海月玲二

今回の旅行はひさしぶりに東南アジアである.バンコクがスタートでハノイがゴールにしてみた.主な滞在先はラオスになる.

で,とりあえずバンコクから夜行バスで国境近くまで移動する予定を立てていたのだが,危うく失敗するところであった.飛行機の到着時刻からバスの発車まで2時間はあるからまあ大丈夫かなと思っていたら,狙ったように飛行機が遅れ,到着したのはバス発車20分前.そりゃもうあわてて入管を抜けて最低限の両替をすませてバスターミナルに移動しましたよ.しかもバンコクの今の空港はかなりでかいし,バスターミナルまではシャトルバスで10分かかるし,何より来たことのない空港なので勝手がわからない.

出口の場所を聞きまわったり発車しそうになるシャトルバスにかけこんだり大慌てで切符を買ったりして,なんとか目的の夜行バスに乗れたのは発車する5分前でした.Majiで5分前掛け値なし.

旅の始めから超ディレイ発生で不幸なのか,そんな状況でもぎりぎり乗れて幸運なのか.いやこれが噂の,不幸な状況に追いこまれるほど開運するとかいうJD流開運術ですか.

どうでもいいが,夜行バスの切符を買おうとしたら横にいた女の子二人組が不要な切符を買ってくれとか言い出して(タイ語だからさっぱりわからないが,どうやらそう言っているらしい),結局そのままそれを買って乗りこんでしまった.前で見ていた切符売り係の人も特に文句はないらしい.適当だなあ.

今回の旅のテーマの一つは「陸路国境越え」である.

というわけで,まずタイからラオスへの移動だ.まず何らかの方法で北東部のノンカイまで移動する.今回は前述の夜行バスで移動したので,起きたらノンカイだった.

さて国境は橋になっているのでこれを渡るわけだが,歩いては渡れないことになっているので何かの乗り物を探さねばならない.で,一番簡単なのが,ノンカイからヴィエンチャンまで直通するバスに乗ることである.今回はバスターミナルについていたので,そのまま次のバスの切符を買って乗るだけだからますます簡単だ.

バスはまず橋の上のイミグレーションまで移動し,そこでみんな一旦バスから降りて,個別にタイ出国審査・ラオス入国審査をする.西洋の国境越えみたいに,ぼーっと乗ってれば係の人がパスポートをチェックに来ておしまい,などということはない.まあ,今は日本人ならラオス滞在15日まではビザ免除だし,審査で手間取ることはあまりないと思うが.

で,審査が終わってラオスに入るとさっきのバスが待っていて,これにみんなが乗りこんだら改めてヴィエンチャンに出発するわけだ.ヴィエンチャンは国境のすぐ近くなので,あっと言う間に到着する.結局,ノンカイ出発→ヴィエンチャン到着までせいぜい1〜2時間ぐらいではないだろうか.混みぐあいにもよるだろうが,まあ,簡単な部類だと思う.

この直通バスのありがたさは,個別のトゥクトゥクだのバイクタクシーだのと一切かかわらずに済むところにある.俺はとにかく値段交渉が苦手なので.

よく知られているとおり,ヴィエンチャンは田舎だ.タイ-ラオス友好橋ルートでラオスに入ると,だいたいがタイの首都からタイの地方に移動して,その直後いきなりラオスの首都に入ることになるわけだが,正直言って全然違和感がないのである.確かに世界でもトップクラスの地味な首都だと思った.俺の中では.

これでも以前にくらべれば建物も増えたということだが,それでも全体を俯瞰してみての建物の低さ,樹木の多さはかなりのものだ.急速な経済発展があるとは考えにくいので,まだしばらくはこんな雰囲気なのではなかろうか.そもそもラオスは人口自体がかなり少ないし,巨額の資金が動くような産業もほとんど無いわけだし.

ところでヴィエンチャンは中心部だけがかなり露骨に外人街になっている.外人向けのゲストハウスやレストランが並んでいて,地元の生活はあまり感じられない.で,それ以外のところでは外人の姿をぱたっと見なくなるのだ.まあ確かにヴィエンチャンには観光名所らしきものもあまりないし,外人はメコン川を見ながらビール飲んでるぐらいしかすることないのかもしれないが,それにしても極端な感じだなあと思う.

ていうか,ルアンパバーンはいろいろな寺が観光名所になっているのに,ヴィエンチャンのはあまりそういう扱いを受けていないのは釈然としないものがある.ヴィエンチャンにだってそれなりにたくさん寺があって,素人が眺めてへえとかほうとか言うだけならどちらでもそれなりに楽しめると思うのだが.

ヴィエンチャン→ルアンパバーンの移動はラオス航空の飛行機に乗ってみた.きになるお値段は660000Kipで,まあ7500円ぐらいか.キャッシュで払ってしまったので手持ちの金が一時的に激減して大変だった.あとちゃんとeチケットだったのでびっくりした(失礼な話だ).

機材はMA60.小型のプロペラ機で,中国製のようですな.それはともかく,ここの飛行機は整備がイマイチだとか,上空で機内に謎の白煙があがることがあるとか,いろいろ噂を聞いていたのでちょっと期待してたのだが,格別何も変なことは起きなかった.やはり数少ない幹線だからそれなりに気をつかってるんだろうか.強いて言えば機内で出たオヤツが干しバナナだったことぐらいか.

あとルアンパバーンの空港に着陸するとき,かなり低い高度で町の真上を通過するのでちとこわい.まあ高い建物なんか存在しないからぶつかりはしないのだろうけど.騒音対策なんかも一体どうしてるんだと思ったが,ルアンパバーンの町でわかったのは「特に対策などしてない」という事実だった.普通に轟音が響きわたるのだ.単に便数が少ないからがまんできてるだけだな.

ところでラオスの空港では,国内線でもパスポートチェックがあるのがちょっと不思議だ.そのわりに手荷物検査はなんだかいいかげんで,液体もあっさり持ちこめるし金属探知機が鳴ってもスルーだったりするし.よくわからん基準だ.

ラオスの二大世界遺産の一つで,有名観光地だ.有名なのでこの町でだけは団体旅行者の姿も見かける.人口の少ないラオスに観光客がやたらに来るので,場所によっては現地人のほうが少なかったりさえする.外人向け安宿も死ぬほどあるしな.

ルアンパバーンの変わったところは,僧侶の多さである.寺がたくさん立っている町や僧侶のたくさんいる町はほかにもあるが,ここではどうにも総人口に対して僧侶の人数がやたらに多いように見える.こんなに僧侶の比率が高くて社会が成立するものなのだろうかと不思議になるほどだ.さすがにそれは言いすぎか.早朝の托鉢など見ていると,こんな量を毎日毎日対応しているのかーという感想を抱くのだが.僧侶たちはこの町でどういう役を担っているんだろう.

世界遺産登録は寺だけでなくて街並全体だそうで,伝統建築とコロニアル建築の融合したステキな街並というのが登録理由のようなのだが,えー正直街並としてはそのー,どうこう言うほどのものではないというかー.丘の上から眺めると木のほうが多いっていうかー.わりと適当な建物も多いしー.ねえ.面白くないわけではないんだけど.

ちなみに観光地としてはもう一つ船でクルージングとか洞窟ツアーとかそういう方面もありますが,俺は行ってないのでよくわかりません.

【このトピックへのコメント】
  • ヒビキルパンルパーンに見えた。(2009-03-16 17:18:52)
  • ごんぞルパンルパーンに見えた、と書こうとしたら先に書かれてた。SHOCK!(2009-03-16 17:30:34)
  • worthタイはタイでも奴はタイ変なものをルアンパバーン(2009-03-16 22:30:59)
  • Wittmanルパンルパーンに(ry(2009-03-17 00:51:41)
  • 海月玲二何を盛り上ってるのかと思えば……ていうか正直その発想はなかった.(2009-03-17 11:46:31)
  • Wittmanいや本当にそう見えたんですw(2009-03-19 00:29:07)

だいぶ田舎になってまいりました.

この町では,商店などがたくさん並んでいるのは基本的にメインストリート沿い,市場周辺だけである.メインストリートをちょっとはずれると,とたんに牛が放牧されてたり広大な畑が出現したり空き地が続いてたりして,その合間にぽつぽつと建物がある感じ.Yにここの写真を見せたら「西部劇の町みたい」という感想を頂戴した次第.というかまあ,そもそもこの町は周辺の観光地への拠点というだけであって,この町自体は何も特別なことはなく,単なるラオスの地方都市なのだ.

しかしここの安宿の人達はなんだかすごく気合が薄い感じ.いくつか覗いてみたが,観光地にありがちな客引きがほぼないばかりか,中に入ってみてもカウンターに人がいなかったり熟睡してたりすることもざらであった.レストランもほとんど声かけてこないし.まあラオスは全体的にそんな傾向があるのだが,ここは特に楽だった.

正確に言うと,バスターミナルで一軒だけがんばって勧誘している安宿があった.一軒しかそういうことしてないので,結局そのときのバスでついた外人チームはほぼ全員そこの宿に泊まったようだ.それはそれでどうなんだろう.

ちなみに周辺の主な観光地はジャール平原である.よくわからない石壷が不発弾の隠れた平原にやたらとごろごろころがっているという,なんかシュールな遺跡だ.ガイドと行ったりミニツアーで行ったりする人がほとんどだったようだが,そもそもどういう遺跡なのかほとんどわかってないのにガイドの必要はあるのだろうか.まあ俺はレンタル自転車でよく調べずに出掛けて,道を間違えて山に迷いこんだりして無駄に苦労したわけだが.

さて今度はベトナムに向かって国境越えである.ポーンサワンからは,ベトナム中部のヴィンという町に直接行ってくれるバスが週四回ほど出ているので,それを使うことにした.

バスの客はは山ほど荷物をかかえたベトナムの行商人が多く,外人は俺の他三人しか乗っていなかった.あと長距離バスなんだからポーンサワンのバスターミナルからヴィンまでノンストップなのかと思っていたら,現地人は好きなところでどんどん乗り降りしている.あまつさえ荷物の搬送だけに使っている人もいて(ある程度進んだところで別の人が受けとっていた.携帯電話で連絡しているようだ),ずいぶんとフリーダムなシステムだなあと思った.

山道をどんどん進んでいると昼前になんか妙な小屋の前で停車して,何だ何だ休憩かと思って外に出てみたらなんとそこが出国審査でした.実に質素な国境オフィスである.がんばってスタンプを押してもらったら(なにしろベトナム人は行列をつくらないので,出国審査してもらうだけで一仕事だ),道端にすわっている制服のおじさんにパスポートを見せてドロ道を下りていくらしい.で,ドロ道をちょっと進むとすごく綺麗な建物があって,そこがベトナムの入国審査.えらい差ですよまったく.

まあやることは一緒で,入国審査→出国審査までは歩いて進み,入国が終わったところで待っていたバスに再度乗りこんで出発するわけである.ベトナムの入国審査はちょっと厳しくて,ノービザで入国する輩は出国用の航空券の提示を求められる.しかしこれは国境の職員ごとに対応が違うらしくて,たまたま同乗していた日本人の人によれば,別の国境では航空券が不備だとかで追いかえされたのに,ここではなぜか通れてしまったそうな.入国審査の基準が場所ごとにかわるとか理解しがたいんですが.

国境を越えたあと昼食休憩があり,そのあとはヴィンまで走るだけである.ただ,このルートの唯一にして最大の問題は「ヴィンに夜に到着する」という事実だ.ヴィンは別に観光地でもなんでもないため,普通ガイドブック等に情報はないし英語の通じる案内とかもない.つまり外人にとっては,さっぱり情報がわからないまま両替所も閉まってるような時間に放り出されることになるわけだ.ここさえどうにかできれば,わりと簡単な部類の国境越えなのだが.

結局このときは,外人四名はみなそのまま別の夜行バスに乗りつぐことにした.よくわからず言い値でキップを買ってしまっていたが.

2009-03-13(金)

ハノイ

旅行に出る前には気象情報など調べたりするものだが,ハノイの3月の平均降水量は低めだったので「3月は雨の日が少ないんだな」と考えて出かけた.実際現地で確認してみたら「3月の雨は霧雨だから総雨量はたいしたことない」という意味だったようだ.いやほんと二日半滞在して,太陽を見たのは一瞬だけだったよ.まあ,たかだか二日かそこらじゃ偶然かもしれぬが.

いずれにせよえんえん霧雨が舞っているので,とにかく湿っぽくてしかたがない.宿の部屋でもやっぱりこの湿気からは逃げられなかった.ガイドブックはふにゃふにゃになるし洗濯物は乾かないし大変である.ゴキブリも出るし.

しかも雨でもお構いなしに道路工事などあちこちでやっているので(構っていたらいつまでたっても終わらんのだろう),そこらじゅうの道がドロだらけである.ほんとここだけはサンダルで来ないほうがよかったかなと思ったね.

まあ街並はなかなかイカしてるし見所もそれなりにあるし,外食文化が発達していて食いものがうまいし,旅行者へのサポートも充実してるし,いいところなんだけどね.ネット屋の速さとか衝撃的だったよ.

あとラオスの町とくらべてあまりに大都市なんで,最初は感覚がつかめなくて大変だった.まー道に迷う迷う.市バスなんかも,地図を見ながら乗っても混乱するありさまだ.京都市バスで観光客が困るのと似たようなもんか.

2009-03-14(土)

無題

今回はマレーシア航空で行ったのだが,機内の映画がいつのまにやらオンデマンド式,というか,自分で好きなプログラムを選んで再生を開始できる方式に変わっていて驚いた.ふつうこういうのは予め設定された予定通りに再生されるだけだと思うのだが.コントローラーやモニターは別に変わってなかったので,もしかして前からこうだったのだろうか?(通常の「予定通り再生」モードもあり,ちょっと操作しないとオンデマンドモードにならないので,気付かないこともありうる)

あと行きの便で「地球が静止した日」を見てみたら,あまりにもクソ映画だったのでまた驚いた.こんなの本気で劇場公開したのか.