話題の講談社新雑誌。
もともとはモーニングの増刊「新マグナム」の月刊誌化なのだが、新マグナムからそのままの移行は高倉あつこ「ハゲまして!桜井くん」、佐藤マコト「サトラレ」、片山まさゆき「最弱!ルーズドッグス」、伊藤理佐「ももちん」、杉作「(犬)ロッキー」のわずかに5本と新装連載の郷田マモラ「きらきらひかる2」、それに安田弘之「ちひろ」の番外編くらい。対してモーニング本誌のシリーズ連載からの移籍が高橋のぼる「リーマンギャンブラーマウス」、きくち正太「おせん」、富田安紀良「NIGHT BLOOD」、鈴木あつむ「検察官キソガワ」、正木秀尚「ガンダルヴァ」、加えてモーニング本誌系作家の新連載田島隆・東風孝広「極悪がんぼ」、小林まこと「What's Michael?」、三宅乱丈「北極警備隊」、秋月りす「OL進化論出張版 中年ポルカ」、木葉功一「クリオの男」、いとう耐「イブニングパブのこりび」ってとこか。ほかヤンマガ系で三田紀房、風間やんわり、小田原ドラゴン、安野モヨコあたりも描いたりしてるが、このラインナップは結局「月刊モーニング」を作りたかったんだな、としか思えないワケだ。
まあそうは言ってもアフタだってもともとはモーニングの月刊誌版を作ろうとしてあのような雑誌になったのだから、ここで妙に悲観したりするのもアレかなーって感じではある。が、アフタは結果として「月刊モーニング」にはならなかったワケで、そのツケをイブニングに払えみたいな感じになっちゃうとちょっとなんだなーって気はしてしまう。なんとなれば本誌の前身である「新マグナム」は誌面としては若手を多く起用したり、実験的な作品を載せたりとかなりアグレッシブな雑誌だったわけだ。その辺は各方面(ってどこじゃい)で評価されていたのだが、果たしてその評価されていた部分をうまく「商業的にも成功させなければならない雑誌」に持ってこられるか?って感じだよな。というか、ファンとしては持ってきて欲しいのだが、編集サイドはそういうファンの思いを汲んでくれてるかどうか?
というところで創刊にあたってのスペシャルな読み切りとして登場したのが弘兼憲史「ヤング島耕作」とさだやす圭「ああ播磨灘外伝」。あちゃー。ついでに書くと雑誌ロゴがモーニングのそれと同じデザイン。どーもねー、自信のなさがそこかしこに現れてるよな。なんつーか、うがった見方をするならば「モーニングと間違えて買っちゃうのを期待してる?」って感じだ。折しも盆休み前後でばたばたしてるから月曜にモーニングがあっても不思議に思わないはず。つーか、なんせワシはこの間、モーニング本誌と間違えて「課長島耕作総集編」なんてのを買ってしまったてな経緯があるからでもあるのだが、いやでもそういうひと少なくないと思うよコレ。なんかさ、もちっと堂々と勝負して欲しいよな。
加えて創刊号ってことでオマケ付き袋詰め2部合計で900ページってー売り方。それ相応の読み応えがあるかっつーと、必ずしもその限りではないんだよな。なんつーか、どこからどう読めばいいのか分からない感じ。実際2部のうちどっちを先に読めばいいのかよーわからん。どっちでもいいかっつーとそうでもなくて。なんとなれば田島隆・東風孝広「極悪がんぼ」は各部に1話ずつの2話掲載。なんせ内容は繋がっているので、先に後半を読んでしまうとワケがわからないのだ。それだけじゃなしに、どこになにが載ってるのかさっぱりわからん。くろひょうの目当てはとりあえず佐藤マコト「サトラレ」なのだが、これを発見するまでに読まなくてもいい「ヤング島」は読まされるし(←じゃあ読むなよ)(←だって・・・)、同じくどうでもいいマイケルまで読んじゃったし(←だったら読むなっての)随分イライラさせられたよ。
とまあ文句を言い出すとキリはないのだが、しかしこれもそれもすべてこの雑誌に期待しているからこそってことでひとつ(←キレイにまとめようとしてやがるな)。
んじゃ肝心の中身を簡単に。
弘兼憲史「ヤング島耕作」
なんだかんだ言って読んじゃったのだが・・・、吉原氏といい中沢といい、ちょっと都合良すぎ。なるほど島って男は最初っからこうやって運だけで世渡りしてきたのね、ってことを読者に植え付けたいのかこの人は。
佐藤マコト「サトラレ」
久々(だよな?)に西山と小松のエピソードなのだが、そーくるかって感じ。次号もこのエピソードの続きになりそな気配でいきなり目が離せない展開。早く2巻出ないかね。
水島新司「父ちゃんの王将」
創刊特別読み切りってことかな?連載ではないっぽい。ところでこの人、「俺はもう野球以外は描かない!」って宣言しなかったっけ?なのにタイトル通り野球ナシの将棋マンガ。いや、将棋もどーもうさんくさい感じ(笑)ではあるのだが、なんつーかあぶさんテイスト。まあ別に期待してなかったし。
木葉功一「クリオの男」
サトラレの次くらいに楽しみにしてたのが木葉氏のマンガ。いや、前作があんなだったからだいじょぶなんかねーって気もしてたのだがなかなか。つーか、格好いいですわ、やっぱり。あまり期待はしないでおこうと思いつつ、次号も楽しみだ。この人、こういう掲載方式があってるんじゃないかね?知らんけど。
吉田基巳「恋風」
以前新マグナムで「水と銀」という隠れた名作を描いてた人。なんつーか独特の柔らかいタッチでほんわかした感じの世界とぽーっとした感じでロリ入った女の子を描くのだが、これが比較的評判がいいのだ。くろひょうも結構好きな作風だ。
んで今回は失恋したてのやる気のなさそな男がやはり失恋したての女子高生に出会って、なんだかいい雰囲気になるが実はふたりは・・・って感じ。んーここからどう持ってくのかよーわからんのだが、いい感じの作品になりそう。期待大。
小林まこと「What's Michael?」
おい、「連載再開」ってのはちょっとどーかと思うぞ(笑)。
先日の通り雑誌のボリウムがボリウムなだけに書き出すとキリがないのでこの辺で。
で、気になっていることが2点。今後はどんなボリウムでどのくらいの値段になるのか?ってのがひとつなのだが、次号は280円ですって。ページ数はよーわからんのだが多分中閉じだろうからせいぜい500ページってとこだろうな。んむ、月刊誌なんだからもうちょっと高くてもいいかなって気もするが、どうなんかね。
んでもひとつ。新マグナムから来たにしろ、モーニング本誌から来たにしろ、これまで単行本の出ている作品は全部「モーニングKC」だったんですわ。これ、次巻からは「イブニングKC」になるんかね?既刊もこっそり「イブニングKC」になったりするんかね?なんかどうでもいいことなんだけど気になるね。いずれ「幻のモーニングKC版だっ!」とか言ってプレミアついたりして(←つかねーよ)。
すっかり長くなったがとりあえず期待の新雑誌ってことで。
次号は9月19日発売。