ロケットで宇宙旅行することを妄想する青年コロと、パンを売っていつかコロと町を出ることを夢見る少女ナオミ、ダンサーになることを夢見つつ体で男を従わせるクッキー、三人の狂った青春模様、とでも書けばいいだろうか。なんともはやこの人の描く漫画は形容しがたいなあ。全編通して狂いまくってるんだけど、青春って感じなんだよな。熱さと狂気が入り交じってるような、そんな漫画です。
 エロティクスFに連載されていた作品で、連載中は雑誌自体が隔月になったりして繋がりがいまいち掴みにくかったりしたのだが、こうやってまとめて読むとなかなか面白い。や、正直連載中は、ここまでちゃんとした話になっていることに気づいてなかった。登場人物の相関関係とかね。ナオミの壊れていく様とか。いまIKKIでやってる「フリージア」は、一話一話である程度まとめてきてる分比較的わかりやすいよな。エロFだとそういのがないからなー。
 本誌連載は誌面改造のアオリか、途中で終了してしまっていたのだが、単行本では書き下ろしの完結編が収録されている。まあ、なんともはや悲しい結末ではあるのだが、なんていうのかなあ。基本的にはメロドラマだよなあ、これ。そんな感じ。
 なんだかよくわからない説明だが、★★★☆☆。「フリージア」でピンときたら是非。

 どうでもいいことだが、この人のホームページが死ぬほど面白い。何が面白いって、小学校とか中学校のころの思い出を延々綴っているコーナーがあるのだが、泣ける。是非探して読んでみてもらいたい。

(発行日:2003/12/28)

 うーん。長すぎかなーと思えてきた。いや、相変わらず面白いんだけどね。けど、なんか熱さも、読後の爽快感もなくなってきている。ストレスばかりが多いってのもあるんだろうけど、それだけじゃない、単純に飽きがきてるのかなあ、という気もしている。簡単なサクセスストーリーになってもつまらんことはわかってるんだけど、なんとも紆余曲折ありすぎなんだよなあ。
 そんな感じで、今回は★★☆☆☆くらいで。って、前回も星2個だったんだよな。そろそろなんとかならないと、この漫画嫌いになっちゃうかもしんないなあ。

 本編の方は関西遠征とグレイトフルサウンドに出られるかも、のあたり。なんつーかなあ。高野がBECKで弾くとか、ありえないし。あと、千葉のMC「激カラ大盛でいきます」ははっきり寒いだろ。こういうところのセンスが非常によい作家だと思っていただけに、なんとなく裏切られた感があるんだよなあ。このあともまたストレスになりそうな展開が続いてるし。スカーっとさせて欲しいよなあ。
 いや、期待してるんですよ、ほんとに。

(発行日:2003/12/17)

  いやもう最高ですよ。
  プロテストでリンはその才能を惜しみなく見せつけ無事合格。天才中尾のビデオを見たリンはその華麗なボクシングに惚れ込み自ら弟子入り志願、最強の天才師弟コンビが誕生、という感じか。
  相変わらずテンポ、リズム、センスがいいなあ。や、リンのボクシングとか台詞まわしも相変わらずいいんだけど、 中尾のビデオがまたいいやね。リンの解説と相まって。帯にもなってるリンのセリフ「天は中尾をギリギリヒトとするためにボクシングを与えやがった!!」センスいいよなあ。
  この人の描く漫画の主人公もしくは主人公格の登場人物って、ほんとに変人が多いよなあ。や、凡人じゃあ話にならないかもしれないけど、それにしても。 変人度合いがすごいよな。でもよく考えたら変じゃないのね。例えばリンみたいなお調子者、世の中にはいるよなあ。 まんまじゃないけど、ああいう性質を持ったヒトはいるよな。なんていうか、その辺のデフォルメのしかたがうまいのか、 あるいは観察眼が優れてるのか。つまり、まあ、いい人物描くよなあ、ってことです。それって漫画描く上ではもっとも必要な技能だろうと思うんですよ。 その点において、新井英樹って漫画家はすごいなあ、と素直に思うわけです。
  またべた褒めで気持ち悪いことになっちゃったけど、★★★★★で。読んどけ。

  今年一番面白かった漫画は何か、と考えたらこれかなあ。ほかにも面白かった漫画はいろいろあるけど、一番ワクワクさせられた、というか、一番続きがきになった漫画、という感じ。 この先もっと面白くなって欲しいなあ。

(発行日:2003/12/09)

  おおっ、4巻のときは感想書いてなかったのか。
  伊集院とミキに加藤のお墨付きが出て、それぞれの思惑渦巻く中いよいよバチスタ本番。 なんと朝田は心臓を止めずに手術を開始するが・・・という感じか。
  今回もなかなか読ませます。隔週誌掲載だと中だるみを感じさせないためには、概ね毎週ある程度のヤマを持ってこなくちゃいけないだろう。 この手の漫画で毎回トラブルが発生するとそれはそれで困ったことになるのだが、 この作品では毎回うまいことヤマを持ってきてるなあという感じ。患者である元婦長と加藤の思い出を持ってきたりとか、 救急救命室の鬼頭をポイントに持ってきたりとかね。まったく飽きさせない漫画です。
  そんなわけで、真っ向から推してみますよ。★★★★★。

  5巻では第一回バチスタ手術は無事成功に終わり、その後ミキの加藤への告白があり・・・というところまで。 このあと本巻にも登場するミキの腹違いの兄である霧島軍司が絡んできてまた波乱がありそうな雰囲気。 いやこらもう目が離せませんなまったく。
  こんちちは!

(第5巻初版発行日:2004/02/01)

  本気で少女漫画ですよ、奥さん。
  王子様を本気で信じてお姫様になりきる少女・蘭と、蘭を好きなあまり意地悪をしてしまう王子様・右京のドタバタラブコメ。 やあ、ラブコメですな。本気で。蘭のズレっぷりとかも面白いし、素直に自分の気持ちをぶつけられない右京の行動のもどかしさとかも見てていいし、 しかもテンポもいいし。単純にラブコメとして完成度高いです。 加えて随所に見え隠れするこの人ならではのセンスってのがまた良い感じです。
  そんなこんなでべた褒めです。★★★★☆。ラブコメがお好きなら読むべき。

  1巻は実は「1巻」とは書いてなくて、2巻が第二部という扱いになってます。1巻一冊でひとつエピソードが完結してるのね。 そんなわけで1巻だけでふたりのドタバタは一旦収束するのですが、2巻になってライバルが現れたりして、またドタバタします。
  あー、でもなあ。なんとなく2巻より、1巻の雰囲気の方が好きだなあ。この人の描くコメディって、漫才みたいな面白さがあるのね。 テンポとセンスが命、みたいな。登場人物が増えることによって、その辺がボケちゃってる気がするんだよな。 なんていうか、普通のラブコメになっちゃってる感じ。まあ、面白いんですけどね。
  ちなみに最新3巻が1月に発売予定。買うしか。

  この人のマンガ、初見は実はIKKIでやってる「平凡ポンチ」なのですが、そのあとなんとなく「カラオケバカ一代」あたりを読んでハマりまして。 勢いにまかせて別フレKCにまで手を出してしまった、という感じです。「恋文日和」「水蜜桃の夜」なんかも既読ですので、いずれ感想書きますけん。
  しかし「平凡ポンチ」は実はあまりしっくり来てないんだよな。フィールヤングでやってる「ピースオブケイク」は面白いんだけどね。「アーマーゾーン」とかワラタよ。 いやはや今年ハマった作家のひとりです。来年も期待。

(第1巻初版発行日:2002/12/11)