某ゲーム誌のレビューで満点を取ったという伝説のゲーム.宣伝費がどのぐらいすごかったんだろうとかいう邪推はともかく,満点をもって強烈にプッシュするわりにはかなり間口の狭いゲームだと思う.
まず,全体に漂う雰囲気が大変地味なのだ.ゲームの舞台は基本的にえんえん一つの迷宮の中だけで,画面はずーっと薄暗い.色調もセピア色か暗い青ばっかりで,日本式のゲームやらマンガやら何やらに慣れた人には取っ付きにくいことこの上ない.さらに,システムはゲーマー以外には受けつけないような複雑なものだ.ジャンルとしてはRPGになろうが,Aボタンを押してるだけでだいたい勝てるようなバランスにはなっていない.相手のタイプを見極めて武器を変えたり戦法を変えたりしないといけない.
ただどちらの特徴も,それ自体は大変よく作りこまれていることは事実だ(雰囲気の統一,バランス調整,操作方法の工夫など).つまり,この二点をどちらも好みとする特殊なタイプのゲーマーにだけ,強力に支持されるだろうゲームだな.地味なファンタジーゲームが好きで,武器をいろいろ見比べてるだけで楽しめるような人におすすめ.
ところで,システム面でひとつ惜しかったのは武器防具合成の微妙さだと思う.上位の品を作るにはあまり選択の余地がないので,完全攻略情報を探してこないとどうしようもない気がする.あと,武器を場面に応じて変えるのが一つのポイントのはずなのだが,武器の持ち替えとか預り所の使用が実にめんどくさいのはいただけない.特に武器の持ち替えにはショートカットがほしかった.
ちなみに,ストーリーにはそれほど特筆すべき点はない(というか,「特筆すべきストーリー」というのは極めて例外的なことだが).演出は娯楽映画のようなものを目指しているようで,それには比較的成功している.かっこいいと思えばなかなかかっこいい.ゲーム内容と分離してる気もしないではないが.
最近ゲームを買うのは主にプレイステーション1なのだが,そろそろ底値かね.このゲームは内容を考えると実にお買い得だった.