昨日コウニュウ報告したばかりだが,読み出したら止まらなくなって一気に全巻読破.いやー,泣いた泣いた.名作だね.今まで読んだことがなかったってのが悔やまれるよ.ええ,読んだことなかったんですよ.たまたま機会がなくって.いやー,いいマンガだ.
内容はいいやね.ボクシングマンガですわ.ただ,ボクシングを通しての人間関係とかがやたら熱い・・・というか,小山節っつーかね.うん,この人のマンガって,「アツさ」ではないんだよなー.んと,小山氏の描く人間の「絶望」みたいな描写って,すばらしいと思ってるんですわ.「竜馬」とか「愛がゆく」とかも何がすばらしいって,その辺の描写だよな.絶望に(文字通り)歪んだ顔っての,この人の最大の持ち味だと思いますわ.
で,このマンガに関して言えば,人が死んだり,別れたり,あるいはボクサー生命を断たれたりってのが多い分,その辺の描写がことごく光る.その都度泣いちゃうものな.うん.
ただ,ボクシングマンガとしての物足りなさはあるな.いや,これは多分読む年代と順序の問題なんだろうけど,例えば登場するボクサー,それぞれにタイプがあるはずなのにそういう描写はほとんどない.っていうか,全般にボクシングに関する描写って軽いよな.いや,試合のシーンはこれまたこの人独特の間合いとスピード感で迫力たっぷりに描かれてはいるんだけど,そこへの過程というかがね.なにせ元気の本来のボクサースタイルすら最後まで不明.最初に天性のパンチ力とか言ってた割にはそこはそれほどクローズアップされるでもないし.途中でものすごいディフェンス技術を見せつけたりとか.ちょっと「?」な感じは拭えないな.
ってのは多分,くろひょうに関して言えば「はじめの一歩」を読み込んでいるせいが大きいんだろうな.たしかに比較してしまいがち.というか,普通に「元気」→「一歩」の順で読んでる人にとっては,「一歩」の方が「元気」のパクリに見えてしまうんだろうけどさ.アイテムとしてはパクリっぽいところは多いもんな.バッティングとか出血でTKOになりそう!とか,ライバルが同じジムを去る,とか,熊殺しなんてのもあるな.まあそれぞれ場面ごとの演出とか効果が必ずしもいっしょではないのだが,そういうアイテムだけを見るとたしかに「一歩」はパクリっぽい.しかし,時代を経ている分,一歩の方が洗練されているイメージはあるんだよな.先述の「ボクシングに関する描写」って面では圧倒的に一歩の方がしっかりしているしね.
でもさ,どっちが優れているとかって問題じゃないんだよな.「一歩」は一歩なりの良さがあるわけだし,「元気」にだって,小山氏にしか描けないであろう良さが随所にある.それぞれいいマンガだと思いますよ.ほんとに.
ついでに書くと,「あしたのジョー」も読んでないすよあたしゃ.んなもん今さら読めるかーッ!!(←いきなり逆ギレかよ)っつーか,今さら手に入らないってのが正論だったりして.ま,機会があれば読んでみたいとは思いますけどねえ.探して買うほどでもないかなと.
まとめると,時代には逆らえないが,人間ドラマとしてイイ!っつーか泣ける!
っつーことで★★★★☆.
個豹的には石田ともこが途中でないがしろにされてしまうのがなー.劇中のヒロインは芦川先生だってのは分ってるんだけど,それならそれでともこの方は早いウチにケリをつけてやって欲しかったなーとか.いや,どっちかを選ばなければならないとかってな葛藤があるんならそれでいいと思うんだけど,そゆのもないしさ.
ま,そゆマンガじゃないんだろうけどさ.
あ,あとこれ,何が驚いたって増刷.
1巻の第1刷発行日が昭和52年6月15日.んでもってくろひょうが手にしたこの第1巻はなんと36刷で昭和61年12月20日発行.いまどきのマンガって,こんなに長い間売れ続けるのって,ないよなー.いや,もっと売れてる(というか増刷されてる)マンガがあるってのはわかってるけどさ.この辺も時代だよなーってサ.