海月玲二

こんど行く旅行先で有名らしいので,エミール・クストリッツァ監督の映画を見てみた.とりあえず近所のレンタル屋にあった「ライフ・イズ・ミラクル」と「黒猫白猫」の二本.

とりあえずオサレ感が全然無いことに感心した.なんか出てくる事物人物が全部,現代日本人の感覚からすると雑な感じである.いや映画のつくりが雑っていうんじゃなくて.以前テレビで「ダージリン急行」という雑きわまりない映画を見たことがあるが,あれをちょっと思い出した.今回見たのはあそこまで適当ではなくて,いちおう話はちゃんとまとまっててオチもついてるが.

もちろん映画として誇張してるところはあるんだろうが,ヨーロッパでも一二を争う田舎でありアジア側スレスレなバルカン半島の雰囲気を表現しているのかもしれない.登場人物が全員,どんなダメ人間でも「家族の結婚は人生の重大事であり,ちゃんとしっかり執り行われなければならない」と考えてるところなんかも.ていうかアレか,なんかいろいろ昔風なんだよな.予定調和なオチとか笑いとかも含めて.

どっちかというと,「黒猫白猫」のほうがドタバタ映画に徹しきっているのでよいと思った.じじい二人がいい味出してるし.あとで,別にプロの俳優じゃないという話を知ってびっくりである.

あと,ちゃんとタイトル通り猫はちょこちょこ出てきた.というかこの監督は動物出すのが大好きみたいね.「ライフ・イズ・ミラクル」では何かあるととりあえずロバがオチになってたし.

映画の話ではない.原作小説のほうを,最近なんとなく読んでみた話である.児童文学扱いとはいえ中学生以上向けで,六冊あるのでけっこうなボリュームだった.

  • 一巻 すごく昔懐しいスタイルのファンタジー冒険小説.1960年代の作品だしな.
  • 二巻 一巻の直接の続きだが,舞台を狭い範囲に制限してみたり,物語の視点を別の人物に移してみたりして,マンネリにならないよう工夫されている.なかなか面白い.
  • 三巻 ロードムービーよろしくあちこち遍歴して物語が進むが,ちょっと散慢になってる印象.
  • 四巻 正直イマイチ.なんかあんまり関係ない話がえんえん続く感じ.
  • 外伝 これだけ短編集で,いろんな話のよせあつめだが,けっこう良い.このシリーズみたいに舞台設定がしっかりしている場合,無理に長い一本の話をするより短編を積みかさねたほうがいい場合もあると思う.
  • 五巻 それまでの話をふまえて,一応ちゃんと全部まとめてエンディング.まあ悪くない.

最初は三巻で長いこと止まっていて三部作だったのだが,十年以上経って四巻以降が書かれている.最後の五巻なんてわりと最近だ.そのせいかどうか知らんが,四巻以降はいわゆるジェンダーの問題がずいぶん話に入ってくる.特に四巻はすごく顕著だ.作者のやりたかったことはわからんでもないが,別にファンタジー小説でやる必要はないと思った.なんというか,現代社会の問題を描くのに現実と違う世界を使うのは難しいと思うんだよね.全然違うルールで物事が動いてるんだし.寓話ってのはすごく単純化しないと成立しないんじゃないだろうか.

ところで,某宮崎氏は映画化するのになんでわざわざ三巻と四巻をメインにしたんだろうね.一巻を使えば,それなりに話のまとまった冒険物語にできると思うんだけど.せめて二巻だ.ていうか原作を読んでみると,確かにあの映画は全然別物っていうか意味をなしてないのがよくわかる.いろいろ好きにシーンをよせあつめて,適当に改変して並べてあるだけだ.同人誌みたいなもんだな.

あと,もともと英語のタイトルには「ゲド戦記」なんて単語は全然出てこないし,話の内容としてもやはりそんな雰囲気ではなかった.これは別に映画がおかしいわけではなく,岩波書店のつけたシリーズの邦題が変だったようだ.邦題は「アースシー物語」かなんかにしておけばよかったのに.

2011-08-31(水)

CM4IS01

ついかっとなって入れた.まだ後悔はしてない.というか旅行に行く直前に大幅な環境変更するとか,どうかしてんな.

いわゆるCyanogenmod,androidのオープンソースなシステムROMのIS01版である.何がいいってAndroid2.2であるという点だ.我らがIS01様は今でも現役であるが,さすがにアプリとか作る人が1.6を切り捨ててきてる今日この頃若干寂しい感じなのである.CM4IS01を入れてやれば,今まで使えなかったものもいろいろ使えるようになったりするのだ.Adobeご謹製pdfリーダーとか.

難点はまず3G通信とワンセグ機能が全く使えないことであるが,俺はそんなの使ってないので全然問題はない.次に,元々の1.6システムより若干重いような感じなのであるが,これについては,Compcacheを有効にすることとAutokiller Memory Optimizerを入れることでだいぶん軽減される.少なくともちょっと使ってみた感じでは,1.6環境に比べて著しく遅いという気はしない.元々そんなにさくさく動かないので,たぶんどっこいどっこいだと思う.カーネルソースをちょっといじってワンセグ用に確保されてるメモリを解放しておいたので,空きメモリ自体は増えたぐらいである.

さらに,ネットで入手できるビルド済みのバイナリを使うと,1)イヤホン端子が使えない 2)キーボードで音量調整ができない 3)GPUを使ってないので,ゲームとかはかなり遅い という難点がある.この三点はだいたい解決されるパッチがあるのだが,当然,使うためにはソースからがんばってビルドする必要があるわけだな.

正直かなり大変だった.Androidシステムのビルドはやったことないので,まずちゃんとビルドが通る環境を構築するまでに,あちこち調べながら一日がかり.さらに,1)と2)のパッチは簡単なのだが3)のパッチはけっこう複雑で,これをあててちゃんと動かすのにはさらに苦労した.2chでいろいろ教えてもらって,どうにかこうにか成功した感じ.

まあとにかくちゃんと入ったので,新しく使えるようになったアプリなども入れつつ環境を構築した.これで勝つる.元の1.6環境も残してあるので,旅行中に調子が悪くなったら最後の手段として1.6に戻すけど.