
「わかりましたわ。よく考えますわ」

それから4日間。何も言ってこないので、それとなく尋ねたら、
「ああ、内示はありました。希望通りの関西地区でした」
「よかったじゃないか」
「でも断りましたわ」
「・・・・」

で、結局退社が決定となった。思えば彼は35歳、薬剤師でもある。昔、調剤薬局を友人とやる事になったが、開設直前になってドタキャン。九州旅行まで企画した彼女との約束もドタキャン。今度は、自分の手掛けた企画の実施直前に退職でドタキャン。おまけに今週末の温泉ツアーもドタキャン。

今年の3月にここへ来てからも、自分の望んだ製品の担当でないとヘコみ、人事考課が低いとヘコみ、独善的に突っ走った企画案が通らないとヘコんだ。今回の件は、それらが積もり積もった結果だったと思われる。だが、同年代には彼よりキチンと仕事ができる女性社員もいる。相対的に彼に対する周囲の評価は、残念ながら厳しくなるのは当然の事である。

幸い、彼は30代なので、まだまだやり直しは利くだろう。転職を選択した事も本人の自由である。自由ではあるが、突然の退職で職場の皆に残していく迷惑を少しは鑑みてほしいと思う。それが大人の感性というものだ。

完璧な会社など何処にもないんだよ。行った先では、くれぐれも安易な独善とドタキャンだけは止めた方がいいよ。同じ愚は繰り返すなよ。君だってやり直しの利かない年代に着々と近づいているんだから。

昨日はウチの部署の忘年会だった。会場は、エンパイア・ステートビルを思わせる外観で有名なNTTビルにあるベトナム料理店。総勢30数名が集った。

iPod nanoが一等賞品のビンゴ大会で、私は本年最後のツキを使い、見事ゲット! だが、周囲の嫉妬の目をよそに当面の使用目的が見当たらない。ただでさえ、電車内で他人のイヤホンから漏れてくる音が大嫌いなので、自らそれで音楽を聴く気も無いし、語学学習のためのMPレコーダーは既に持っている。しょうがない、息子にでもくれてしまおうか。

宴会自体は、後輩のレイザーラモンHGのコスプレで盛り上がり、盛況のうちに終えたと言えるのだが、事件は宴会開始直後に起こっていたのである!

ふと見れば、いつまで経ってもスミの方で部長を中心に立ち話をしている3、4人のメンバーがいる。もう30分も過ぎただろうか。本日までの彼女らの出張で何かトラブルでもあったのかと思い、後でそっと聞いてみた。

従来からウチの会社には表彰制度があり、部署からの申請・審査を経て4つのランクで表彰される。今回、動画システムを取り入れたe-Learning教材の作成で、その担当メンバーを部長が表彰申請したという話だった。しかし、それは発案者のA子、その案を流用して別のコンテンツを作成したB子とC子、それに動画の編集を手伝ったD子だけというものだったのである。

これには、当然表彰を受けるべき発案者のA子も困惑した。発案者は自分であっても、企画の実現を強力にサポートしてくれた男性メンバーらが外されていたのでは、到底納得がいかない。A子と同じ思いで、B子は表彰辞退を申し入れた。しかも当の部長は、成果の吟味そっちのけで、ただただ審査を通りやすくするために最低ランクの表彰申請をしたとあっては、なおさら本末転倒である。

今までの表彰対象者は、他部署の例でも企画・実施・サポートに関わったすべてのメンバーというのが当然だったのに、一体これはどういう事なのだろう?

宴会開始直後の空白の時間が生じたのは、この件を今日の忘年会のネタにしたい部長との間でスッタモンダしていたが故であった。晴れがましいはずのニュースは一転、暗く沈んだ代物となった。

この部長、2年前に人財本部から来た45歳の慶應ボーイ。英語は達者だが、人事出身にも関わらず、どうも人の気持ちがわかってないフシがある。過去にも「自分より年上の部下はいらない」などと言い、聞いた者を唖然とさせた。彼より年上は、私を含め今でも10人以上はいるというのに・・・。

今回の事も彼独特の思惑があるのだろう。表彰を通して自分のアピールにもなるし、何年も保留されていたA子の昇格の追い風ともなる。だから少なくともA子には表彰を受けてほしいと皆は思っている。実はこの企画には、私と共に同年代のメンバーも関わっていたのだが、マネジャーだという不可解な理由で外されていた。我々はそれで一向に構わないのだが、A子と最低でもサポートの中心的役割をした若い男性メンバーは入れるべきである。

それにしても彼は、今回の企画全体の流れが見えていなかったのか、あるいは見ないつもりなのか? それはわからない。だが、少なくとも多数の部下のモチベーションが一気に下落した事はまちがいない。

総合経営研究所という黒幕登場でますます注目されている強度偽装事件の証人喚問、楽しみにしていたのだが、昼も夜も仕事のスケジュールが立て込み、中継はおろか夜のニュースもろくに見られなかった。それでもネット記事と今朝のワイドショーで何とか概要を把握した。

主演男優賞は、民主党の馬淵澄夫議員でまず異論はなかろう。ホテル建設の組織表と総研No2の「四ヶ所メモ」爆弾を見事に炸裂させ、それまで余裕すらかましてた内河氏を一転窮地に追いやった。喚問では、こういう物証を掴んで追い詰めながら証言を迫る事が重要であり、効果的なやり方である。その瞬間、隠されていた真実が浮かび上がる事がままある。

逆にどうしようもないと言うか、ウラに何かがあるのでは? と勘ぐらせる体たらくな質疑を演じたのが、自民党の渡辺具能議員。40分の持ち時間のうち何と30分超を自説の独演に使い、姉歯氏の証言時間はたったの7分だった。最も長い時間を得ながら、何を意識してダラダラと時間を浪費したのか?

このお粗末な光景を目にしながら、ウラで関与していたであろう与党政治家の存在の影を感じ取った人も多かったのではなかろうか。

いずれにせよ、こういう場合であれ、全ての政治家が正義の味方と思ってはいけない。この世に人間関係がある限り、そこには利害関係が生まれる。特に利権を握っている側の立場は強い。内河氏は悪徳商人側の利権者。それを容認し、時にバックアップしたであろう悪代官側の利権者もいるはずである。そういう連中は、問題が起きれば真っ先に事実を闇に葬ったり、トカゲのシッポ切りをしたいはずである。

今回の証人喚問までで少なくとも明らかになったのは、安い・早いホテル建設というビジネスパッケージが相当なユーザー訴求力を持つという事だ。そしてそれを実現しつつ利益を確保するには、見えない構造部分にコストダウンの鍵があるという事である。そのために法の目をかいくぐる事も厭わない組織が生まれ、その組織に序列が生まれる。内河氏が上流、木村氏が中流、姉歯氏が下流である。立場の強さも同順である。

これがいざ事件として明るみに出ると、失うものの大きさからなのか、逆転するのが常。立場の強い上流ほど知らぬ存ぜぬ、記憶にございませんとなり、立場の弱い下流ほど正直になってくる。だから今回の事件では、姉歯氏の証言が一番真実に近く、内河氏が一番遠くなるのは自明の理だろう。さらにウラで黙ったままの悪代官はもっと遠い。

いっそのこと、総研に理不尽な思いをさせられた建築主、自己破産のために解雇された木村建設や平成設計の元社員などを集めて喚問したらどうだろうか。今や一番下流となってしまった彼らこそ、一番真実を語るのではなかろうか。