馬鹿正直な女子大生・神崎直のところに突如迷い込んだ1通の案内状とダンボール箱。箱の中身はなんと1億円の現金。彼女はお互いを欺き合うことで現金を奪い合う「ライアーゲーム」に巻き込まれていく……、というのが本編の大雑把なシナリオ。彼女は1回戦の相手である自分の恩師に一億円をだまし取られてしまうが、出所直後の天才詐欺師・秋山深一に協力を仰ぐ。秋山には勝算はあるようだが……。

  この手の漫画、タネ明かしされたり途中でトリックに気づいたりすればなんてことはない。のだが、こういう漫画って楽しんだ者勝ちなんだろうな、って気もするね。作者の意図にまんまとはまってこそ楽しめるわけで、謎解きにやっきになるのもかえってつまらなくするだけじゃなんじゃないかなという気がする。まあ、トリックが如何にも子供だましってんなら話は別だが、少なくともこの作品の1回戦はまずまず楽しめると思う。あるいはトリックが分かってしまったあとの、トリック以外の部分の要素も大事かな。登場人物の心理描写とかね。そういうので没入感を出すってのも、作家の技量なんじゃなかろうか。その点この作品、例えば主人公・直の恩師である藤沢の言動とか、直の焦りっぷりとか、わりと見てるだけでも楽しい面がある。
  そんなこんなで、最近結構気に入ってる漫画のひとつ。だが、とりあえず★★★☆☆くらいかなあ。絶賛できない理由のひとつは絵柄。決して下手なわけではないのだが、いまいちメジャー感に欠けるというか、一見して読まずにとばしちゃう人も多いんじゃないかなあ。あと、休載が多いのがなあ。でもまあ、しばらく読んでみますよ。

  第二回戦は「少数決」。これまたなかなか面白そうなネタだ。雑誌掲載の方はぼちぼち佳境といったところ。これが締まったところで2巻が出るとうれしいな。1巻は相当またされたもんね。

(発行日:2005/09/21)