海月玲二
2010-09-01(水)

無題

死ぬほどヒマなので,dingux用のファイラー的なものを作ってみた.適当に作ったのだが意外に大変だった.なにしろSDLにはいわゆるGUI部品的なものが全然なくて,全部自分で書かないといけない.枠とかボタンとか自前で描いたり,枠に収まるように文字列を折ったりするのが特にめんどくさい.

ソフトウエアキーボードなんか自分で作るのがあまりにもめんどくさくて断念してしまったので,ファイラーのくせに名前変更やディレクトリ作成はできない始末.あとSHOWSTOPPER対策のせいか,コピーが異常に遅くて止まったかと思うほどだ.なんという実用性の低さ.

ソースを全部一つのファイルで書いてたら,いつのまにか900行近くになってた.ファイル分けるのってどうするんだったっけか.

今年も夏の旅行の時期である.今回は,ブルガリアからトルコに向かう予定にしてみた.

最初に見に行ったのはヴェリコ・タルノヴォであるが,途中イスタンブルで乗りついだりソフィアで一泊したりしているので,家を出てから結局丸二日ぐらいかかっている.まあそれはともかく,ここはブルガリアでも比較的観光地と言っていいところで,観光ポイントもあるし,狭い峡谷の斜面に作られた街並自体がかっこいい.日本では「琴欧州の出身地」ぐらいにしか知られてないが.

ツーリストインフォメーションで宿を紹介してもらったら,ホテルの扉の入口に「扉は閉めてあるから,入りたい人は以下の携帯に電話してね!」とか書いてあって参った.最近は旅行者も携帯持ってきてるほうが普通か.結局,インフォメーションまで戻って電話してもらうはめに.さらに,ホテルの人が来て曰くそこは今満室だとかいう話で,さらに別の建物を紹介された.でもこっちは全然ホテルではなくすごく普通の家で,こういうのはプライベートルームと言うんじゃないかと思った.まあ,ベランダからの眺めはよかったしバスルームも独占できたので快適だったけど.

あと近所にあるアルバナシという村も合わせて見物に行ってみたところ,こちらも大変シブい街並でよかった.タクシー10分かそこらで行けるし,ここまで来たんなら行ってみる価値はあると思う.でも,散歩するとすごくいいと思うのに,来てる観光客がみんなカフェでだらだらしてるようなのがちょっと不思議だった.

ひとつ困ったのは,旧市街中心部で買いものがちょっとしづらいこと(食料や日用品的な意味で).スーパーの類は郊外にしかないっぽいし(少なくとも俺は見つけられなかった),たまにある小さな店は商品の種類がもうひとつ頼りなく,しかもどの店も売ってるものが似ていた.パンとかヨーグルトとか,どこ行っても同じやつ一種類だったしなあ.


この町はかなり歴史が古く,ところどころに突然遺跡とか古い建物とかが出てきたりするし,旧市街中心部はけっこう複雑な構造をしていて面白い.ただアップダウンが激しいので,調子にのってうろうろしていたらかなり体力を使って大変だった.石畳は足に優しくないしな.旧市街には19世紀ぐらいの邸宅をレストアして公開してる所なんかもあって,建物とかには興味があるのでこれもなかなか.あんまり人いなくてゆっくり見れるし.あと,旧市街を見下ろすには西側にあるサハト・テペの丘からが一番眺めがよかったと思う.

そういや,ここでも宿を紹介してもらうのにちょっと手間取った.最初に到着した日は,「今日はプロヴディフの祝日だからツーリストインフォメーションはお休みだよ!」とか貼り紙が.なんたる間の悪さ.次の日,今度は格安プライベートルームを紹介してもらえたのだが,行ってみて呼び鈴を鳴らしても誰も出ない.ノックしようが声で呼ぼうが全然入れてもらえないので,例によってインフォメーションまで戻って連絡してもらうはめになった.今度は家主のおっさんが出てきて無事部屋を借りることができたのだが,どうもこのおっさん,単に寝ていただけらしい.やれやれ.

ちなみに初日の「祝日」とやらは,オスマントルコから独立した際に取り残された領土が再統合された記念日だったらしい.中央広場ではいろいろイベントやってるし,別の広場では国旗が広げられたり祝砲をばんばん撃ったりしていた.どうでもいいが,コンサートイベントをやってる途中,広場のすみっこで何かを紙に巻いて吸ってる奴がいたんだが,妙な行動を始める前にどっか行ってくれてほっとした.

それからここはブルガリア第2の都市で大きな町なので,それなりに商店とかは存在して滞在するにも便利である.ネット屋も多少あるし,スーパーも三軒ほどみつけた.一番わかりやすいのは鉄道駅の東にある奴だろうか.

プロヴディフからイスタンブルまでは結構多くの会社が国際バスを出しているのだが,だいたいが夜行である.俺はもう若くないので夜行バスはなるべく避けたいところ.一日複数回走らせてるのはMETRO社ぐらいのようだったが,乗ってみて納得した.そもそも数人しか乗客が来てなくてガラガラなのである.いや,この朝9時15分発の便が最近始めたものだから,あまりまだ知られてなかったんだろうか?

さて,プロヴディフから3時間ぐらい走るとカピタン・アンドレエヴォなる国境地点に到着する.まあ,手順自体は普通で,乗客が降りて,パスポートを審査したあとバスに再度合流,通関チェックをしておしまい.なにしろ人数が少なかったため(さらに国境自体,混雑してなかった),時間がかかるほうなのかは不明.あんまり厳しい感じではなかったけど.今回は全体で一時間かそこらで通過できた.

ここの国境で一番びっくりしたのは,陸路国境にもかかわらず巨大な免税店・飲食コーナーがあったことである.ただ,二階の銀行がやってなかったので(というか二階に行けなかった),トルコリラが無くて買いものできなかったわけだが.もしかしたら,言ったらユーロとかも受けとってくれたのだろうか? 値段は全部トルコリラで書いてあったけど.

トルコに入ると,明らかにハイウェイがグレードアップしてるのが,まあ何かアレだ.

トルコでの国内旅行は主にバスで行われるため,イスタンブルの主バスターミナル(「エセンレル・オトガル」と呼ぶ)はとてつもなく大きい.写真に写っているのは全体の四分の一以下である.小さい看板がごちゃごちゃあるのは全部バス会社で,150以上ある.この建物の裏側に,それぞれの会社のバスがぎっしり待機しているのだ.オトガル内にはお店や飲食店もたくさんあるし,地下鉄や市バスも直結している.大阪駅あたりと同じぐらいかそれ以上の規模の施設だ.

で,(写真にもちょっと写っているが)ホテルも二軒入っており,このうち片方を利用してみたのだが,なかなか悪くなかった.部屋もきれいで設備はひととおり揃っているし,バスターミナルだけあってフロントは24時間開いている.俺は予約しないで行ってみたが,特に問題なく泊まれた.おねだんは60TL(当時1TL=55円ぐらいか).旅程によっては活用する価値ありだと思う.

さて,ここで翌日の移動のためバスの切符を買おうとして,ちょっと苦労した.出発前まで全然気付いていなかったのだが,ラマダンが今年は9月9日までなのだ.ラマダン明けはお祝い期間になり,トルコでは日本の年末年始のように帰省ラッシュになるらしく,バスが大変混雑する.いくつかカウンターをまわったところ,大手のバス会社は全部満席で,ちょっと小さめの会社の切符をなんとか買うことができた.

18〜19世紀の街並がそのまま残っていることがウリの地方都市.都市というほどの規模ではないか.ブルガリアの古い建物を見たあとなので,互いに影響があることもなんとなく想像できておもしろい.泊まるところも,古い民家を改装したものが多くて雰囲気がある.ちなみに,民家をレストアして公開してる博物館はそれなりに見ごたえがあるが,西の丘の上にある歴史博物館は正直イマイチである.

滞在したのが前述したとおりラマダン明けのお祭り期間だったため,トルコ人観光客と思われる人々でにぎわっていた.たぶん普段とは様子が違っていたと思われる.おみやげコーナーで売ってるもののチープな感じもあって,なんとなく昔の日本の観光地を思い出させる,懐かしい雰囲気であった.夜になったらわたあめの屋台なんかも出てきてたし.ていうか,今の若い人はもうああいう雰囲気は知らないのか,もしかすると.

予想通り,宿探しや帰りのバスの確保にはちょっと苦労した.インフォメーションで宿を斡旋してくれたりはしなかったので(普段もそうなのかは不明)直接歩いて探すことになったのだが,空いてる部屋がみつかるまでに五軒ぐらい断られた.バスもちょうどUターンラッシュにぶつかるので,やっぱり満席ばかり.一社だけ6時45分発というのが残っていて,なんとかその切符を買うことができた.ここで泊まったホテルの朝食はわりとおいしかったので,最終日に食べられなかったのは残念である.

そういえば,このバス会社の人は最初日付を一日間違えて切符を発行していて,あとで気付いてあわてて修正してもらいに行くはめになった.ここ以外でもときどき思ったのだが,トルコの人は英語が完全に通じてない場合があるようだ.でも通じてるみたいに処理はしてくれちゃったりするのでトラブルが起きることもある.日付や時間はわりとしっかり確認したほうがよさそうだった.

陶器で有名な町.ホテルや町の噴水,バスターミナルまでタイルで装飾されてたりする.Yは陶器が好きなのでお店をのぞいたりもしたのだが,事前に情報を集めて狙っていたお店はどうもやっていないようだった.張り紙がトルコ語なので臨時休業なのか何なのかよくわからないが,入れないのには変わりない.残念.まあ,それでも別の店で何か小物を買ったりしていた.

というか陶器を買うにしても,あんまり豪勢なものだと俺らの質素な家では使いにくいな.家族も二人だし友達もあまりいないので,セットものも無意味だし.店の人的にはやっぱり簡素なものは客寄せで,凝ったものを売ってナンボみたいな感じだったが.

ところでこの町自体はそれほど観光名所ではないが(近所にちょっと足を延ばせば,遺跡とか温泉とかもあるそうだけど),旅行者にとってなかなか居心地のいい町である.必要な施設は全部徒歩圏内にあるし,それでいて小さすぎて物資や施設が不足しているということもない.旧市街も,古い町の雰囲気が残っていてよい感じだ.というわけで,のんびり散歩でもしたいところだったのだが,どういうわけかここに滞在中は俺が出歩いてる時間帯だけ狙ったように雨が降って大変だった.出発間際になって晴れてくるし.

あとこの町を出るとき,イスタンブルまではけっこう時間がかかるのでゆっくり休める寝台列車に乗ろうと思ったら,例によって満席.どうもいろいろアテが外れたのであった.

2010-09-13(月)

ブルサ

キュタフヤからイスタンブルまでは,普通にバスで行くと6〜7時間ほどかかる.旅行も終盤で疲れてきてたので,中間ぐらいで一泊して休むことにした.

というわけでここではほぼ飯を食って寝ただけ.しかしせっかく来たので,名物料理を試してみた.トルコではケバブにもいろいろあるが,「イスケンデル・ケバブ」というスタイルはブルサが発祥で,その元祖のお店がちゃんと今も有名店として営業中なのである.

細切れのパンにいわゆるドネルケバブの肉を乗せ,トマトソース的なもので味付けし,ヨーグルトを添えた料理.食べる直前に溶かしたバターをかける.ちょっとくどそうだが,ヨーグルトが合ってなかなかおいしい.まあ,「名物料理を食べる」というイベント性が大事なのかもしれないが.メニューがなくてこの料理を出すだけ,というのもそれらしくて面白い.

さらにここでは巨大なシルクバザールがあったり,マロングラッセの老舗も名物だったりして,ちょっとした滞在のわりにはいろいろあった感じ.マロングラッセは確かに上品な味でおいしかった.

1500年以上の歴史を誇る大都市だけに,見どころいっぱい観光客もいっぱいだ.今回の旅行中,団体客を頻繁に見たのはここだけ.超有名どころの名所だけ見るならヨーロッパ側旧市街だけ行けばいいんだけど,いろんな街並を見ようとすると広くて大変だ.一日半ではちょっと足りなかったな.メジャーどころ観光名所では,地下宮殿とかいうローマ時代の地下貯水池がちょっと面白かった.

金角湾とボスポラス海峡で町が三つに分断されてて,多少橋がある他はフェリーに頼るしかないというのは,まあ旅行者としては面白いが住んでるとすげえ不便だろうなあと思う.住んでる人もそんなに頻繁に行き来しないんだろうか? 坂のすごく多い町だという点も同じで,景色としては立体的になって大変雰囲気がいいのだが,歩いてれば当然大変である.デフテルダル通りとかいう新市街の道など,あまりにありえないレベルの急勾配で逆に関心してしまった.なぜ階段にせず道にしてあるのか疑問に思うほど.

大都市らしくトラムとか地下鉄とかがそれなりに整備されてるのだが,微妙に乗りつぎが多くてめんどくさい気もする.あと帰りに空港に向かうとき,宿まで荷物を取りに戻ったときのトラムはガラ空きだったので「なーんだ,やっぱり夜は空くんだな」と思っていたら,次に空港に向かうときはぎっしりすし詰めでえらい苦労した.なんだったんだアレ.同じ路線の同じ方面,20分かそこらしか違わないはずだが.